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ARES ― 無名戦士になれなかった英雄達 ―  作者:


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12/15

支援のない作戦

朝、霧島はARES本部からの非常呼集により強制的に起床させられた。


霧島は急いで身支度を整えARES本部へと向かう。


ARES本部の会議室にはすでに第一中隊の士官が勢揃いしていて霧島は最後の到着だった。


霧島が席に座ったのを確認するとヴァイス少佐が話し始めた。


「本日、特殊作戦軍司令部よりARESに対しフェアリー王国前線基地への偵察命令が下った。

そこで諸君ら第一中隊に出動を命じる。

敵前線基地において物資の集積状況や兵力配置を偵察せよ。なお主任務は偵察であるが可能であれば敵拠点の破壊も行え。

質問があるものは挙手」


中隊長のストレム大尉が手を挙げる。


「ストレム大尉何か」


「本作戦の投入兵力をお教えください。」


「よろしい、第一中隊324名、輸送の為の強襲揚陸艦一隻、護衛の駆逐艦5隻が本作戦に投入される。なお、敵勢力に発見されることを防ぐため第一中隊の降下後揚陸艦と駆逐艦は直ちに戦域を離脱する。」


戦域を離脱、すなわち第一中隊への支援を行わないことを意味していた。


霧島はその事に衝撃を受け、辺りを見回した。しかし、他の小隊長は誰も驚いている様子はなかった。質問をしたストレム大尉もそれ以上聞き返す様子はない。


「それ以外に質問はあるか。ないな、今回はこれで終了とする。各自作戦準備にかかれ。」


その場にいる士官全員が立ち上がりヴァイス少佐に向けて敬礼する。霧島も一息遅れて敬礼した。


ARES司令部を後にした霧島は第一中隊長室にいるストレム大尉の元を訪れていた。


「中隊長、宇宙軍による支援無しとはどう言う事ですか。」


「なんだ霧島。早く第二小隊に作戦準備をさせろ。」


霧島の質問に対しストレム大尉は冷たく言いはなつ。着任の挨拶をした時の明るさはそこには無い。


「支援無しでの作戦など死にに行けと言っている様なものです。部下にそんな命令は下せません。」


「今回は秘匿性が重要だ。支援を行なっては秘密作戦の定をなさなくなる。だから仕方ないのだ」


ストレム大尉の言い方は何か自分に言い聞かせている様な雰囲気があった。


「中隊長もわかっているはずです。この作戦は戦死者を出すのが前提だと。」


「くどい」

ストレム大尉は大声で霧島を無理矢理黙らせた。


「そもそも、作戦に文句があるのなら司令に直接会議の場で言うべきだ。それが出来ないのなら命令に従え、それが軍人だ。」


霧島は反論できなかった。確かに決定権の無い中隊長に言うのはお門違いだ。だが新人の少尉言ったところで通るはずもない。


霧島はなんとか反論しようとストレム大尉に向き直る。


そこには苦虫を噛み潰したようなストレム大尉の顔があった。


そこで霧島はやっと理解した。

ストレム大尉も同じなのだと。


霧島はそれ以上何も言う事なく敬礼して中隊長室を後にした。


中隊本部の前には梁兵曹長が車と共に霧島を待っていた。


「小隊長、お迎えにあがりました。」


「すまない兵曹長。それで早速だが任務の指令だ。」


「承知しています。小隊全員に出撃準備を命令してあります。」


梁兵曹長から衝撃の一言が告げられる。

「任務の事を知っていたのか。」


「いえ、小隊長に非常呼集がかかっていたので任務だろうと。よくある事なので」


「そうか」


2人の間にそれ以上の会話は生まれなかった。


第二小隊区画に戻ると小隊全員が装備を整えグラウンドに整列していた。

霧島も戦闘服に着替え小隊に合流する。


「総員気をつけ、小隊長に対し敬礼」


梁兵曹長の号令により全員が霧島に向け敬礼する。


「これより輸送車に乗り込み宇宙港に向かう。宇宙港到着後揚陸艦に乗艦し、フェアリー王国への偵察任務を行う。」


一呼吸おき、霧島は覚悟を決め話す。

「なお、本作戦に航空支援は行われない。」


霧島は小隊員からの反発を予想していた、だが動揺は見られなかった。


「詳しい作戦計画は揚陸艦に乗艦後中隊長より説明がある。以上だ。」


「総員作戦にかかれ。」

梁兵曹長の号令により小隊員達は敬礼の後車両への乗車を始めた。


「兵曹長、航空支援の件だが、」


梁兵曹長に霧島は質問をしようとする。


「いつもの事です。気にする必要はありません。」


それだけを言い梁兵曹長も車に向かった。


この作戦に違和感を感じているのは自分だけなのかと霧島は不安になる。


それともここでは異常な事が正常なのだろうか。

その疑問に答えるものはここにはいない。

少なくとも今は。

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