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第六話 検証



 湊は、マンションの近くにあるコンビニの前の駐車場にいた。湊の前には、宅配ピザの配達員がいた。

「ごめんなさい、待たせちゃって」

「いえいえ、大丈夫です。でも、本当に良いんですか。このピザ、もう冷めちゃってますけど」

「いいんです、いいんです。じゃあ、これでお願いします」

「わかりました。毎度ありがとうございます」

 ピザの配達員はそう言って、湊が差し出した1万円を受け取った。配達員はお釣りを渡し、笑顔で湊に頭を下げた。そしてすぐ隣に停めていたバイクに乗り、その場を去っていった。湊は、配達員の背中を見送りながら、自分の行動を振り返った。

 湊は、貴之をベランダから突き落とした後、部屋に戻り、ソファに座った。自分のしたことをはっきり受け入れられず、ただ上の空だった。そんな状態が数分続いた時、急に貴之の携帯電話が鳴った。貴之が頼んだ宅配ピザ屋からの着信であった。これから自殺をしようとしている人物が、宅配ピザを注文するのはおかしい。だから、ピザの配達をキャンセルする必要がある。

 湊は貴之の携帯電話に出た。配達員は道に迷っており、あと数十分は掛かりそうだという連絡であった。湊は、配達のキャンセルをお願いした。しかし、すでにピザは出来上がっておりキャンセルはできない、代金を支払って貰う必要がある、そう電話口から言われた。

 湊がどうしようか迷っている時に、ベランダの下の方からざわざわと騒いでいる声が聞こえてきた。転落した貴之を、誰かが発見したのだろう。この場所にこのまま居るとまずい。また、配達員にマンションに近付かれては、いろいろとややこしくなる。湊は、電話の相手の配達員に、今から1時間後に、近くのコンビニに来てほしいと頼んだ。配達員は最初戸惑っていたが、不審そうにも承知してくれたのだった。

 湊は受け取った宅配ピザを紙袋にくるんだ。そして、コンビニの横に置かれていたゴミ用のポリバケツに捨てた。そしてコンビニに入り、ペットボトルのホットココアを購入した。







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