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第6話 風木光

 vs風木まで後1週間。

 風木と対戦の約束をしたその放課後から特訓は始まる。


 すべてのゲーム機が揃い、さらにPCや電子黒板等々、ゲームをする際に必要な設備が揃った部屋がこの校内には多くある。それらは“遊戯室”と呼ばれ、生徒たちは気軽に借りることができる。


 逸人、星乃、影弓の3人は第3遊戯室に集まっていた。


 シュークリームをむしゃむしゃ食べる星乃とまだ逸人に対し怯えが残っている影弓。その2人の前に逸人は仁王立ちする。


「これから1週間でやることは2つ。ピンポイント、風木の使うキャラの徹底対策と、影弓の伊臣慣れだ」

「はい質問です!」


 星乃が手を挙げる。


「なんだちびっ子」

「もしも風木ちゃんが想定していたキャラと違うキャラを使ってきたらどうするんですか?」


 星乃の意見に影弓が同調する。


「そ、そうですよね。こっちが対策を練ってくるのはあちらもわかっていることでしょうから……」

「風木が持ちキャラ以外を使うことはない。敢えて俺達の対策を避けるために、別キャラを使うことは卑怯……とアイツは考えるだろう。卑怯者である俺を嫌っているんだ、真っ向から戦いたいはず」

「あー、確かに風木ちゃんは良くも悪くもプライドが高いですからね~。対策なんて受けて立つ! って考えそうです」

「ま、万が一、想定と違うキャラを使ってきたら……?」


 逸人は歯を見せて笑い、


「そん時は諦めろ。勝ち目はない」

「えぇ~……」

「いいから余計なことは考えるな。お前は伊臣を使いこなすことと、風木の持ちキャラであるエンフェルをぶっ殺すことだけ考えろ」


 逸人は電子黒板にパソコンからメッセージを送り、表示させる。

 電子黒板に“技縛り戦”と表示される。


「“技縛り戦”……ってなんですか?」


 と影弓は首を傾げる。


「名の通りだ。これから俺と技を縛って戦ってもらう。俺はエンフェルを使い、お前は伊臣を使う。そんで、1戦ごとに使っていいコマンド技は1つに絞らせてもらう」

「た、たった1つですか!?」

「ああ。ジャンプ、しゃがみ、ガード、弱~強攻撃や掴み等々基本的な操作は使っていいが、コマンド入力が必要な技は1つだけしか使ってはならない。伊臣の技は全部で10個。今日は全ての技で縛り戦をしたいから、10戦はしてもらうぞ」


 影弓は自分で、“縛り戦”の意味を考える。


(1つの技を使い続けることで、その技を深く知ることができる……ってことかな? まだ僕は伊臣を全然使ったことないし、いきなり全部の技を使いこなせって言われても混乱するしね……)


 影弓の考えは3割ほど当たっている。だが逸人の全ての考えを見抜いてはいない。


 この“縛り戦”で大事なのは影弓が技を縛ることではなく、逸人が技を縛ることにある。自分が使うキャラより、敵が使うキャラを深く知る方が難しい。技1つ1つのどこに隙があるのか、技の正確な射程や速度を把握するのは困難。しかし同じ技を振り続ければさすがに敵のキャラの技とはいえ正確に分析できる。


「まず最初は対空技の“空斬死”オンリーな」

「わ、わかりました!」


 2人の修行が始まる。



 --- 



 ゲーマーズ校、女子寮への帰り道。


「ひーかるん!」

「のわっ!」


 風木光の背中にギャル……赤峰美咲が抱き着く。


「ちょ、いきなり抱き着かないでよ! 美咲!」

「あっれぇ? ひかるん、ちょっとおっぱいおっきくなった?」

「ちょっ! 揉むな!」


 風木の肘打ちを赤峰は軽く躱す。

 オレンジの短髪で、男勝りな風木。赤とピンクのツートンカラーでロングヘアーのギャルな赤峰。一見、正反対な雰囲気の2人は並んで歩いていく。


「ピリピリしてんね~。ちっちゃい頃からの推しに会えてご満悦だと思ってたのに」

「昔の話よ。もうアイツに憧れなんてない」


 赤峰は唇に指を当て、


「へぇ~、じゃあ私が逸人さんとキスとかしてもなんとも思わない?」

「はぁ!? 大事な幼馴染があんなクズとキスして、なんとも思わないわけないでしょ!」

「そっかそっか。そっちに持っていくのか。もう、素直じゃないんだから~」

「……あのねぇ、本当に私はもうアイツのことはなんとも思ってないから。余計な勘繰りはやめなさい」


 思い切り睨みを利かす赤峰。


「でもでも、逸人さんとのツーショット写真、寮にまで持ってきてるじゃん。子供の頃に撮ってもらったやつ」

「え、なんでアンタそのこと……」

「え? ガチで? 適当に言ったんだけど……」

「~~~~っ!!」


 風木は大股で歩き、赤峰を置いていく。


「もう知るか! 絶交よ絶交!」

「ごめんごめん! 言い過ぎたってばぁ~」

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