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運び屋マッコイ  作者: カボチャノニモノ
3/8

メロンメロン②

空が明るみ始めている。


歯を磨きながら昨晩買った新聞を読んでいた。配達業務に携わる者として、世の中の情勢は知っとかないと。


・・・いつ危険地帯に行かされるか分かったもんじゃない。


ふと、ある広告が目に止まる。他の記事と同じようにモノクロのはずなのに、一際目を引くその広告がある。

我が社の広告だ。


『北から南、深海から宇宙まで!お手紙からお家まで!超優秀魔導テクノロジーはいつでもどこでも何でもお届けします!』


・・・苦笑いが出る。超優秀魔導テクノロジー?物は言いよう、嘘では無い・・・のか?いや、やっぱこれは嘘八百だろ!


仰々しい謳い文句でお馴染みの我が社だが、何が超優秀魔導テクノロジーなのか、その実ただの社員による人力である。


じゃあ、どのようにこの広い世界各地へ荷物を配送するだなんて無茶を通しているのか。


答えは単純明快。社員それぞれの魔法で無理矢理それを実現しているだけだ。


超優秀魔導テクノロジーとは、つまりは超優秀な社員ってこと。


入社してその現実を目の当たりにした時、正直、入る会社間違えたと思ったっけ。


だって俺には、魔法を使う力、魔力が目覚めていないから。


魔法とは、その昔はカミサマのものだったらしい。人とカミサマの境界が無くなった時、人類の中にも魔法を有する者が現れ始めたと言う話だ。


そして今や、魔法は人類が皆扱えると言っても過言では無い。


炎を出したり透明になったりする魔法らしい魔法もあれば、何を食っても太らないとかいう分かりにくい魔法もある。本当に人それぞれ、魔法にも個性がある。


なのに、何故俺には・・・。

まぁ、心当たりは、ある。それは不自由な足にも関係があることだが・・・。


「いかんいかん!」


暗くなりそうな自分を奮い立たせる。

今はそんなことをウジウジ言っている場合ではない。状況は既にずいぶん変わった。

俺は世界郵便の駆け出しNo.13ボンバ。


仕事に行こう。恩人に恩を返さねば。


マッコイはぐっすり寝ているはず。彼女は一度寝たらなかなか起きない。酒が入れば尚更だ。


ただでさえ、移動では迷惑をかけている。手紙を一通ポストに入れるくらい、俺にもできる。


・・・。

・・・そうなんだよなぁ。


そう、今回の仕事は、「俺にもできる」のだ。

それがずっと引っかかっている。


世界郵便は確かに一般的な郵送業務も請け負っている。だが、超優秀社員たちに割り振られる仕事はいずれも危険度や負担が大きいものばかりだ。例えば、戦場のど真ん中に救援物資を運んだり、生命の一つも存在しないような環境から鉱石のサンプルを入手してきたり・・・。そんなの郵便屋さんの仕事じゃない!!と世界中からツッコミが殺到するような仕事のオンパレードなのである。

危険が大きいからこそ、俺やマッコイのように、社員はコンビを組むという訳だ。


そして俺はともかくとして、マッコイはもちろん、超優秀社員の枠に当てはまる。マッコイにこの簡単な仕事・・・?というのが疑問なのだ。


実際、ここ数ヶ月の仕事はマッコイがいなければとてもとても俺の手に負えるようなものではなかった。というか、何度か死にかけた。


我らが社長のニヤケ顔を思い出す。


ー期待しているよ。ボンバ。


・・・また何か企んでいるのだろうか。


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