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第1話 あからさまな悪意に安心している
「あんたって、心から信じられる人間、いなさそうね」
あからさまな悪意は
ひそやかな悪意よりも
救いがある
え?
そんな事ない
いいや 俺にとってはそうなのさ
背中から刺される状況を想像してみろよ
けっこうおったまげるんだぜ
あれ 怖いもんだよ
それにくらべりゃ
いつ敵意と殺意を向けられるのか分かりゃ
怖くなんてない
いいかい?
恐れていちゃだめだ
いくら強大な敵でも
事前に襲ってくるってわかりゃ
それなりに対処がとれるもんさ
生き残るためには
誰か敵か分かっている方が
都合がいいのさ
「だから俺は最初から誰の味方にもならない。誰の事も敵だと思っているんだ」
「ストーリー」
あーあ。
デスゲームに参加する奴の中に、馬鹿がいるな。
「信じあえば、乗り越えられる」
だなんて。
アホなんかね。
あんなふうに隙を堂々と作るなんて、本当に馬鹿だよ。