「伝説の虹のリボン」
お空の虹を思い浮かべてごらん……。
あるところに、お空の国がありました。
お空の国には、消えない虹が常にその空に架かっていました。
虹の端と端には『虹の夫婦』が住んでいました。
妻はお空の国の果ての大地の家に、夫はお空の国のもう片方の果ての山の麓にある家に、それぞれ暮らしていました。
二人は離れ離れだけれど夫婦でした。
虹のリボンをそれぞれ手に持って、端と端をそれぞれ掴みながらお互いのことを想い合う仲の良い二人でした。
二人はいつも歌っています。
「色とりどりの虹のリボン
私と君を繋ぐ虹のリボン
その手と手で持った虹のリボン
お互いに放すことは決してないよ
だって虹のリボンはお空の国に永遠に架かっているんだもの
放せば虹のリボンは消えてしまう……」
夫は、その歌を歌った後、こう付け加えました。
「君は、ずっと虹のリボンを持ち続けると言ったね。だから虹のリボンは美しいんだね」
妻もこう言いました。
「貴方も、絶対に放さないと言ってくれたわね。だから私たちの虹のリボンは美しいのね」
お互いの言葉は虹のリボンの想いに乗って、届いていたのです。
二人は満足でした。
ある時、風の妖精が悪戯をして、虹のリボンを強く揺らしました。
その風に煽られ、山の麓に居た夫の目に小さな葉っぱが飛び込んできました。
夫は目が痛くて、思わず虹のリボンの端を放してしまいました。
スッとお空の国から、虹が消えました。
妻はビックリして、ひらひらと漂う自分の持つ虹のリボンを見て泣いてしまいました。
夫に何かあったのだと思ったからです。
夫の心変わりを疑ってしまった妻は、泣いて泣いて泣き続けました。
晴れの多い、お空の国にみるみる黒雲が湧いて大雨が降りだしました。
大粒の雨の向こうから、夫が必死で手を伸ばしている様子が妻に伝わってきました。
必死で、「もう放さないよ、絶対に何があっても!」と叫ぶ声も聞こえました。
妻の涙は、徐々に収まり、雨も徐々に止みました。
涙でぐしょぐしょの顔の妻は、目の前に誰かがびしょ濡れで立っているのに気付きました。
それは、虹のリボンの端をしっかり持った夫でした。
二人は夫婦になってから初めて出会ったのです。
「大丈夫。僕はここに居る」
そして妻をしっかりと抱き締め、愛の言葉を囁きました。
お空の国に、また虹が架かり、妻の顔にも笑顔が戻ったのです。
これが、伝説の虹のリボンの夫婦の話。
お読み下さり、ありがとうございました。




