秘宝の眠る島へ
サブタイトル詐欺
「こう言うのも遭難って言うのかなぁ…」
一行は沖にある島に行くための帆船に乗っていたが、途中船長をはじめ船員が居なくなっていた。
ボートの類もなくなっているので、事故とかではないだろう。
「釣れたー」
「こっちもにゃー」
食料に困らないのは良いが、このメンバーで釣りというのは、どうにもズルをしている様で喜べない。
魔法使いに精霊使いに悪魔…
そもそも、このメンバーでなければ今ごろ海の藻屑だったわけだが。
船底に穴が開いているが、水の方が侵入を遠慮してくれている。
非常識な話だ。
操船の方も風の精霊や水の精霊が大活躍だ。
「今日はわっちが料理するにゃー」
「手伝うよー」
「…私も火ぐらいなら付けられるが」
子供2人がこっちを見て少し考える。
「要らなーい」
「うん、私もそう思うけど、その言い方はダメだぞ」
頭をグリグリなでる。
「ごめんなさーい」
「にゃははは」
野宿した時用の料理だから、大雑把ではあるが別に不味くはないつもりでいたが、この2人の料理に比べるとやはりだいぶ差が開くのは否定できない。魔法のカバンに入っている調味料や香草の類が3倍以上になっていることからも歴然だ。
明日の昼前に着くように調整してもらっているので、今日のところはのんびり料理を頂いて、ゆっくりする事にする。
「やはり現れたな、悪魔に魂を売った紛い物の騎士よ。この地に眠る王家の秘宝が目当てであろう」
銀色の甲冑を身に纏った上にマントを羽織った騎士が出迎えた。
後ろに同じ様な格好の騎士が20人ほど居る。
船着場があるのとは違うところに船ごと乗り上げて、土魔法で固定して上陸したと言うのに無駄手間だったか。
そう思ったが、そもそも船底に穴が開いているから、普通に船着場に置いて沈まれるのも面倒か。
「悪魔に魂を売ったのかにゃ?」
「いや、蒸気騎士に対する偏見だよ。とは言え、いまちょっと完全には否定できないのが辛いところだな」
「わっちは買ってないにゃ」
「売る気はないよ」
完全にやる気のない、疲れた顔で答える。
「何をごちゃごちゃ言っているか。まあいい、どの道ここで始末するのだ」
騎士たちが抜刀する。
「騎士団の連中とは反りが合わないけど、王都周辺の警備とか居ないよりはマシだろ思っていたが、こんなところで遊んでいるんなら要らないか」
「子供の前で殺しはしないんじゃなかったのにゃ?」
ゴスロリ悪魔がわざとらしく周りを見回す。
「アレレ? アノコヤトカゲサンガイナイにゃー?」
完全に棒読みだ。
「町の方にもやつらの仲間が居て、酷い有様だったからちょっと懲らしめておいだぞ」
蜥蜴の様な生き物と、精霊使いの少女がふんすと鼻息を荒くしている。
「あまり乱暴はダメだぞ」
そう言いつつ頭を撫でる。
「ちょっと早いけどお昼を食べて、山にでも登ろうか」
「ハイキング?」
「ハイキングよりはちょっと大変かもだけど、景色は良いと思うよ」
「遊びに来たにゃ?」
「そうだよ?」
「…」
もっとこう、観光っぽい内容にしたかったんですけど、私が旅行とか嫌いなんでにんとも