海を見ていた午後
せっかくの海回ですが、特にサービスシーンは無いです(小説でサービス回って無理だろ
「わーーーーーーっ」
「にゃーーーーーっ」
水色のワンピース水着の少女と、黒地に白のフリルがついたワンピース水着を着た少女が砂浜を走り回っている。
「子供は元気だなぁ」
「枯れてるな」
「ま、若くは無いからな…」
「きゃーーーーーーっ」
「にゃはははははははっ」
大きな波に足を取られて転んでいる。
「…」
「いつものお願いしても良いかな」
精霊使いの少女に水の精霊を召喚してもらう。
魔法のボイラーのタンクに水が充填される。
普通の蒸気騎士は水魔法を使えるので、蒸気魔導器には水魔法を扱う機能はなく、逆に火を操る魔法回路が組み込まれている。
「水の心配がないのがこんなに快適だとは思わなかったわ…」
魔導器の回路を無視して直接火の魔法を発動、ボイラーの出力が上がった事を計器が教えてくれる。
普段水を節約するために閉じているバルブを全て開ける。
蒸気がピストンを動かし、装備の歯車が回転して自動詠唱を始めると光の歯車が展開して、魔法がセットされる。
細かい魔物が剣の一振りで消滅していく。
「火魔法のギヤをはずして、水魔法のギヤを組み込むとか出来ないかなぁ」
索敵魔法の範囲内に魔物がいなくなった事を確認して蒸気魔導器を魔法のカバンにしまう。
『そんな事をしなくても、お前が一言命じれば精霊は力尽きるまでその力を行使すると言うのに』
「それはダメだろ…」
「なにがダメにゃ?」
「…いや、なんでもない。結界を戻してくるかい?」
「オッケーにゃ。いちいち魔物の相手なんかしなければ良くないかにゃ?」
「そう言うわけにも行かないだろ。むしろ、いや、なんでもない」
そう言うと似合わないメガネを出してかける。
そもそも認識を阻害する結界を張っているのだから変装をする意味もないわけだが。
「いまさらだけど、疲れたりしない?」
頭を撫でながら尋ねる。
「私はお願いしているだけだよ?」
なに言っているのか分からないと言う顔。
「私が言わなくてもママのためなら、みんな助けてくれると思うけどなぁ」
「ママじゃねえってば…」
「もう、ママで良いじゃねえか」
「そんなわけには…」
「本物のママが出てきたらどうするんだよ」
「本物のママに返す気あるのかにゃ?」
「なんで私1人責められてるの〜」
王都に向かうわけにも行かず放浪していた一行は、途中、住人の手に負えそうも無い魔物を間引きつつ、ちょっとした事故で騎士団の騎士をぶっ飛ばしたりとトラブルもあったものの、とりあえず最初の目的地にたどり着いた。
王国の南端、海である。
「うわーっ」
「にゃーっ」
「おい、大丈夫なのか?あれ」
「精霊使いだ、自然現象で死んだりしねぇだろ」
「悪魔は溺れて死んだりするのか?」
「分からん」
「海に来たと言うことは、海外逃亡か?」
「なんでやねん」
「騎士団といざこざとか起こしてるじゃねーか」
「う、まあ、結界もあるし、美味いものでも食ってのんびりしようや」
「海で美味いものっつーと、魚か?」
「サカナって甘いー?」
「いや、お菓子じゃねーよ」
「そろそろ宿に行くにゃ?」
「そうだな、そうすっか」
一行は西に傾いた日を背に、宿へと向かった。
なんかもう、適当に事件起こして終わらせたい病が発病しそうです(