王都へ
終盤ありがちなめんどくさい展開(オ
街を背にした教皇から前に向かって爆発的な力が放出された。
破壊魔法では無い様で、無駄に地面が掘り起こされたりと言ったことは起こらない様だ。
とは言え、意味のない発光ではないことは間違いない。
一か八か、教皇の懐に飛び込むことで攻撃を回避できた。
「ちょっと一回止めにしないか?」
「ふざけるな。お前の様なやつを野放しに出来るものかよ」
教皇の持つ杖が光を放つ。
「危なっ」
間合いを開けすぎない様に気をつけつつ、教皇の攻撃をのらりくらりと躱す。
「あまり窮地に追いやられると、主人公的な力がアレしちゃうから、この辺にしたいんだが」
「そんな事を言われて手を緩める奴がいるか」
「ですよねー」
「とは言えそろそろ時間切れというか水切れなので」
タンクの残量がレッドゾーンに差し掛かっている。
「ならばそのまま討ち取られよ」
「遠慮しておきます」
上空に飛翔する。
先ほどまでゴスロリ悪魔が居たところに魔法陣が浮いている。
「縁があったらまたお会いしましょう」
魔法陣に飛び込むと魔法陣ごと消えてしまう。
「お役に立てたかにゃ?」
「そりゃもう。ああ言う人たちは本気で自分の正義を信じているから難しいよ…」
転移した先は北の街より王都に近い辺りだった。
「肉を食べ損ねたにゃ」
「肉なら王都でも食べられる」
「あの2人は大丈夫かにゃぁ?」
「…ダメじゃないかな」
「そっか、ダメかー…って、そうにゃ?」
「…だいぶ、風向きが悪い」
「最近の王都の様子はどうだい?」
途中、混ぜてもらった商人のキャラバンで情報収集をする。
「王都は今大変だよ。この前のドラゴン退治で虎の子の蒸気魔法騎士も壊滅したし、普通の騎士団が穴を埋めようと右往左往しているが、なかなか上手く入っていないみたいだし、神官たちも落ち着かないみたいだ」
「直接、危険とかはないのかい?」
「大きな事件とかがあったって話は聞かないなぁ。相変わらず魔物との小競り合いとかはあるみたいだけどな」
「なんか思ったより大変なことになってないかにゃ? ふらふらしてて良かったにゃ?」
「今更だな。ただ、蒸気騎士壊滅はドラゴンうんぬんが全てではないだろう…」
「王都に近寄らなかったのはそれもあったのにゃ〜」
怖い怖い、と言うジェスチャーをして首を振っている。
「急ぎの御用でしたらこちらから伺いましたのに」
女王が膝をついて頭を下げている。
「王様がそんな風に頭を下げてはダメだよ」
「何をおっしゃいますか。大陸に平和をもたらせ4つの王国の基礎を築いた皇帝に相応しい方が…」
「そばで見ていた君までそう言う事を言うのか…」
「本日の御用向きはこちらですね?」
女王が紋章の様なものを差し出す。
「すまないね」
「何をおっしゃいます。そもそもこれはあなたの物ではありませんか」
「それがはじまりの歯車か。こちらに渡してもらおうか」
いつのまにか1人の少女が立っていた。
バレバレな引き