再び王都へ3
王城へ着き、シャルーラの案内に従い海は部屋に通された。
ミウ達は、シャルーラと一緒に別室に案内されていた。
衣装を着替えて待っていると、メイドが現れ、会場に案内されたが
ミウ達の姿は、無かった。
会場の隅で飲み物を飲みながら、周りを見ると、皆、豪華な衣装に身を包み、
笑顔を振りまいている。ただ、海が思うよりも若い人が多い、
女性は、外見だけで考えると父親位の人を同伴しているようだ。
周りを観察しながら時間を潰していると、会場の扉が開き、
そこには着飾ったミウ達がいた。
ミウは、真っ赤なドレスに、海から貰ったネックレスと左腕に金と銀の腕輪を付けていた。
「海よ、わらわはどうじゃ」
「うん、綺麗だよ、ドレスが凄く似合ってる」
「そうか、わらわも満足じゃ」
「ミウ、ネックレスと腕輪、僕のあげた物で良かったの」
「当り前じゃ、わらわは他の物など肌に合わぬ」
「そっか、ありがとう」
「うむ」
ミウと会話をしている内に皆も集まって来た。
「海、待った?」
「そんなことはないよ、リリ、ドレス、とても似合っているよ」
リリは、黄色のシンプルなドレスに、海から貰ったネックレスと腕輪をしていた。
「「海さん」」
リリの後ろには、サーシャとミカルがいた。
サーシャは、紫の衣装を着ていて、ミカルは色の濃いピンクの衣装を着ていた。
装飾品は、やはり海から貰った腕輪とネックレスだった。
ただ、サーシャはネックレスを持っていなかったので
海は、サーシャにネックレスを渡した。
「サーシャ、もし良かったらこれを付けてくれないか」
「はい・・・有り難うございます」
サーシャは海に、笑顔で答え、貰ったネックレスを海に渡し、後ろを向いた。
海は、黙ってサーシャにネックレスを付けた。
この後、4人で会話を楽しんでいると、檀上に近い扉から王族一家が入って来た。
その中にシャルーラも居たのだが、シャルーラのネックレスは海のあげた物だった。
王族一家が、檀上に並んだところで王からの挨拶があり、
次に、ブレイン王子の挨拶があった。
その後、歓談が再開され、王子や姫たちは、貴族の所に挨拶周りをしていた。
その様子を見ていると、どうやら若い人が多かったのは
貴族が自分の娘を売り込む為だったらしい。
その様子を見ていると、シャルーラが海の所に来た。
「海様、楽しんで頂けていますか」
「はい、シャルーラ姫様、今日はお招き頂き有難うございます。
私共は、十分に楽しませて頂いております」
「海様、そのような他人行儀な話し方はお止め下さい」
「わかったよ、シャルーラ」
シャルーラは、満足したのか微笑んだ。
「海様、この後、お父様に挨拶をお願いしますね」
「え?」
「いえ、各貴族も致しますので、ご安心ください」
「あっ、はい、わかりました」
海は少し焦ったが、シャルーラの説明を聞いて安心した。
シャルーラが言っていた通り、各貴族が王の所へ挨拶をしていたので
海もミウ達を連れて挨拶に向かった。
「陛下、本日はお招き頂き、有り難うございます」
「海よ、よく来た。
今日はゆっくりしたまえ」
「はい、有り難うございます」
「それから、後で執務室へ来てくれ」
「は、はい・・・・」
海の驚いた返事に、ブレイン王子がクスクスと笑っていた。
王への挨拶を済ませ、歓談していると娘を連れた貴族がやってきた。
「そちらの御仁は、初めて見ますな。
私は、ブガード ドラ オルンです」
「私は海と申します」
「なんと、貴族ではないのですね」
「はい、僕は、貴族ではありません」
「失礼しました。あまりにも綺麗な方々を
お連れして おられましたので勘違いをしてしまいました」
「そうですか」
「ところで、どなたの紹介でこちらに・・・」
「はい、陛下から御招待頂きました」
海の事が平民と分かり、揶揄ってやろうかと思ったが
陛下からの招待と聞き、貴族は大人しく下がった。
「そ、そうですか、機会が御座いましたら、また、お会い致しましょう」
「はい」
貴族は、海達の周りから離れていった。
その様子を遠巻きに見ていた少女が近づいて来る。
「初めまして、私はシンディよ。
宜しくね、海様。」
「はい、僕をご存じなのですか?」
「勿論、妹のお気に入りですから」
「妹・・・・」
「シャルーラよ、知っているでしょ」
「勿論です」
「海様は、シャルーラにネックレスを差し上げたとか、聞きましたわ」
「はい、皆と買い物に行った時に、渡しました」
「あれ、凄いものよね」
「え?
皆、持ってますよ」
シンディは驚いて、海の周りの女の子達を見ると全員が持っていた。
「あの、海様、すべてあなたが付与したの?」
「そうです、僕達は冒険者ですから、いつ怪我をするかわかりませんから」
「海様、私、少し失礼しますね」
シンディは、海の所から去って行った。
「ミウ、その腕輪とかネックレスは、凄い物なの?」
「そうじゃな、魔法を付与するのは出来ない訳ではないが
中々難しいし、出回らない高価な物じゃからのぅ」
「先に行ってよ」
「ハハハ、海よ、付与された魔法を知ったらもっと驚くのは間違いないぞ」
「じゃあ、王様から呼ばれたのって・・・・」
「そうかもしれんのぅ」
海は、自分のやった事がとんでもない事だと自覚した。
パーティーが終わり、着替えて王の執務室に向かった。
王は、既に待っていたらしく、扉を叩くとすぐに返事が返ってきた。
中に入ると、シャルーラと王がいた。
「海よ、すまないな。
少し、頼み事があってな」
「はい、陛下の頼み事なら、出来るだけ叶えたいと思いますが」
「そうか、2つ程、あるのだが、良いか?」
「まずは、お話頂けますか」
「ああそうだな、シャルーラから聞いたのだが、
このネックレスは魔法が付与してあるのは誠か」
「はい、事実です。
僕の魔法が付与してあります」
ミウと話した通りだったと海は思った。
「王族は立場上、先の件に有ったように狙われる事も多い。
それで海にシャルーラと同じ様な物を用意して欲しいのだが」
「魔法の付与ですか。
私が付与した物だと他言しない事を約束して頂けるのなら、陛下の分を準備します」
「わかった、約束しよう。
それで、どの様な魔法を付与出来るのだ」
「はい、シャルーラにはホーリーヒールが2つとデポイズンが付与してあります」
「ホーリーヒールだと!
そのような高度の魔法がシャルーラのネックレスには付与されておるのか」
シャルーラがネックレスを手に取り、陛下に自慢していた。
「シャルーラ・・・・・」
「海よ、私も同じで良いが、何時頃出来るのだ」
「腕輪かネックレスがあれば、今ここで作れますよ」
「わかった、今すぐ準備しよう」
「ただ、削ったりしますので、そこはご理解下さい」
「ああ、構わない」
陛下は、一旦、席を離れて執務室を出て行った。
「シャルーラ、陛下に話したの?」
「すいません。
パーティーに出るのだからネックレスを変えろと言われまして
それで、お父様に、魔法が付与してある事を話して認めて頂きました」
「外しても良かったんじゃない?」
「嫌です。 海様からの頂き物です。
外したくありません」
「なら、仕方ないですね」
「はい!」
「ところで他に誰かに話した?」
「姉さまに聞かれましたので
海様のからの頂き物という事は話しました」
海は、姉も来るかもしれないと思った。
シャルーラと話していると王が戻って来た。
王の手には王家の紋章のついたネックレスと指輪と腕があった。
「陛下、紋章が付いてますが・・・」
「構わん、選んでくれたら良い」
「どれでも構いません、陛下が身に着けやすい物を選んで下さい」
陛下は腕輪を選んだので、海は付与できる宝石を3つ取り出し、
腕輪に取り付け、魔法を付与した。
「陛下、できました、ホーリーヒールが2つとデポイズンを付与してありますので
使うときはそれぞれ『ホーリーヒール』・『デポイズン』と唱えて頂ければ発動します。
それから、腕輪をはめたら魔力を流して下さい。
それで使用出来ますし、陛下専用になり、他の人には使えなくなります」
陛下は、腕にはめて魔力を流した。
「海よ、すまんな、後で代金は払おう。
それから、もう1つの頼み事だが、シャルーラを海の傍において欲しいのだ」
「え!!」
「シャルーラはそなたの婚約者達と、なにやら約束があるようでな。
シャルーラは、他国に留学したとでも言っておくので、頼めるか」
シャルーラを見ると真剣な顔をして、海を見ていた。
海は、ミウ達との約束と言われたら断れないので了承した。
「シャルーラ姫をお預かり致します」
「そうか、シャルーラ、よかったな」
「はい、お父様、有り難うございます」
「では、準備しなさい」
シャルーラは、準備をする為に執務室を出て、王城にある自分の部屋に向かった。
その後、王から代金を受け取り、皆と一緒に宿に戻った。
宿に戻る時、海達を見つめる教会の聖騎士達がいた。
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