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ある日、突然、異世界記  作者: タロさ
異世界での生活
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王都9

海は、ミウに抱えられて空を飛んだ。


「なんか、いつもの逆だね」

「海よ、どうしたのじゃ?」

「うん、余りにも酷いからさ、犯罪を犯したとか理由があれば納得出来るだろうけど

 教会で、一所懸命、皆の為に仕えて最後が牢屋で過ごすか、壊れて奴隷になるかなんて

 夢も希望もないよね」

「わらわもそう思うぞ」

「僕達じゃどうしようもない事だから、あとは王様に任せよう」

「そうじゃのぅ」


海とミウは話をしながら空から王城に入り、王の寝室を目指した。


「サーチ」


海は魔法を使い、王の寝室を見つけミウと2人で忍び込んだ。


「陛下、陛下、起きてください」


王は呼びかけに目を覚まし、海とミウを見つめた。


「そなたらはこの間の冒険者だな」

「はい、深夜の突然の訪問、どうかお許しください」

「何か用があってここまで来たのだろう

 話してみよ」

「実はグスタフについてでございます」

「グスタフとな・・・」

「まずはこれを」


海は、グスタフの屋敷で手に入れた証拠を王に渡した。


「これを何処で手に入れたのだ」

「グスタフの屋敷です。

 実は、私共は宿に泊まっている所を襲われ、殺されそうになりました。

 ですが、相手を捕まえて尋問したら、グスタフの配下と分かり、

 グスタフの屋敷を訪ねて証拠を押さえました」

「そうか、それで今、奴らはどうしておる」

「はい、襲撃者、馬車に乗っていた男、グスタフは地下牢にいます。

 それから、グスタフの用心棒や使用人は、誰が関係者かわからないので

 全員、ロープで縛って屋敷に置いてきました」

「わかった、何が望みだ」

「望みはありません。

 ただ、グスタフや教会の手を出した者をきちんと処罰して欲しいです」

「わかった。王の名に誓って奴らには処罰を下そう。

 これからすぐに動く、そなたらはここに居ては不味いだろう。

 早く行け、あまり無茶をするでないぞ」

「では、失礼します」


海とミウは空から王城を後にした。


翌日、海は3人に自己紹介をした。


「僕は海、彼女達はミウとリリです」

「私はメイル、彼女がクレアそしてフォルンです。

 この度は、助けて頂き有難うございます」

「お気になさらず。これからどうするの?」

「私達は、元は孤児ですので行く所もありません。

 それに教会に帰ることも出来ません」

「なら、僕達の集落に来る?

 あるのは畑と牧場位だけど」

「良いのですか」

「いいよ。あっでも獣人とか嫌い?」

「問題ありません」

「他の2人は?」

「大丈夫です」

「問題ないです」

「そか、なら僕達が帰るときに一緒に帰ろう」

「「「はい!」」」

「必要な物もあると思うから皆で市場に行こう」


3人を連れて海、ミウ、リリは市場に買い物に出かけた。


「メイルさん、クレアさん、フォルンさん、衣服とか小物とか必要な物は

 遠慮せずに買っておいてね」

「良いのですか?」

「はい、王都には中々来れませんから。

 ミウ、リリも、そろそろ集落に戻るから、買い忘れないようにしてね」

「わかっておる」

「は~い」


皆で買い物を済ませ、こはく亭に戻った。


「ただいま、イグリットさん、また、キッチン借りていいですか?」

「はい、使ってください」


海はイグリットの了解をとり、料理を始めた。

今回の料理は、野菜とコッケイの煮物、山羊のソテー、

コッケイのグラタン、サラダ、プリン、パン。

先にプリンを作り、魔法で氷をだして冷やした。

それから、他の物を作っていった。

食堂のテーブルを横に並べて1つのテーブルにして料理を並べた。

料理が出来上がり、皆を食堂に呼んだ。


「みんな揃ったので食べましょう」


料理がどんどん減って行き、皆、お腹一杯になるまで食べた。


「皆、もう、食べれない?」

「海よ、何かあるのか」

「うん、デザートを作ったけど、まだ出してないんだ」

「え・・・」

「無理なら止めておこうと思って」

「いじわるするでない!」

「うみぃ~」

「今、持ってきます」


海はプリンを出した。


「なにこれ?」

「プリンだよ、食べてみて」


皆が食べた。


「「「「「うま~い!!!」」」」」

「海よ、集落でもつくるのじゃぞ」

「甘くておいしい!」

「海、里の子供たちに欲しいな」


好評だった。

海がここで話した。


「皆、明日はギルドに挨拶して、ゆっくりしようと思う。

 それから、明後日、王都を出発しよう」

「うむ」

「わかった」


他の者も頷いた。

その時、サーシャが声を掛けて来た。


「海さん、私を冒険者にしてください」

「え?」


皆が驚いた。

特にイグリットは驚いている。


「サーシャ、本気なの?

 お店はどうするの?」

「お姉ちゃん、私達だけじゃ無理だよ」

「わかってるわよ!!そんなこと・・・わかってるけど・・

 行く所がないんだよ!ここを出て行ったら生活できないよ・・・・・」


イグリットは涙を流しながら、奥に走って行った。


「サーシャさん、きちんと話した方がいいよ。

 それに僕が冒険者をやっているのは、冒険の為じゃなくて

 生活の為なんだよ。

 僕達の集落はね、山の奥深くにあるんだ。

 そこで生活する為には、魔獣を狩って街に持って行って売る必要がある。

 それには冒険者という身分があると便利だからギルドに入っているんだ」

「・・・・・」

「話しておいで」


サーシャはイグリットの元へ向かった。


「うみさん、いなくなるの?」

「ジョナちゃん、おうちに帰るんだよ」

「ジョナは?」

「ジョナちゃんちはここでしょ、だからね・・・」


ジョナは下を向いたまま黙ってしまった。

海はたまらず、緊急会議をミウとリリと開いた。


「ごめん、議題は予想通りです」


ミウは可笑しくて笑った。


「海よ、なぜ、悩む。

 もう、決まっておるじゃろ」

「ねぇ海、もし、このまま帰って、あの子達が店も無くなって

 誰かに売られる事になったら後悔しない?」

「後悔します・・・・」

「まぁ、そこまで酷くならずとも、つらい目にあえば後悔するじゃろ」

「・・・・・・」

「で、どうするの?」

「彼女達が望むなら連れて帰るよ」

「うむ」

「決定!」


海、ミウ、リリはイグリット達に会いに向かった。


「イグリットさん、少しいいかな」

「海さん、何か?」

「うん、相談だけど・・・他の2人にも聞いて欲しい」


イグリットは妹2人を連れてきて海達の前に座った。


「イグリットさんに前に聞いたよね、行く場所があったらどうするって」

「はい」

「で、提案。3人で僕達の集落に来ない?

 山奥で何も無いけど、どう?」

「え?」

「あるのは畑と牧場、それだけののんびりした所だよ。

 ただ、ここと違って皆が家族みたいな所だから

 個人が儲かるとかは無い。皆が困らないように生活する場所」

「私達が行ってもいいのですか?」

「うん、大丈夫。

 みんなと同じ様に働いてもらうけどね」


イグリットが考えていると


「お姉ちゃん、私、行きたい!」

「ジョナもいく」


イグリットは二人の顔を見てから答えた。


「海さん、連れて行ってください」

「うん、これからも宜しく」


結局、全員で集落に行く事になった。

翌日、ミウとリリと一緒に、イグリット達の必要な物を買った後

こはく亭に戻り引っ越しの準備をした。

その間に海はギルドに行き、グルムさんに挨拶をするついでに

こはく亭をギルドで買ってもらった。


その日の夜、皆で食事をし、

ギルドで、買ってもらったこはく亭のお金をイグリットに渡した。


「イグリットさん、これを渡しておくよ」


海は金貨30枚を渡した。


「こはく亭をギルドに売った代金だから持っていてね」

「ありがとうございます。

 これを・・・・・・」


イグリットは海に借りた金貨3枚を返した。


「ありがとう」


翌朝、海達は馬車を買ってから、王都を出発した。



評価及びブックマーク登録ありがとうございます。

不定期投稿ですがよろしくお願いします。

温かい目で見て頂ければ幸いです。

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