王都3
教会の近くまで行くと、物々しい雰囲気に包まれていた。
明らかに、何かがあったとしか言いようのない様子だったが
海達は、気にせず、教会の中に入っていった。
教会の中に入ってからは、纏わり付く様な視線に、ミウとリリは晒されていた。
ミウは、銀髪、色白の美少女だし、リリは獣人だからかもしれないが
不快でしかなかった。
教壇に近づくと、神父が寄って来た。
「ようこそ、我が教会へ、今日はどの様な事で尋ねられたのですか?」
「いえ、用と言うほどの事ではありません。
私達は、旅をしていまして、その途中で王都に来たので
教会を見学したいと思って来ました」
「そうですか、何も無い所ですが、どうぞ、見て回って下さい」
そう言うと神父は去っていった。
海達は、教会の中を見て回っている時に、通路を見つけて
進むと中庭にでた。
中庭には、一般の人も入れるようで、途中で教会関係者に出会っても
何も言われる事はなかった。
ただ、若い女性の教会関係者達は、一瞬、こちらを見るが
慌てて目を反らし、何処かに消えて行った。
庭を、一通り見学した後、教会に戻ると神父がいた。
「いかがでしたか」
「はい、見学させて頂き、有り難うございます。
中庭がとても綺麗でした」
「そうですか、お気に召して頂ければなによりです」
「ところで、ここは若い女性の方が多いですね」
「はい、私達は、孤児を引き取って
生活の面倒をみておりますから
どうしても、若い子が増えてしまうのです」
「色々見学させて頂き、有り難うございました」
海は、お礼を言い、お布施を渡して教会を後にした。
海達が、教会を去った後、神父に呼ばれて1人の男が近寄って来た。
「カリム様、如何なされましたか」
「ドルク、お前も見ただろう、あの綺麗な少女と獣人の娘。
中々の物だと思わんか?
それに、旅人と言っておったし、居なくなっても分からないだろう」
「では、兵士にそれとない理由を言って、後をつけさせます」
「くれぐれも見つからないように」
「はい」
神父の命令を受け、2人の兵士が海達の後を追った。
その頃、海達は、王都の市場を散策していた。
「やはり、王都だと色々な物があるね」
「何処と比べておるのじゃ、王都の方が物があって当然じゃろ」
「ねぇ海、何か買ってもいい?
皆にお土産とか欲しいし」
「全然いいよ。
盗賊のおかげでお金も増えたし、好きな物を買ってよ。
後、皆の分もお願いするよ」
「わかったのじゃ」
「うん、まかせて!」
ミウとリリは満面の笑みを浮かべながら、周りの品々を物色し始めた。
海は、砂糖、酒、小麦などを大量に購入した。
ミウとリリは、指輪やネックレスを眺めていた。
「海よ、わらわ達に指輪かネックレスを買う気にはならんか?」
「気が付かなくてごめん、好きな物を買っていいよ」
ミウとリリは顔を見合わせて、決めていた指輪と飾りもないネックレスを手に取った。
海はそれを購入し、ミウとリリに送った。
「ミウ、リリ、僕は、中々気が利かない事があると思うけど
その時は、遠慮なく教えてね」
「大丈夫、それが海だから」
「そうじゃのぅ、余り気が利き過ぎるのも、どうかと思うしの」
その後も3人は、衣類、小物、武器を購入していった。
宿に戻る前に、近くにあった酒場で食事を摂った。
宿に戻ると、1人の女の子がこちらを見ていた。
海達が、中に入って行くと声を掛けて来た。
「おまえら、何の用だ!」
「え!」
「どこの手の者か聞いているんだよ!」
「あの・・・」
突然、突っかかって来られて困惑していると、中からイグリットが出て来た。
「サーシャ、止めなさい!
その人達はお客様ですよ!」
「え・・・・お客」
「もう・・・何をしているのですか。
皆さん、すいません。
この子はサーシャといいます」
「えっと・・あの・・・ごめんなさい!」
「気にしないでください。
被害があった訳ではありませんので」
再度、イグリット達に謝罪をされたが
気にしないで欲しいと伝えて部屋に戻った。
深夜になり皆が寝静まった頃、海は起き上がり
月の光が届く位置にあるテーブルに腰かけた。
海は、アイテムボックスから銀の腕輪を2つ取り出し
武器屋で買った魔法を付与できる宝石を、錬成を使い、腕輪に3個ずつ付けた。
宝石には、アイテムボックス、身体強化、ホーリーヒールを与えた。
海は腕輪に波のデザインを派手にならないように掘り、完成させて
腕輪をアイテムボックスに収め、ベットに戻り、眠りについた。
不定期投稿ですがよろしくお願いします。
温かい目で見て頂ければ幸いです。




