領主の館へ
会場でミウと食事をし、観覧していると領主が会場に現れた。
「皆さん、本日はようこそわが館へ
私は、この館の主、アダムス フォン アデル
そして妻のルビー フォン アデルだ
本日は、先刻起きたスタンビートで活躍した貴殿らを労う為の宴である故、
楽しんで欲しい」
領主の挨拶が済み、観覧している人達も楽しく飲んでいる。
冒険者、商人、兵団の人など本当に色々な人達が参加していた。
その中でもミウは目立っていた。
時折、商人の金持ちらしき人などが話しかけるが、ミウは言葉を発せず
海の腕に抱き着いている。
ミウと2人で楽しんでいると領主がやってきた。
「初めましてだね、楽しんで貰えているかい」
「はい、もちろん、
挨拶が遅れました。 僕は海といいます。こちらがミウです」
「綺麗なお嬢さんだね、奥さんかい」
「いいえ、妻では・・・」
「わらわは婚約者じゃ」
被せるようにミウが答えた。
あまりにも突然で海は返答できなかった。
(いつ、僕は婚約したのかなぁ~)
「そうか、ところで洞窟も調べてくれたんだよね」
「はい、ギルドには報告しましたが、洞窟はダンジョンになっていました」
「ダンジョンにか・・・君はそのダンジョンを何処まで進んだのだね」
「地下10階です。そこで行き止まりでしたので」
「10階か・・・強力な魔獣は発見できたか」
「はい、地竜が5体いました」
「なら、討伐隊を組む必要があるな」
「いえ、倒しましたから」
「倒した・・・・・君は・・・君は何人で挑んだのかね」
「僕とミウの2人です」
領主は信じられないとばかりに驚いている。
「たった2人で・・・・・
討伐した地竜はどうした?」
「はい、3体はギルドに卸ました。残りは持っています」
「持っているというのは、今、持っていると言うことかね」
「はい、その通りです。」
領主の目が輝きだした。
「海君、良ければ見せて貰えないだろうか」
「どこに出せばいいですか?」
「しばらく待ってくれ」
領主はそう言うと執事とメイドに指示をだし、会場の隅を大きく空けてシートをひいた。
「海君、ここに頼む」
「はい、1体ですか、2体ですか」
「1体でいい」
領主の許可をもらい地竜をシートの上にだした。
「おおーーー!」
地竜のまわりに人だかりができて来た。
領主は、スタンビートの発生の洞窟で見つかった事を皆に伝えていた。
海の所に領主が来て言った。
「海君、この地竜を私に売ってくれないだろうか?
もちろん、褒賞の意味も込めて色も付けさせてもらうが」
「構いませんよ。お売りいたします」
「有難い。それで出来れば2体とも譲って欲しいのだが」
「はい、どこに出せばいいですか?」
「今、案内しよう」
領主は、海を伴って会場から離れた中庭に連れて来た。
領主とともに妻、息子、娘も付いてきていた。
「ここに頼む。代金もすぐに持ってこよう」
海は地竜をだした。
子供たちも、目の前の地竜に興奮している。
その時、娘が海に話し掛けてきた。
「海様、この竜は海様が倒されたのですか?」
「いえ、彼女と2人で倒しました。」
「海様は凄い方なのですね」
「そんなことはありませんよ」
「ご謙遜なさらずとも良いのに・・・
海様、私、アダムス フォン アデルの娘
イルミナ フォン アデルと申します。
これから仲良くしてくださいませんか」
海は、ミウの力が強くなり、抱き着かれている腕に激痛を感じるようになった。
貴族の館での宴が終わり、海とミウは馬車に乗り宿を目指した。
結局、領主は地竜を1体金貨25枚で買い取ってくれた。
宿に戻るなり、ミウが血が欲しいと言いだし
また、全裸で抱き着かれた。
気が付いたら朝だった。
不定期投稿ですがよろしくお願いします。
温かい目で見て頂ければ幸いです。