ベイゼの街
朝、体の片側に温かいものを感じながら
海は目を覚ました。
体を起こそうとしたが、ミウが体に纏わりついている。
動かすと起きてしまいそうだから、動けなかった。
どうしたものかとそのままの体勢で思案していると
耳元から声が聞こえた。
「おはよう・・・」
ミウはまだ眠そうだ。
「おはよう、ミウ、朝食の準備をしてくるから
もう少し寝ていていいよ。」
「わかった・・・・寝る」
海は、起きて朝食の準備に取り掛かった。
朝食が出来たので、ミウを起こして食事にした。
「今日、街に行こうと思うけど
ミウ、案内してくれる?」
「うむ、かまわんぞ」
二人は準備を整え、拠点を出発した。
ベイゼの街までは歩けば夕方頃、着くとのことだが
早く到着する為に、海とミウは走った。
「主よ、わらわは走るのは苦手じゃ
疲れたら、おぶってくれよ。」
「わかった、その時は行ってね」
「うむ、ではおぶってくれ、疲れた。」
「え・・・早くない?」
「良いじゃろ!後で走るから・・・
早う・・・なぁ・・主よ・・・海よ・・・」
「わかったよ」
ミウが、駄々をこねるので一旦止まって
ミウを負んぶする。
「いい?行くよ」
海は、走りだした。
「楽でいいのぉ、それに良い乗り心地じゃ」
ミウはご機嫌になり、ニコニコしながら海におぶってもらっている。
森を抜け、ミウの案内に従い走り続けた。
途中からすれ違う人が増えてきたのでスピードを落とした。
海はミウに声をかける。
「ミウ、ごめん、食事持って来るの忘れた。」
「構わぬ、わらわの食事はわらわの近くにあるので
気にすることはないぞ」
「ミウ持ってきたの?」
「いいや、わらわの食事は勝手に動くでのぅ」
「そんなのあるんだ」
「まぁ、わらわ専用だけどな」
「わかった、僕はいいから食事にしてよ」
「良いのか?」
「うん、いいよ」
「では、止まってくれ」
ミウに、促され足を止め、近くの日陰にミウを下ろした。
「主よ、わらわの隣に座るのじゃ」
ミウの隣に海が座るとミウは立ち上がり、
海の膝の上に、向かい合うように座りなおした。
「ミウ、なにしてるの!」
「これから食事をするのじゃ、
わらわの食事は主の血じゃ、痛くないから安心せい!」
「えっ、聞いてないよ」
「主は先程、食事をしろと言ったではないか」
「あ・・・そういう事だったんだ。わかったよ。
ミウ、痛くないようにお願いします」
ミウは、満面の笑みで海の首元に吸い付いた。
ちぅちぅちぅ・・・
海は、可愛い音を立てながら血を飲むミウの頭を自然と撫でていた。
不定期投稿ですがよろしくお願いします。