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8話 魔剣の力

 


『第5魔界』。

 こいつらは簡単に言うが、俺たち人間にとって魔界とは危険な場所だ。

 魔界は第5から第1までの区間で別れており、1に近づくほど、危険度も増してくる。

 確か『第5魔界』でも推奨ランクはB級とかだった気がする…………

 魔界の中では一番マシだが、間違いなくD級の俺が来ていい所ではない。


「いきなりなんちゅう場所に連れてくんだ、魔界なんて俺には早いわ! 早く帰るぞ」


「まぁ落ち着きなさい。最悪私が助けてあげるわ。それに『ステュクス』もあるし、心配しすぎよ」


 魔剣は確かに強力だが……まだ一度も使ったことないんだぞ……


「んな事言ったってよ、いきなり魔界はないだろ……」


「ふん、いきなり魔王に斬りかかった男がよく言うわ」


 あの頃の俺は、本当にイカれてたわ…………

 スライムにすら負ける時があるのに、よく魔王に挑んだもんだ。

 しかも一人で。

 魔王がこいつでほんと良かったと思う。


「ん、早速きた」


 スロネが無表情のまま呟いた。

 瞬間、今まで俺の周りでウネウネと動いていた木々が遠ざかっていく。


 動く木とか……なんでもありだな、魔界。


 辺りが薄暗くなったので、空を見上げると、空飛ぶ魔物がこちらの様子を窺っていた。


「マジかよ……ワイバーンじゃねーか」


 ワイバーンは竜種の中でも、かなり格下扱いされてはいるが、それでも俺が敵う相手ではない。


「ちょうどいいのが向こうから来てくれたわね」


「馬鹿、ちょうどよくねーわ! 速攻で死ぬ自信があるぞ! どーにかしてくれ」


「大丈夫。ワイバーンごときに私の結界は越えられない。安心して戦うといい」


 疑ってる訳じゃないが、まだ試した事もない結界なんて、安心できんわ!


 話してる最中に、ワイバーンが急降下して、俺に狙いを定めて突っ込んできた。


「『ステュクス』に魔力を込めて、思いっきり振ってみなさい」


「はぁ? 急にそんな事いわれてもよ」


「いいから! ほら来てるわよ!」


 クソ、もうどうにでもなれや!


「っらあぁッッ!!」


 俺は魔剣『ステュクス』に魔力を込め、思いっきり振った。


「ィギッッ」


 短い断末魔の後で、ワイバーンは綺麗に真っ二つになっていた。


「…………おいおい、マジかよ……」


 ワイバーンを倒せたのにも驚いたが、それ以上に驚いたのは、俺の眼前に映る光景だった。


「……空まで斬れてやがる」


 魔剣『ステュクス』は、ワイバーンを斬るだけに留まらず、その勢いのまま、空をも斬り割いていた。


「だから言ったでしょ? ワイバーンごとき、心配することなんてないのよ」


「ん、アルム凄い」


 パチパチと小さな手を叩き、祝ってくれるスロネだが。

 これは俺が凄いんじゃなくて、魔剣がヤバすぎるだけだろ…………


 とんでもない物を貰ったもんだ…………



「でもまだ力の制御ができてないわね。魔物は沢山いるし、今日中にマスターしちゃいなさい」


 こんなの制御できんのかよ……空までぶった斬る魔剣とか聞いたことねーわ。

 魔剣に籠められた、セルティアの魔力が関係してるのかもしれないが。


 まぁ、せっかく手にいれたんだ、やれるだけやってやろうじゃねーか!



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