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DHUROLL  作者: 寿司川 荻丸
【起】
14/144

13ー輪をひとつー

 鬼神幹部の1人を撃破した一行。


 しかし、それは壮大な物語の始まりに過ぎなかった。


「皆、ご苦労だった。まずは鬼神(アラハバキ)1人目だな!だが、川崎と東京チームエル・ソルのことは千歳の話した通りだ。その5人抜きで君らは続けて頼む」


「はい!それにしても千歳くんその傷大丈夫なの?」


「ん?ああ、これ?胸元と腹部の装甲が斬られただけで何ともない!」


「川崎の一振りを受けてそれだけの傷で済む方がおかしい。千歳の身体はどこまで強化されたんだか......」


 堀さんは頭を抱え、机に向く。


「川崎さんのことは俺に任せてくれ。みんなは残りの奴らを頼んだぞ!」


 高千穂らが古田アンドリューを倒したことで鬼神にも動きが出た。


 今までは1人で大量虐殺を実行してたけど、次は幹部直属の部下たち6人が同時に実行するらしい。


「現在チームエル・ソルの4人のGPSは青森県、神奈川県、滋賀県、愛媛県に分かれてしまっている。鬼神対策本部のお前らは各地に散らばって鬼神対策支部のエキポナと協力して欲しい」


「おう!」「はい!」


「千歳、高千穂、畑山はチームを組んでいる為、東京本部に残ってくれ。里道は大阪支部で峯岡らの協力だ。室瀬は1度北海道支部に飛んでくれ。藤長は九州支部の力を借りてくれ」


「おうよ!!」「はい!!」


 返事はピタリと合う。


「日本は今鬼神に怯えているが、お前らが1人倒したことで希望が見えてきた。お前らを信じているぞ。終わらせてくれ!!」


 皆の士気は高まる。


 全員で肩を組み、約束を1つ。


「よぉし!鬼神を全滅させてお前ら全員生きろ!!」


「うん!」


「もちろん!」


「当たり前だ!」


「ナメんな千歳!」


「必ずな!!」


 堀さんは笑顔を見せ、会議室を後にした。


 この後全員でラーメンを食べ、それぞれ分かれる。


 東京に残った俺と高千穂と畑山でチームオロの伊歳野(いとしの)の元へ向かった。


亜百合(あゆり)ちゃん!どうだった?スペシャルボンバーの矢!」


「あれ凄かったよ!!矢にあんな威力の爆発力があるなんて思わなかったもん!」


「よかった!あと2本あるから持ってってね!」


「え!?本当に!?ありがとう!」


「いえいえ!あ!畑山くんに頼まれてた、設置型電磁バリアも開発できてるから!」


「伊歳野、お前何でも作っちまうな。バケモンかよ」


「バケモン言わないでよ千歳。褒め言葉っ!あ、後ね、千歳刀の刀身の重さに対応した強化ローラーの鞘も出来てるから、試しに使ってみて!」


「おおお!!さすが伊歳野!とんだ天才だな!」


「でしょ〜!」


 俺らは伊歳野の開発した新装備を受け取り、チームオロ開発施設を後にした。





ー翌日9時 北海道札幌市ー


「東京本部から応援に来ました。鬼神対策本部の室瀬(むろせ) (れん)です。コードネームはモグラです」


「お!期待の新人くんの1人!」


 声をかけてくる少女。


「待ってたよ室瀬くん。私は安久利(あぐり)。君はチームフエゴと聞いて、我が支部の高成績者を集めてチームを組んでおいた。じゃ、お前ら挨拶を」


「はーいウチ!チームルナの(おか) 美織(みおり)!みんなからはおかあさんって呼ばれてるよ!コードネームはおかーさん!宜しくね廉くん!!」


 先程声をかけてきたぱっつん前髪の少女だ。なんて可愛さだ。ふざけてやがる。


「これからよろしくな!」


「僕ですね、チームアグアやっております、水戸部(みとべ) (とおる)ですね。コードネームはメガネです。どうぞお見知り置きを」


 鼻の筋をクイッとやるがメガネをしていない青年だ。以前メガネを掛けていたのだろうか。


「よろしくなオタク!」


「偏見ですぞ!!」


「俺、チームアルボル、宮武(みやたけ) 権蔵(ごんぞう)。コードネームはリキシ」


 THE日本球児のような丸坊主で眉毛が極太。かなりゴツい身体つきをしてる。


「そう堅くなるなってゴンゾー!仲良くやろうぜ!」


「おほぅ」


 権蔵は手で顔を隠し、顔を水戸部オタクに向ける。


「ゴンゾー君は人見知りなの!慣れるまで待っててあげて?」


「なんて独特なメンバーなんだ......」


 東京のバケモノ達とは一味違う仲間との出会いに少しワクワクした。





ー同日9時 大阪府大阪市ー


「東京本部から来た里道(さとみち) 浩貴(ひろき)でさ!あ、噛んだ!ごめんなさい!コードネームはテンパでさ!あ!!」


「来たな〜里道〜!」


「ミネールさん!!久しぶりです!」


「それ聞いただけじゃ俺を呼んでるか分からんぞ?そこも相変わらずだがな!がっはっはっ!」


 ミネール(峯岡)さんは僕を案内し、会議室へ入る。


「俺から説明しよう。今回里道は大阪チームエル・ソルのチームアグアの席に座ってほしい!」


「えっ!?どうしてです!?」


「大阪チームエル・ソルの弓矢使いが重傷でな、居ないと困るから、この期間里道に入ってもらいたい。まあ、仮なんだがな」


「ひぇ〜〜」


 僕がチームエル・ソル?夢みたいだ。


「やあ、チームフエゴの山谷(やまたに) 龍一郎(りゅういちろう)だよ。コードネームはスリム!よろしくね!」


 なんて爽やかなお兄さんなんだ。見ているだけで森林の中の新鮮な空気が漂ってくるような、そんな風貌だぁ。


「チームアルボルの由紀(ゆき) 愛海(まなみ)だ。バルキリーがコードネーム。よろしく」


 スーパークール!黒髪長髪で部屋の中に差し込む太陽の光をまるで反射している。メガネがまた大人っぽさを醸し出しているぅう。


「よろしくお願いします!!」


「ど〜だ〜?俺の自慢の仲間達は!真面目だろ〜!がっはっはっ!」


「もちろん、任務となれば命をかける。生ぬるい奴は私は嫌いだ」


「怖いよ愛海ちゃん!浩貴くんが怖い印象覚えちゃうよ?」


「構わん」


「がっはっはっ!最高だ!」


 この人たちからは学ぶ事も多いだろうし、足引っ張らないようにしっかりとしなきゃ!





ー同日9時半 福岡県福岡市ー


「とととと東京ほんぼ、んん!東京本部から来ました、ふずっ!藤長(ふじなが) (りく)です。ク、コードネームはカマ、カマキリです」


「あーた緊張しとーと?」


 緊張するわこんなの!なんで俺と一緒に組む人全員可愛い女の子なんだ!!上を見りゃ女の子、横見ても女の子、下見たら、ダメダメ。逃げちゃダメだ!向き合わなきゃ!


 グッと顔を上げる。


「んっ!」


 やっぱそこに広がっていたのはキュートな世界だった。


「どげんしちゃったと?」


「わからん、取り敢えず自己紹介しちゃー!」


「ちょっとあんた達!東京の人には方言キツイんじゃないかな?」


「やい、翻訳してばい」


「まったくもー!」


「うちはチームフエゴ、鹿子木(かのこぎ) すの。コードネームジジョばい!よろしゅうね!」


 藤長データ1。イカツい印象。見た目だけだと歳下にしか見えないが、女性に年齢を聞くのはプライドに反する。アシメの前髪が幼さをさらに主張し、ミディアムにまとまった髪は全体的に青がかった色だ。


「よ、よろしゅう!」


「わっ!今んむぞらしか!!」


「チームアグアの瀬川(せがわ) 彩奈(あやな)。コードネームはチョウジョ!標準語は勉強して少しは喋れると思うからよろしくね!」


 藤長データ2。印象からお姉さんって言葉が似合う。整った顔にパッチリ二重なのに鋭い眼力。けど、発する言葉は反対にアニメ声と言えばいいのだろうか。見た目からは想像もできないギャップに心抉られそうだ。髪はかなりロングで。前髪は眉に掛かる程度。


「あたし松尾(まつお) セロリ。チームアルボル!コードネームサンジョ!標準語頑張る!」


 藤長データ3。彼女も彼女で違う幼さを感じさせる。データ1とは対照的に、童顔ではないものの、背の小ささと頭頂部で束ねる団子の茶髪で幼さがあるのかもしれない。驚いたことは、この小さな体にこれほどの胸を持つ人がいたこと!グラマラスな身体に反し顔は幼い。イジメだこんなの。


「が、頑張っていきょ!あ、いこー!」


 この子達とこれから命をかけた任務をするんだ。この子達を男の俺が守ってやれなくて誰が守る!やましい気持ちを早く除かなければ!


 東京みたくバケモノが揃ってるわけじゃない。俺が東京の代表として来たんだ。いつもは千歳について行ってた。今度は俺が引っ張って行かなきゃ!





 それぞれ新たな仲間に挨拶し、東京チームエル・ソル4名の奪回に臨む。


 新たな仲間は東京にいる千歳達にも1人加わることになる。





ー同日9時半 東京本部ー


「チームフエゴの滝原(たきはら) 大和(やまと)です。コードネームはタウコギです。あなた達の足を引っ張らないよう、頑張りたいと思いますので、よろしくお願いします!」


「おう!よろしくな滝原!俺は千歳(ちとせ) (つとむ)だ!コードネームケンシ!コードネーム田植えかなんかわかんねえから名前で呼ぶな!」


「私は高千穂(たかちほ) 亜百合(あゆり)!コードネームはクイーンよ!大丈夫、この人達についてけないのは私もだから!」


「俺は畑山(はたけやま) (ごう)だ。コードネームマッチョ。よろしく」


「あなた達のことはニュースで拝見してまして、鬼神の1人を討ち取った人達とご一緒できるなんて、夢のようです!」


「そんな畏まらなくてもいいのに」


 高千穂は苦笑いを見せながら言う。


「気楽に行こうぜ!なっはっはっ!」





 各地の支部のチームは、それぞれ近くにGPS反応のある東京チームエル・ソルの救出に向かう。





ー同日14時 青森県某所ー


 枯れ落ちた森の奥深く。


 黒布に顔を覆われる東京チームエル・ソルの弓使いがそこに居た。


 枯れ木や落ち葉を反射する水面に膝をつく女性エキポナ。


 その後ろを仁王立ちで構える青年。まるで俺らが来ることを待って居たかのように。





 北海道支部で形成された東京チームエル・ソル奪回班の室瀬と仲間たち。


「身代金を要求する」


 口を開く仁王立ちの青年。


 腕を組む姿。その腕が筋肉質なのが見てとれる。


「そんなんが目的だと思ったぜ。いくらだ」


 男は黒布を掴み上げる。


「10億用意すれば、怪我なく返してあげよう」


「チマチマと。ここまで来て10億用意するわけねーだろ」


「我々と殺り合うと?」


「こっちは最初からそのつもりだ!!」


「まあ、我々も最初からそれが目的だがな」


「それでは、あなた方が東京チームエル・ソル氏を誘拐したのは、僕達と戦うためですな!?」


「……」


「無視されますぅ〜!」


 水戸部は落ち込んだ。それを慰めるゴンゾー。


「あんた達の目的は何なの!?何がしたいの!?」


 おかーさんは怒りを交えながら叫ぶ。


「幹部の殺害を邪魔する厄介な者共を潰すのさ。身代金はその後だ」





ー同時刻 神奈川県某所ー


 そこには千歳(おれ)、高千穂、畑山、滝原が向かった。


 GPSの反応は深い山の中にあった為、JEAの装甲輸送機からヘイロー降下(飛行中の輸送機から落下傘降下すること"高高度降下低高度開傘")を行った。


 ドドドドン!4人は地上400メートルからパラシュート無しで着地する。


「いえーい!楽しかったな!もう一回できねぇかな!」


「ち、千歳くん。何でそんな楽しめるの。凄く怖かったのにー!」


 地面に膝をつく高千穂。


「ぶるぶるっ!エキポナになっても心臓がひょいってなるのは変わらないんだな」


 力の抜けた立ち方をする畑山。


「せ、先輩達、ささ流石です」


 地面に四つん這いになる滝原。


「よーし!切り換えていこう!ここら辺だよなGPS反応があるのって!」


「そうみたい。早く見つけ出さなきゃ!」


 俺らは反応のある方へ歩き出した。





ー同時刻 滋賀県某所ー


「あの〜、さっきからミネール(峯岡)さんの姿が見えないんですが〜?」


「どうせまた迷子になってるだけだから大丈夫だよ!」


 うおーなんて爽やかに答えるんだヤマターニ(山谷)さんは。


「里道。さっきから君の付けるあだ名のせいで物凄く力が抜けるし、コードネームが意味をなさない。どうにかできんか?」


「ユキーマ(由紀)さんすみません。でもあだ名で呼んだほうが親しみやすくないですか?」


 ユキーマさんは首を傾げ、何も言わず前を向いた。





「や、やっべ。間違いなく迷子だ」





ー同時刻 愛媛県某所ー


 先頭を歩くのはこの俺、藤長 陸だ。そして、この俺の三歩後ろを歩くのは、美少女3人。しかし、振り向けない。振り向いたとして俺の目には眩しすぎる。


「カマキリくん(藤長)、やけに真剣やね」


「任務に集中しとるんやろう」


「あたしらも集中しないとだよ。油断できないものね」


「そーやね、油断しきらんね」


 GPS反応のある、林に囲まれた川沿いを歩いているのだが、後ろで交わされる方言といい女の子の声といい。最高だ。





 それぞれの場所で東京チームエル・ソルの奪回に向かった。


 先に対峙したのは北海道チームの室瀬達。


 東京チームエル・ソルの4人のGPSは動かず、まるでエキポナの到着を待っているかのようだった。





 関東生まれの僕からしたら、方言て憧れなんですよ。


 今回、自分の中の方言の記憶を手繰ってみました。ぎこちないのは承知の上です。可愛いキャラに言わせてみたさの方が強かったのです。


 仕方なかったのです。

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