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DHUROLL  作者: 寿司川 荻丸
【起】
10/144

9話ー鬼神対策本部ー

 鬼神幹部 上河原を奪回する為に東京本部へと攻め入る鬼神メンバー。


 上河原を連れ出そうと猛進するデュロル達に、エキポナは正面から立ち向かう。


「やっぱiPhoneは圏外ね。端末は無意味だわ。出入り口でエキポナがウチらをお出迎えしてると思うし〜」


「そいじゃどないするんやー?わいらでボコボコにしちゃるー?」


「その大阪風の喋り方いい加減やめなさいアンドリュー。あんた関東出身でしょう」


「ぬなっ!図星っ!」


「ダクトを探すよ!邪魔にならないようそっから出なさい!」


「おいお前ら囮になれや……って、え?こいつらがダクト使うん?」


「何言ってるのアンドリュー!!私たちは正面を突破できる程の力があるじゃない。上河原、3人ならいけるわよね」


「うん、大丈夫だヨ」


「ってことだから、さっさとダクトから地上に出なさい」


「……え、はい」


「良い子」





ジジッ

「地下エレベーター前に到着。これから上河原監禁室前まで移動します」


ジジッ

「了解。奴らは上河原を解放したと思われる。十分に警戒してくれ」


ジジッ

「承知!」


 地下エレベーター前に着いた増員たちはさらに地下に続く階段に向かう。





「チトッセオ本当に頭が回るね。ダクトの通気口ときたか!」


「あからさまな出口から幹部を連れて逃げねえって考えた」


 ガコンガコン。


「上がってくる!隠れるぞ!」


 ガシャン。


「2人!?」


「ふぁーっ。このままあの人達からも逃げようかな」


「そうしようよ」


 出てきたデュロルたちは大きく伸びをして呟いた。


「誰にも見られてないみたいだし、いいチャンス〜!」


「おい、見てるぞ」


「わっ!見られた!!しまった!!」


「残念、逃げれません」


「回り込まれた!」


「こっちからも無理だよ〜!」


「はっ!!囲まれた!こんな人数僕ちん無理だよ!」


「諦めろ」


「くっ!硬化!!これで僕ちんを切ることは出来ない!」


「そうなのか。それじゃ室瀬、頼んだぜ」


「切れないなら切らないで攻撃する他ないな」


「な、なんだ!やるのか!硬いぞ僕ちん!」


「ああ、生憎俺のも硬くてね」


 室瀬は大槌を振り上げる。


「あ、や、やめて!やっぱ!降参!!」「ぼ、僕も!」


「根性のねえ鬼神(アラハバキ)様だ」


ジジッ

「堀さん、ダクトから鬼神(アラハバキ)の2人が出てきた。2人とも降参したからさ、そっちから誰かこっちに寄越してくれない?これからダクト入って下に行こうとかなって」


ジジッ

「そっちに4人向かわせた。だが待て、ダクト入っていくのは無しだ。危険すぎる」


ジジッ

「大丈夫!早く行かないと挟み撃ちできなくなっちゃうから!行くよ!」


ジジッ

「おいっ!また勝手なことを!」


「よし!みんな行くぞ!」


「おう!」「うん!」「ほーい!」


 ガコガコガコガコ!





「各階の階段前で待機!鬼神どもを待ち受ける!ここを絶対に通すな!」


 各階に12人ずつ待機するエキポナたちに緊張が走る。


「B17階階段前、鬼神と思われる足音を確認。接触し次第交戦を開始する」


「了解。各階戦闘態勢に入れ!」


「あ、もう待ち構えてる〜!結構いるわね。突破するよ!」


「突撃!!」


 鬼神の3人とJEAのエキポナ12人が交戦を開始する。千歳たちはダクトを移動しB17階を目指す。


「ねえ、チトッセオもう見えなくなっちゃったけど、迷わずにたどり着けるのかな?」


「えっ!だから先に行かないでって言ったのに〜」


「張り切って行っちゃったよ〜大丈夫かな」


 千歳を除く4人は順調にB17階へと足を進める。その頃、千歳はというと……。


「うおっしゃー!待ってろー!行ったるぞー!」


 ガコガコガコガコガシャン!!


「かかってこいやー!」


 ……。


「ん?」


 周りを見渡しても誰もいない。


「どこだここはー!!」


「あれま、間違えた」


「ヒョーゾー!絶対合ってるって言ったのヒョーゾーじゃん!!」


「どこで間違えたのか……」


 千歳以外の4人はB17階に到着。


「やっぱチトッセオいないよ」


「はー。千歳くんったら。私たちだけでも行きましょう!」


ジジッ

「千歳、今どこにいるんだ?」


ジジッ

「おう室瀬!それがよ!わけわかんねぇ部屋にいんだ!B17階が無くなっちまったんだよ!」


ジジッ

「そんなわけあるか!部屋から出て壁に書いてある数字見てみろ!」


ジジッ

「そっか!ちょっと待ってろ!」……ガチャ。カッカッカッ。「あった!B14って書いてある!っておい!あんた大丈夫か!みんなも!ひでぇ怪我だ!」ジジッ「千歳どうした!」「上か!?わかった!追いかける!」


ジジッ

「千歳!千歳!!」

「ダメだ!聞いてねえ!」


「どうしたんだ?」


「鬼神の奴らがもう既にB14階よりも上に行った。急ぐぞ!」


「あ、ああ!」「行こう!」





ジジッ

「こ、こちらB12階階段前……。突破……され……ました……」


ジジッ

「了解」

「B12が突破された、絶対にここを通してはいけない!エレベーターの電源は!!」


「切ってあります!」


「よし!もう下の階にいるな。構え!!」


 ドドン!!!


「何っ!!」


「うわー!!」


 床を突き破り天井に突き刺さる瓦礫に数名がやられる。


 煙に紛れ、下の階に続いた穴から人影が飛び出し、こちらに向かってくるのが見えた。


「通すわけにはいかない!挟め!」


 エレベーター前に待機した者、我々階段前に待機した者で挟む。


 人影はエレベーター側に方向を変え、走り出した。


「シールド構え!!」チームアルボル3名は前後交互になり基本装備のシールドを展開する。シールドは廊下を覆い、天井の数センチしか空いてないほど行き場を無くす。それを挟むようにチームルナ、チームフエゴの兵士が攻める。チームアルボルのシールドが突破された場合に備え、エレベーター前でチームアグアの兵士が待機。


「ここはわいに任せぇ!!」


 若干煙が引き、姿が見えるようになる。エレベーター側から女デュロル、上河原、上半身真っ黒デュロルと並び、上半身黒デュロルがチームルナ、フエゴ方面へ向く。


「大槌!!」


 その掛け声と同時にチームフエゴの大槌が上半身黒デュロルを床に叩きつける。


 すぐに黒デュロルは立ち上がり、右腕を大きく肥大させた。


「な、なんだあれは!」


 重そうに右腕を持ち上げ、フエゴの兵士に向けて振るう。大槌でガードしたはずのフエゴの兵士らは宙に浮き、私たちの横をかすめて飛ばされる。


 間髪入れずにルナの兵士が斬りかかる。黒デュロルは避けるそぶりをせずにその攻撃を受け入れた。すると今度は全身から数本の刀身を生やす。肥大化した右腕は元の状態に戻り、掌から刀身を生やした。


「あいつは、受けた攻撃を自分のものにするのか!!」


 私を含めたルナの兵士4名で斬りかかるが、黒デュロルは避けることなく、斬りかかる際に生じる隙を突いて斬り込んでいく。


「ぐああああ!!」


 しかし、奴に(もも)と右腹部を刺され、思うように身動きが取れなくなってしまった。


 1人のフエゴの兵士が果敢に攻め入るも、奴は避ける素振りをせずに受け入れ、身体から生える刀身は引っ込み、右腕は肥大化する。


 フエゴの兵士を床に叩きつけた後、チームアルボルのシールドへと走る。その間女デュロルと上河原は何もせず、ただ邪魔にならぬよう避けていた。


 肥大化した右腕の一振りでシールドは吹き飛び、アルボルの兵士も殴り飛ばされる。その瞬間、後ろで待機していたアグアの兵士3名が矢を放つ。


 黒デュロルはまた、避けることをしなかった。


 矢の1本が黒デュロルの左肩へ刺さる。すると、肥大化した右腕は元に戻り、全身から数本の筒状のものが生えた。


「残念やったな、わい1人で充分やったで」


 全身から生える筒状のものから、アグアの兵士に筒の穴が向いてる方向だけボボボンと何かを発射した。何とか確認できた形状は、矢だった。その矢は連続的に発射され、避けきれずにアグアの兵士3名は射抜かれ、そして動けなくなった。


 待機した兵士全員が床に倒れた時、デュロル3人はエレベーターに向かって歩き出す。女デュロルは途中、ルナの兵士から刀を奪っていく。


 エレベーター前の左右の部屋を見た3人のデュロル。


「黒潮と菅岡か。お前たちはここで殺しておきたいが、時間がない。後で必ず殺す」


 女デュロルはそう言い残し、エレベーターに向かった。力尽くで入口を開くと中に入り、奪った刀でエレベーターを真っ二つにする。半分を力尽くで外へ引きずり出し、もう半分の向きを縦にする。


 その時だった。下の階から声が聞こえた。


「何だこの穴は!!階段疲れっから丁度いいけどよ!」


 そう聞こえた後、下の階に繋がった穴から1人の男が這い上がってきた。


「到着!おい鬼神!逃げんじゃねえ!俺と戦え!!」


 そう言って男はエレベーターに向かって走り出した。


「千歳か」


 女デュロルは冷静に答えると、縦になったエレベーターに3人乗り、上河原は底に手で触れる。


「じゃあねっ」


 すると、縦になったエレベーターは真上に発射されるように飛んでいった。


「なんだ!?飛んだぞ!?」


ジジッ

「こ、こちらB10階エレベーター前、上に行かれた、止めてくれ……」


「お、おいそこのおっちゃん!あんま喋んない方がいいぞ!」


 この青年が噂に聞く千歳か。なぜだ。なぜこいつが来た時、私は少し安心してしまったのだ。


 地上1階、地下に続くエレベーター前ロビーに緊張が走る。


 ガガガガ!と大きなものが壁とぶつかりながら上ってくる音が響く。


「エレベーター前にアルボルはシールドを展開!!」


「はい!堀さんは後ろに下がってください!」


「いや、ここで止めなければならない。下がるわけにはいかん!」


 ガガガガドドン!音が止まった。


 今まで響いていた大きな音から、静かすぎる沈黙が訪れる。


 しかし、エレベーターの開閉扉を突き破る黒デュロルによって沈黙は打ち破られた。


 それに続くように女デュロルが出てくる。黒デュロルは飛び上がり、全身から突起する筒状のものから何かを発射する。乱射されるそれに避けきれない者も続出する。


 黒デュロルはアルボルのシールドを飛び越え、アルボルの兵士は陣形を崩す。その時、開閉扉から半分に斬られたエレベーターが飛び出てきた。半分のエレベーターはロビーを転がり途中で勢いをなくす。


 壊された開閉扉から上河原も姿を現す。


 デュロル3人は互いを庇える距離でそれぞれ兵士と交戦する。


「ここを通すな!!必ず捕まえろ!上河原をエレベーターに近づけるな!!」


 全員が命を懸けてそれを阻止する。


 すると、壊されたエレベーターの中から数名が登ってくる音がする。


「追いついた!行くぞお前ら!!」


 千歳たちだ。


「追いつかれた!行くわよ!」


 千歳たちを見たデュロル3人は、ロビーの中央に置かれた半分のエレベーターに向かう。


 それを阻止するように、向かっていく千歳たち。


「速いやん!」


 黒デュロルに室瀬と藤長が追いつき、エレベーターに向かうのを阻止する。女デュロルには高千穂と里道が追いつく。千歳は既に上河原を殴り飛ばしていた。


「離されるのはまずい!何としてでも行くわよ!」


 女デュロルは焦るように言う。


 上河原は転がっている瓦礫に次々と触れていく。瓦礫は四方八方に飛び、千歳ら5人はそれぞれに瓦礫が当たり、足を止めてしまう。


 その瞬間を逃さずデュロル3人は置かれたエレベーターに集まり、上に乗ると同時にそれは動き出し、そのままロビー前の強化ガラスを突き破って外に出てしまった。


「逃げるな!追いかけるぞ!!」


 外に飛び出たエレベーターは角度を変え、斜めに飛び上がるとそのままJEAの敷地を出て、車道を挟んだ反対側の10階建ビルの8階に衝突する。デュロルの3人は衝突する直前に、そのビルの屋上まで飛び上がりそのまま裏に行ってしまった。


ジジッ

「すまん!!誰か外の人!!どこ行ったかわかるか!?」


ジジッ

「申し訳ない!ビルの合間に入られて見失ってしまった!」


ジジッ

「そっか!ありがとう!」

「みんなすまない!逃げられた!」


 千歳は皆に向け深々と頭を下げた。


「ううん、千歳くんのせいじゃないよ。みんな頑張った。けど、向こうはそれを上回ったの」


「ああ、千歳のせいじゃない。警備が甘かったのも、侵入された要因の1つだ。俺らにも責任はある」


「堀さん。俺は絶対あいつらを壊滅させるから」


「ああ」


 4日前に捕獲した鬼神の幹部上河原は逃げた。けど千歳らなら、鬼神らを壊滅させてくれる。そんな気がした。地上エレベーターロビー前で逃げられそうになった時、千歳らが来て鬼神たちは少し乱れた。1人ずつ対処していけば……。希望が見えた気がした。





「後の事情聴取から、鬼神幹部1人を除いた全員の名前や部下の残り数などの情報を得ることができた」


 この日、JEAグループ全体会議がモニターを通じて行われた。東京本部の千歳、高千穂、里道、室瀬、藤長、川崎はお偉いさんの集まる会議室に呼ばれた。それ以外の兵士は各チームでそれぞれの会議室に分かれ、モニターしている。


 周りの威圧感もモノともせずに堂々とする彼らに、お偉いさんからも一目置かれる。


「本日18時、JEA東京本部に侵入し、鬼神幹部の上河原(うわがはら) 良太(りょうた)を連れ出した4人のうち2人は幹部、捕まえた2人が部下だ。部下の2人は焦っているかと思えば安堵に包まれている。その上、鬼神の情報を隅から隅まで教えてくれた。最後には『助けてくれてありがとう』と言っていた程に」


 モニターには我らの堀さんが1人、真剣な表情で話しているのが映っている。


「上河原を連れ出した幹部2人は、咲村(さきむら) 詩織(しおり)古田(ふるた) アンドリュー。残りの部下の数は6名だそうだ。そして確認できた幹部は、逃げられてしまった上河原 良太。東京本部の千歳 努により確認された黒谷(くろたに) (わたる)。今日の事情聴取で(いただき) 瑠璃哉(るりや)という人物も出てきた。現在6人いる鬼神幹部の中、5人のデュロル姿と能力が割れている」


「11月19日の地形変動を起こしたのが黒谷。自在に地面を操れるようだ。11月20日の飛行機墜落事故は上河原だ。流木を飛行機に追突させた。物を飛ばす能力だろう。11月21日の新潟ビル崩壊は頂。事情聴取でも能力は分からず、予測はできてない。11月22日の遊覧船虐殺事件は今日侵入した古田アンドリュー。女デュロルと戦闘した兵士によると、咲村は再生能力だそうだ」


 幹部5人もの能力が分かれば対応もできるな。問題はあと1人。


「現在、東京本部で上河原の居場所は特定できる。だが、上河原が戻った今、鬼神は活動を再開するかもしれない。充分に警戒してくれ。大量殺人が確認された咲村以外の4人は殺害を許可する。一刻も早く国民を鬼神の脅威から守らなければならない。これをもって全体会議を終了する。また何かあれば随時連絡する」


 モニターの映像は切れた。


 すると、モニターを見ていた元帥が振り返る。


「これから、鬼神対策本部を設置するわい。そこの千歳、堀と責任を持って他の者を先導するんじゃ。お前は鬼神に喧嘩を売った張本人だからの」


「望むところだ!!俺が鬼神を壊滅させてやるよ!!」


「元帥に向かってあの態度!!少しは場をわきまえろ!」


「もあっはっは!相変わらずクソガキじゃ。千歳の横にいる期待の新人と川崎も頼む。チームアルボルの期待の新人も加える。それと、東京本部のチームエル・ソルの4人もな。仲良くせい」


「チームエル・ソル!?あちゃ〜」


「元帥、お言葉ですが、何故チームエル・ソルの問題児を!?」


「あいつらは実戦が足りなすぎる。それに、自分では強い言うとるんじゃ。よかろう?」


「……」


「では、解散ー!!わしゃ寝る!」





「おい、東京本部のチームエル・ソルってかなりのクズらしいぞ」


「そうなのか?室瀬なんで知ってんだ?」


「先輩が言ってたんだ」


「私も聞いたことあるよ!チームエル・ソルの班長のお父さんは大財閥の会長らしいから大富豪なの!それで、息子に大金を注ぎ込んだって話ね」


「要するに、凄く性格は悪い感じか」


「そう聞いてるわ」


「千歳は大嫌いなタイプだな」


「まあな、会ってみねえと分かんねえから、今文句はよせよ」


「悪い悪い」





ー同日20時、会議室ー


 東京チームエル・ソル以外の鬼神対策本部が揃う会議室に、ノソノソと入ってきたチームエル・ソルの4人。


「こんな時間に僕ちゃんを呼び出すなんて、相当いい度胸してるんだね」


「そうですね〜ぬふふふふ」


 チームルナからのお坊ちゃんカットを先頭に手をコネコネさせてついてくる3人のエキポナ。


 これが東京本部の最強チームとは思えないが。


「ほれ、ひれ伏せ。僕ちゃんのこの体が目に入らないのかね?」


 確かに、しっかりとしたピカピカ装甲に、改良に改良を加えられたであろうピッカピカのゴージャスな鞘に入った刀をお持ちで。


 他の3人も、それぞれのチーム特有の装備をこれでもかとキラキラさせている。


「これはこれは申し訳ありません艶絵世右寺(つやえぜうじ)様。こちらにお掛けください」


「堀さん、幾ら何でもあんたがそんな腰低くしなくてもいいじゃん」


「おっ!そこのチミ!この僕ちゃんに楯突く気かね?スポンサーの額を聞いたらそんなこと言えなくなるぞえ?」


「チッ」


「(千歳くん〜抑えて〜)」


「堀さん、こんな奴らと共にするなんて無理っ」


「耐えろ千歳。鬼神壊滅にはチームエル・ソルの力も必要なんだ」


「そうだそうだ。もっと言ってやれ堀」


「あ、堀さん。整備班としてチームオロの伊歳野 (いとしの)も入れていいですか?」


「ああ、お前の刀を作った新人か。いいだろう」


「早く始めてくんない?僕ちゃん眠くなってきちゃった。ふぁ〜」


「……」


「(ち、千歳〜。お前顔凄いことになってるよ〜)」


「(チトッセオ、耐えてる。耐えてるの凄く分かる)」


「では、作戦を説明する。現在上河原には盗聴器付きGPSを埋め込んである。あいつの行動は全てお見通しだ。そして今、上河原は東京最西の廃工場にいる。そこに鬼神らが集まっている。あっちの計画が丸聞こえな状態だ。そして鬼神は必ず今日、また大量殺人の作戦を練るはず。それを聞き、対処をする」


「なるほど」


「今埼玉南部のエキポナ達がそこに向かってはいるが、まだ能力の分かっていない鬼神がいる中に突入させるわけにもいかないからな。何かあった時のためだ」


「へぇ〜どうでもいいけど〜」


「チームアルボルの畑山(はたけやま) (ごう)は千歳らとの戦闘に慣れないかもしれんが、よろしく頼む」


「分かりました。千歳、よろしく頼む」


「おう、よろしく」


「堀!僕ちゃん達も戦うの?」


「ああ、もちろん」


「何だその上から!」


「艶絵世右寺。会議が始まったらどちらが上かを(わきま)えろ」


「けっ」


「詳しい作戦は鬼神の作戦会議が終わってからまた連絡する。お前達を信じているぞ」


「おう!」「はい!!」


 会議は終わった。





「千歳。おまえの活躍は見ていた。だが2ヶ月姿を消していたな」


「ああ、特訓して武器とか装備とか改良してたんだ」


「そうか。俺もスポンサーのお陰で改良できた身だ」


「そうか!よろしくな!お前もニュースで見たことあっからよ、頼もしいぜ!」


「……ふん」


 畑山はチームアルボルの寮へ戻った。


「千歳くん、彼も期待される新人で、スポンサーの額が2億を超える超新星なのよ」


「そんな強えのか!!」


「うん、時期チームエル・ソルの候補よ。今の奴らと交代した方が絶対いいと思うんだけど」


「時期チームエル・ソルになるなら仲間になるな!」


「え?」


「俺たちも強くなるんだからチームエル・ソルに入らなくちゃな!!チームアルボルのシールドはあいつにする!弓はお前だ!!」


「うん!もちろん!!」


「チームフエゴは誰かな〜。室瀬は北海道に約束した人がいるからって断られたからな〜」


「そのうち見つかるよ!」


「そだな!」





 千歳、初任務から3回目で約1億のスポンサーを付けるほどの実力、か。





「もしもし!努だ!」


「あーもしもし?そっち大丈夫?無事?」


「無事だよ!俺、鬼神対策本部に入った!」


「え?じゃあ、鬼神と本格的に戦うの!?」


「ああ!俺がぶっ飛ばす!」


「ああ、なんでお義父さんに似てバカなのかしら。気をつけるのよ!あんたのこと信じてるから!!みんなにも言っとくね!」


「ありがとう!じーちゃんにも言っといてくれ!!」


「それがね、さっきお義父さんに連絡したら、家にいないらしいの」


「またどっか行ったのかな?わかった!それじゃ!」


「うん、死なないでよ」


「おう!ありがとな!」




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