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toy gun  作者: エベレーター
ゲームはクリアを待っている
7/24

衣替えする二人組

 電車の走らなくなった線路上を私とオペラの二人で進む。

 時々現れる犬には弾丸を、トカゲには爆弾をプレゼント。

 効果は確認しない。

 いちいち確認している時間が惜しいからね。


「っ!」

「今の音……やっぱり私達の後ろをついてきているね」


 今現在私達はトカゲを爆殺したあと聞こえてきた銃声から逃げるように移動していた。

 

「たぶん向こうも気づいているね。こんだけ死体を転がしていればね」

「どうするミト? 迎え撃つ?」

「うーん……どうしたほうがいいと思う?」

「追いつかれたときに考えたいね!」

「それいい考えだね!」


 イエーイ! ハイターッチ!


 持つべきは波長の合うフレンドだね。

 悩ましい問題は未来の私に任せる!

 追いつかれたときのことを考えて探索なんかやってられるかってね。

 だけど歩いているから追いつかれたとか間抜けな事態にはなりたくないのでとりあえず走るくらいの抵抗はしてみる。


「隊長! 駅のホームらしき場所を発見しました!」

「隊長じゃないが」


 オペラ隊員の示した指先には確かに駅のホームらしき建物があった。

 線路の上からホームに上がるにはそこそこの段差があるのだがここはゲームの中。

 疲れを知らない肉体と常に最大のパフォーマンスを発揮することのできるミラクルな筋肉がある。


 腕を高く上げて、縁を掴みファイトイッパツ!


「っは! 余裕ー!」

「ホント電子の肉体って最高だよね」


 この駅のホームも歩いてきた線路と同様草木に覆われていた。

 問題なのは上に上がるための階段を塞ぐように大きな樹が生えていたことだ。

 はっきり言って邪魔である。

 

「オペラ」

「何?」


 その手にはすでに爆弾が握られている。


「爆破しよう」

「そう言うと思った」


 とびきりの笑顔を見せながら樹の根、幹の溝に爆弾を差し込み離れた。

 私が影に隠れているのを確認した後、スイッチを押し込んだ。

 一瞬の光、全身をしびれさせるような振動、バキバキガラガラと崩れる音が聞こえてきた。

 ちょっとまって。

 ガラガラ?

 思わず視線を向けてみれば確かに樹は吹き飛んでいた。ただし天井も崩れていた。

 最悪である。

 

「天井まで吹き飛ばすとは私は予想できなかったなー」

「ごめんて」


 ここから地上に出られそうにないなぁ。

 

「出入り口が一つとは限らないし他の出入り口を探そか」

「そだね」

「エレベーター発見。登る?」

「却下、いや、ありだね」


 電源の入っていないエレベーターの扉の挙動が現実世界準拠で良かった。

 力をちょっと込めただけで簡単に空いたぜ。

 

「オープンセサミってうわあこりゃ凄い」


 扉をこじ開けて昇降路を下から上に仰いで見れば、ここの中も緑でびっしり。

 下から生えた樹に押し上げられた籠は斜めに傾いてしまってる。

 だけどこの樹のおかげで楽に上階に上がれそうだ。

 でもやけに地下都市の地下鉄に降りてから緑が多いなぁ。

 地下にしては明るいのがこの繁茂の原因なのか。

 何でもいいか! この樹があるおかげで上に上がりやすい! それでいいじゃん! ってね!


「凄かったね……」

「まさかエレベーターの中まで緑で溢れてるなんてねえ」

「オペラは見た? 小さい亀さんがいたよ」 

「え? マジ? ちょう見たかった」

「まぁ、嘘なんだけどね」

「しょーもない嘘をつくなよぉ」


 軽口を叩きつつ、上階へ。

 高さでいうと地下鉄線路と地下都市の間かな?

 そしてここは~……商業区画ってとこか。


 昔は綺麗でピカピカであったであろう商品も今は薄汚れ、酷いところだとマネキンごと溶けてたりしていた。

 どこでもいらん事するなぁ糞ゲロ犬は。

 

 と、地図発見。

 地図というか館内案内図というべきか。

 あなたの居場所はココ! という矢印から建物の紹介までいろいろ細かく書かれている。

 

「説明文とか日本語で助かるね」

「あーたまにあるよねー謎言語で書かれるやつ」


 あれはまじで止めてほしい。

 QTEに勝るとも劣らない唾棄すべき存在だと私は思っている。

 没入感を増すためだとかいうが面倒を一つ増やしているだけだからね。

 

「ミトっちゃん~何があると嬉しい~?」

「そうだねオペ子。武器屋があると嬉しいかな~」

「そんなものは無いね~……残念無念。ここはどうやら駅と商業施設が合体した複合商業施設みたいだよ」


 見ればわかるってそんなん。

 だけどそうだな~。

 何か、何か戦いに役立ちそうな物はないか。

 そう! 交番とか。


「警備兵詰め所」

「ん? なにか良いものがありそうだね。まずはそっち行ってみよか」 


 オペラの同意も得られた。

 じゃあ、早速言ってみよう!


 案内図の中では近く表示されていても今この現状だと野生の生物が闊歩するここでは少し遠く感じてしまう。

 出てくるたびに足を止め、黙らせるか、隠れてやり過ごすかを考えないといけないのは少し面倒だ。

 

「お、この服は状態がいいね」


 やり過ごすために入った服屋のバックヤード。そこにはまだ梱包されたままの服が残っていた。

 真恐ろしいのは梱包されているだけで服が昨日一昨日作られたような新品のように使えるということだ。

 

『モッズコートを装備しました:被物理ダメージ×0.8』


 お、なんか耐性得られた。

 指でタッチして詳細確認。


 物理ダメージ:HPを失うダメージ:物理属性:HPを失うとキャラをロスト。

 HP:生命力:自身の命の数値化でありコレを消費してスキルを発動する。


 お、いいね。ついでだ。別のダメージも確認していこう。


 精神ダメージ:MPに対するダメージ:精神属性:MPを失うとキャラロスト。

 MP:精神力:あなたの第二のHPでありコレを消費してスキルを発動する。

 

 HPMPダメージ以外にまだ一つダメージがあるのか。


 万能ダメージ:HPMPに同時にダメージを与える属性。:この耐性を稼いでもダメージ削減できるのは万能属性ダメージだけである。


 そしてこの3つの属性はそれぞれ耐性を稼ぐことができる、ね。

 どの属性の耐性を稼ぐのか正解なのかなー。

 たぶん万能が安定か。

 まぁ、今はそれを考えてもしょうがないか。

 手元にあるのは物理耐性の取れる服だけだし。

 

「お、いいね耐性得られる服か~」

「色は変えてよ」

「いいじゃんペアルック」

「いやよ」

「他人とは違う者でありたい~ファッションモンスタ~」

「撃つよ」

「はいはい」


 この調子だと店の裏側には商品が残っている可能性があるね。

 靴屋行ってみようかな。

 いや、ズボンとかを探したほうがいいか?


「靴屋と別の服屋どっちがいいと思う?」

「ん~……たしか警備兵詰め所への通り道の途中に靴屋があったと思うからそこから行こ」

「OK了解そこから行こう!」


 この調子だと初期装備には一切何も耐性がついていないから実質防御力0状態から開放されるかも。

 靴は地面に落ちているものから足を保護する大切な物だからね! こだわりたい。


「ん。たしかここだね靴屋は。なんもないけどたぶんココ」

「あってるよ。靴の絵が書かれている空き箱発見した」

「ナイス。靴を選ぼう。半長靴タイプの安全靴とかないかな~」

  

 オペラは安全靴がお好みか。

 私は編み上げブーツとか欲しいな。

 あと普通の靴屋に安全靴ってあるのか?まぁ、あるかもしれん。 


「やった! 編み上げブーツゲットォー! そっちはどう? オペラ?」 


『編み上げブーツ(茶)を装備しました:被物理ダメージ×0.7』 


 お、服よりもちょっと耐性が高い。

 

 コレはいい寄り道をしたな。


「オペラー! そっちはどう?」

「こっちもいいの見つけたよ!」

「じゃあそろそろ行こうか!」

「そだね!」


 もう警備兵詰め所は目の前だ。

 






攻撃属性:3つの攻撃(物理、精神、万能)に乗せることのできる属性


貫通物理属性:鋭い切っ先、弾丸、出血を引き起こす

酸:とろける強酸

雷:青白い稲妻、痺れ、

氷:凍てつく氷、押し流す流水、凍傷

火焔:燃え上がる炎、火傷

X粒子:紫色の光

無:何もエレメンタル効果が乗っていない攻撃


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