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77話 人か修羅か

こちらも連載復帰したいなぁ……

 一方フォックスは宴の喧騒から離れ、ギアの格納庫で一人タバコをくゆらせていた。


「……ふぅ」


「珍しいのぉ、お主が宴に出ないとは」


 暗がりから声をかけたのはスコットであった。フォックスの横に並び、ギアの列に視線を移す。


「どうじゃ、右腕の調子は」


「本物に比べて加減が効かせにくいこと以外、特に違和感はない。流石は天才スコット博士だ」


「おだてるでない」


 お互い視線を合わせることはない。暫しの沈黙の後、意を決したようにフォックスが口を開くと、スコットはそれを手で制した。


「せめて話くらいは聞いてくれよ」


「言いたいことは分かっとる。『モーショントレースシステム』をゼロに積めと? 」



「あぁ」


「お主は阿呆か」


 携帯灰皿にタバコを押し付けながらフォックスが答えようとするが、それを遮るようにスコットが厳しい口調で切り返す。


「人間の神経を直接機械の動作制御ユニットに接続する『モーショントレースシステム』、機械義手に使用されている技術ではあるがギアと義手ではレベルが違いすぎる」


「だがスコット、ゼロのコックピットは余裕があるんだろ? 切り札の1つや2つ…… 」


「そういう問題ではない!! 」


 スコットが手すりを殴る。鈍い金属音が反響した。


「もし『普通の人間』の機能を超えた機械を脳に繋いでみろ! ただでは済まんぞ!! 」


「だから切り札だと言っているだろう? 常に繋ぎっぱなしというわけではない」


「貴様自分の言っていることが分かっているのか!! 」


 とうとうスコットがフォックスの襟を掴んだ。しかしフォックスは静かにスコットを見下ろしたまま動かない。


「ギアの動作制御なんぞ並の人間の演算機能の限界を超えている! 一歩間違えれば全身不随は愚か植物人間もありえるのだぞ!! 」


「だが戦場の様子は変わりだした。『クローンパイロット』のせいでな」


「……あぁ、脳の機能を『戦闘』にだけ費やし感情すらも排除したクローン人間なら十分にモーショントレースに耐えうる」


 スコットがうなだれる。


「だがお前は普通の人間だ。もし繋げば脳が確実にダメージを受ける」


「だがモーショントレースなしにはクローンパイロットに勝てなくなる」


「だからと言ってお主が命捨てるような真似を…… 」


 スコットが言い切らないうちに、今度はフォックスがスコットの襟を掴み上げた。


「じゃあ先の長いやつらにモーショントレースのアタッチメントを据え付ける気か? そうやって若いやつらに無理を強いるのか! 」


「そうは言っておらん! 」


「なら黙って俺の右手を改装しろ!! 」


 フォックスの剣幕に押されてスコットが口をつぐむ。やや疲れた面持ちでフォックスが襟を放すと、スコットは黙って上着を整える。


「なぁフォックス」


「あん? 」


「なんでそこまで命を捨てたがる? 」


 一瞬の静寂の後、フォックスは再びコートのポケットからタバコを取り出し火をつけた。


「男に生まれた以上、惚れた女と我が子のために命をかけなきゃならん。それ以外に理由はいるか? 」


「……いや、聞いた私がバカだったよ」


 スコットが諦めたように格納庫の奥へと歩きだす。


「ゼロのコックピットをいじっておく。次の出撃には間に合わせよう」


「あぁ、頼んだ」


 フォックスは静かに格納庫を離れた。




 ―――――――――――――――――――――――――――

 パーティーを終えたユリと界人はフォックスを探してラボの中を歩き回っていた。


「本当にどこ行ったんだろう…… 」


「さぁ…… そういやユリ、今格納庫の鍵は持ってるか?」


「いきなりどうしたの? 」とユリが問いかけながら鍵を渡すと、界人は突然駆け出した。


「たまに格納庫でタバコ吸ってるんだよ」


「あー、そういやそうだね」


 格納庫の扉を開けると、奥の作業室の明かりがついていた。


「やっぱりタバコかぁ」


「もー、作業室で吸わないでって言ったのに〜! 」


 しかし作業室に到達したとき、中に居たのはスコットだけであった。


「あれ、スコットさん…… 」


「どうした? 宴は終ったのかね? 」


「あ、あぁ…… フォックスを探してるんだ」


 界人がそう言った瞬間、スコットが後ろめたそうに席を立ち上がり、いじっていた機械を隠した。


「つ、ついさっきまではここにいたんだがな…… もう部屋に帰ったんじゃろ」


「そう、ありがとう」


 二人は少しがっかりしたように作業室を出た。しかしユリはスコットがいじっていたものに対して一抹の違和感を覚えたのであった。

作者は五月病という不治の病にかかっておりますので、投稿頻度がほぼエタッてるに近いですがこれでも生きてます

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