70話 三者の戦い〜界人対アレクセイ その1〜
更新せねばと急いだので……文字数少ないのは許してください。
真っ白なアレクセイの爆龍と紫色にカスタムペイントされた界人の爆龍がぶつかり合う。白の爆龍はランスと盾を、紫の爆龍はバヨネットライフル二丁とお互いの戦い方が明確に分かる出で立ちをしている。
「…… フォックスではないか」
アレクセイの通信が界人の爆龍のコックピットに響く。その落胆に満ちた声に界人は思わずレバーを握る手に力が入る。
「役不足ですか? 」
「そう怒るな、君の実力は良く理解している」
アレクセイ機がランスを真っ直ぐに界人機に突き付ける。機体と同じく純白に仕上げられた硬化セラミック材製のランスはアレクセイ機に拵えられた銀の装飾と相まって正しく騎士というべき佇まいになっている。
「だからこそ、俺は君のような優秀なパイロットを殺したくない」
「じゃあ引いてください。その方がお互い無事で済みますから」
「そうはいかん。私は軍からの命令で…… 」
「いや、その軍こそ未だ戦争を助長しているわけでしょう? そんな所に僕の居場所はありませんから」
アレクセイ機がランスを下ろす。これ以上説得は不可能と判断したのかアレクセイの口調は一気に厳しさを増した。
「ここで死ぬこととなるぞ? 」
「それを決めるのは…… 僕じゃない」
界人が仕掛けた。構えなしからの射撃で間合いを作ろうとしたもののアレクセイは盾を動かしただけで完全に弾丸を防ぐ。
「マジかよ…… 」
「次はこちらからいくとしよう」
アレクセイ機が突進する。通常、装備を含めて総重量60t前後なのがギアの相場であるのだが、この真っ白な爆龍はランスの大きさからして70t近い全備重量となっている。界人の紫の爆龍はその圧倒的なプレッシャーを紙一重で回避しながらライフルの下面に一体化している銃剣で軽やかな斬撃を浴びせかける。
装甲を極限まで分厚くしたアレクセイ機と最低限の装甲に留めている界人機では間合いの奪い合いで差が出るのは当たり前で、徐々に界人機が優勢を見せ始めた。
「くっ、このっ…… 」
「はあぁぁぁ!! 」
界人機がアレクセイ機の手を破壊する。破壊された左手に握られていた盾を手放し後退するアレクセイ。界人は盾を払いのけて更に前進を続けた。
「……やはり乗ったか 」
「……は? 」
次の瞬間、アレクセイ機の左手の下からサブアームが伸び界人機の胸部装甲にアンカーを撃ち込んだ。同時に手放したはずの盾が『カチン』と何かがはまる音と同時に膨張を始めた。その時界人はフォックスのある言葉を思い出した。
(重装甲機を相手にして相手が防御具……盾やら装甲やらを手放した時は気を付けろ。確実に誘い受けのカウンターが飛んで来る)
「……あ…… 」
「あとコンマ1秒、考えるべきだったな若鳥よ」
アレクセイの容赦ない宣告と共に盾が変形の限界を迎え弾け飛んだ。




