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66話 リーダーとエース

何だかんだで夏は忙しい

「…… で、敵に挨拶してきたと」


「おぉ、レオンの若い時そっくりだったな」


 人気のない格納庫のハンガーに設けられた狭い喫煙スペースでフォックスの煙草の相手をする界人。フォックスの喫煙ペースは以前に比べてかなり減っている。


「歳ですか? 」


「いやいや、右肺を半分ほど焼かれたからな。そのせい」


 そう言ってタバコを持ったまま義手を振るフォックス。以前の姿に比べて幾分か無理をしているように界人には映った。


「一つ良いですか? 」


「おう」


「なんで隊長は自分の判断に自信が持てるんですか? 」


「ん? 持ってる様に見えるのか? 」


 フォックスの意外な質問返しに当惑しつも、界人は思いの丈を伝えることにした。


「はい。でも俺はまだ…… 」


「ははぁ、悩んでんのか。また面白いことを…… 」


 突然フォックスが界人と肩を組んだ。そしてそのまま天井を指差しながら話し始める。


「良いか? どうせ作戦にしろ指示にしろ結果が出るのはやった後の事さ。だから初めから指示を出す方が不安そうにしていりゃ上手くいくだろう作戦も失敗するんだよ。お前もリーダーになったのなら堂々としてりゃ良い、しくじった時のために俺やレオンがいるんだろうが? 」


 フォックスが明るく答えるも、界人の顔は晴れない。


「でも! それじゃ隊長たちに迷惑がかかる事に…… 」


「かけりゃ良いじゃねぇか、そうやって成長するんだよ。じゃなきゃどうやって未来が生まれる? 良く覚えておけ、未来を作るのは常に『若者』であって初老を超えているジジイのやる事じゃねぇんだよ」


「だから…… 」とフォックスは格納庫の奥にそびえ立つ爆龍バオロンの方を指差した。


「あれにはお前が乗れ。これは拒否させねぇ」


「でも! 」


「『でも』は要らないっつってんだろ? しくじれ、潰せ! その度にスコットが直すし、俺がフォローしてやるから」


 不安そうな顔をする界人の肩を再び抱くフォックス。そして笑顔で語りかけた。


「俺も最初はそんなもんさ」


「そうだな、初出撃で敵3体と引き換えに自機を木っ端微塵にしたものなぁ? フォックス」


 いつの間にか喫煙スペースの向こうにレオンが立っている。レオンの言葉を聞いてフォックスの顔が赤くなる。


「お前! 言うなっていったろうが!! 」


 唾を飛ばしながら恥ずかしがるフォックスを尻目にレオンは界人の肩を叩いた。


「な? みんな初めから出来るわけじゃない。新人の頃を思い出せ」


「は、はい! 」


 やっとの事で界人の顔から曇りがなくなったその時、格納庫の扉が開いてそこから1分としない内に一機の輸送機が格納庫に滑り込んできた。


「スコットか? 」


 フォックスが不安そうに腰のホルスターから拳銃を取り出す。レオンと臨戦体勢を整えながら下を見下ろすと、コックピットの扉が開いて二つの人影が現れる。その内一方は見知った顔で、もう一方は誰もが予想しない顔だった。


「敵意はない、フィリップ司令に合わせてほしい」

次回、戦闘突入します(更新日未定)

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