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64話 ただいま

勉強合宿開催地は和歌山県、自宅は大阪南部とモロに水害の被害を食らいそうでしたが被害はゼロでした。良からぬ心配をお掛けしましたことを深くお詫びします。

 東京市ヶ谷、そう呼ばれている一帯はほぼ無人と化していた。というのもその敷地の半分を占める『トレック・インダストリアル』のラボが『Hive』に暴かれた違法兵器開発に関する騒動の煽りを受けて閉鎖していたからだ。


「リオ機、ガス使いきりました」


「軌道修正確認、着地用意! 」


 巨大な影が10個ほど群れをなしながらそのだだっ広い廃虚に向かって降下していく。その光景はあまりにも異様であった。


「全員パラシュートは開いたな? ……… ったく、羽田に輸送機を突っ込ませろとか言いやがってバカ野郎(フィリップ)め」


 羽田―市ヶ谷間の距離を考えながら着地計画をしなければならないのだから確かに面倒である。ギアの重量はフル装備で70tに迫るため、パラシュートのタイミングは勿論の事背部のジェットによる方向調整も必要なのだからフォックスの愚痴も至極全うな話である。


「―――――っ着! 」


 ズウゥン、と重々しい音を立てながらギアの群れが一斉にラボ跡地の試験グラウンドめがけて着地し、膝を着いた状態のままで動きを止めた。


「安全確認よし、フゥ」


 フォックスが強めに息を吐き出す。界人たちもそれにならって緊張を解いた。


「二回しか降下訓練をしていないのにこの出来か、新人たちはお前よりセンスあるんじゃないか? 」


「最初の訓練の時なんか界人泣いてたもんね」


 ユリもフォックスを押し退けながら画面に割り込んでニヤニヤする。このとどめで界人は完全に顔を赤くする。


「ハハッ、これだけは最後まで出来ませんでしたからねぇ…… ハァ」


 界人が情けないため息をつく。生来の高所恐怖症が抜けきらず、飛べるようになるまでにかなり時間がかかったことは今でも酒の席での笑い話になるほどなのだ。


「さて、みんな集まってきましたね」


 しまりの悪さを回避するかの様に界人が話を逸らす。フォックスもユリもそこまで深くいじるつもりもなかったので即座にコックピットの外へと視線を移した。


「懐かしい顔が並んでやがるなぁ」


 感慨深そうに人混みを見つめるフォックスの背中にユリが覆い被さった。


「みんなフォックスの帰りが嬉しいんだよ」


「そうですね、みんな隊長が大好きですから」


 画面越しに界人の笑顔を見ながらフォックスもつられて笑った。


「そういや言ってなかったな」


「何を? 」


 ユリの頭を撫でながらフォックスは界人の方を向いた。


「ただいま」


 一瞬何を言っているのか分からないような表情をした後、思い出したように界人もコックピットの中で急いで居直った。


「おかえりなさい、隊長」




 ──────────────────────

「で、レーダー無効高度から無人の輸送機を突っ込まれたと」


 羽田基地に降り立ったアレクセイと桜はその惨状を目撃して半ば呆れた風に現場隊員の話を聞いていた。


「まぁいい。で敵さんの隠れ家の見当は付いたのか? 」


「それが…… 」


「なら良いです、私が偵察に出ますので。では」


「おい桜! 」


 アレクセイの話を聞く態度も見せずにそのまま桜は建物内に入っていった。


「ルイス少尉の話は伺いました。大変ですね」


「あぁ、若さゆえの暴走をやらかさなければいいんだがな」


 遅れてやって来た基地司令に話を合わせつつアレクセイは書類を受け取り、敬礼した。


「長丁場になるかもしれませんが宜しくお願いします」


「えぇ、早く本部帰還出来るように頑張って下さい。私も士官学校出とはいえパイロット上がりなもんですから」


 書類を脇に抱えて歩み去るアレクセイの後ろ姿はどこか悲しそうだった。




 ──────────────────────

「さって〜、香港に寄ったついでに買いもんも済ませておくかねぇ」


 フォックスたちと別れてすぐスコットは香港に滞在していた。当然ただの観光ではなく意味があっての滞在なのだろうが、いつもの白衣はどこかにしまったままポロシャツにチノパンというただの中年にしか見えない格好で繁華街をぶらついていた。


「そろそろ連絡が来ても…… お、来よった来よった」


 ズボンのポケットから端末を取り出して送信元を確認すると、そこには『フェルディナンド』と表示されていた。


「よぉ、今中央繁華街なんじゃが…… ん? 東側に路地を抜けて港に来い? 分かった、すぐ行こう」


 通話を切り、その場でタクシーを停めたスコットは即座に行き先を伝えて乗り込んだ。


爆龍バオロンの改造用パーツなんぞ物好きなやっちゃなぁ…… 」

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