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60話 因縁

連絡です。7月2日から7月6日までの5日間、予備校の合宿授業のため更新を停止します。ご理解のほどお願い申し上げます

「あれで死ねないとは運が悪い」


 アレクセイは焦っていた。よりによって一番悪いタイミングで一番いてはいけない男が目の前にいるのだからその狼狽は理解に苦しくないだろう。


「よぉ、久しぶりだな」


「ふざけるな!! 」


 アレクセイの怒号が響き渡る。二年前のあの状況を知っていれば当たり前の反応だといえるだろうが、そんなアレクセイをフォックスは一笑に伏した。


「ドッグタグやらその他諸々、遺品確認をしないとはお前もロバートと同じ穴のむじなか? 見損なったぜ」


「まぁいい、ここで貴様を倒せば世界中にありのままの真実を伝えられる」


「パイロットが出てもない結果を語るなよ、焦ってるのか? 」


「だ、黙れ!! 」


「ほう、図星か」


 桜は「すごい…… 」と呟いた。ここまでアレクセイが追い詰められている姿を見たことがなかったのだから仕方がないことである。


「はぁ、興が冷めた。つまらん」


 薙刀の刃を地面に突き刺し、フォックス機が構えを解いた。


「感情が乗った貴様などそこらの馬の骨と変わらん。出直してこい」


「やかましいぃわぁぁ!! 」


 アレクセイの爆龍が足下に落ちていた両刃の直剣を拾い上げて斬りかかる。今までのギアではあり得ないほどの速さであった。


「……ふぅ」


 アレクセイ機が剣を振り下ろし始めると同時にフォックス機が身体を捻って回転しながら薙刀を引き抜き剣を受け止める。


「つまらんと言ったはずだ!! 」


 そのまま薙刀の長さを活かしてアレクセイ機を弾き飛ばし、振り下ろす。アレクセイ機は防御の術もないままに右腕を切り落とされた。


「ぬぅ! だがっ…… 」


「終わっているさ」


 アレクセイ機がフォックス機に向き直った瞬間、フォックス機はローキックを繰り出し、アレクセイ機の膝を完全に破壊した。


「貴様が俺に勝てない理由はな…… 」


 そのまま壊れた膝を踏みつける形でフォックスの爆龍がアレクセイの駆る白いギアに馬乗りになった。


「常にタイミングが見えないことだ。だから単独の実力があろうと常に出遅れる」


「何を!! 」


「現に! 今貴様はこうやって俺に踏みつけられている。あとそこ、妙な真似したらぶち抜くぞ」


「クッ! 」


 桜は、最後の一丁の拳銃を抜くことを躊躇ったことを後悔した。しかし、なぜか相手のあの紫色のギアを見ると反撃を恐れてしまったのだ。


「さて世界中の人々よ、私が誰か分かるかな? 」


「やめろ! 喋るなぁ!! 」


「久しぶりだな、フォックス=J=ヴァレンタインだ。今少し話を聞いて頂きたい」


 吠えるアレクセイのギアのスピーカーだけを破壊し、フォックスが続ける。


「待たせたな、再びこの世界に現実を見てもらう時がやって来た! 」


 桜もフォックスの迫力に負け口を出すことが出来なかった。


「待っていろ! 俺は再びやってやる!! 」


 それだけを残してアレクセイの爆龍の頭を踏み抜き、フォックスは去っていった。


「……やられたな。私の敗けだ」


「隊長…… 」


 回収要請の無線をかけるアレクセイの声を聞きながら、桜はかの男にある決意を固めた。それはフォックスという男への復讐だった。


「必ず、必ずこの手で…… 」


「桜? 」


 アレクセイは変わり果てた表情の桜をモニター越しに心配するしか出来なかった。

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