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54話 再会

またまた夕方までかかって書いた原稿をパーにして更新が遅くなってしまいました。申し訳ない

「う、ぐぅぅ…… 」


 言葉にならない激痛に界人は目覚めざるを得なかった。そして、周りの景色が輸送機の中ではないことにも気付く。


「ユリは!、ガァァ…… 」


「おいおい、大人しくしないか」


 声の方を見ると、明らかに界人の目覚めを待っていたであろう老人が一人、椅子に座ってなにやら機械を弄っていた。


「あの、ここは…… 」


「ここか?ここはレジスタンス『解放戦線』のアジトだよ。ようこそ玄田 界人君、歓迎するよ」


  老人が機械から手を離して界人の方を見る。


「わしはスコット=ミラーという。ここでメカニックをやっておる元ユニバーサル・ファクトリーの技術者じゃ、よろしゅうの」


 スコットがコップを差し出す。界人は喉の乾きに耐えられず、水を一気に飲み干した。


「しかしようやったのぉ、君以外に大きな怪我を負った者はおらなんだ。中々優秀な危機回避能力じゃな、あっぱれよ」


「ありがとうございます」


 一礼した後、界人は周りを見渡す。スコットはその意味に気付いたのか即座に反応した。


「あの女の子ならエアバッグに守られたものの軽く頭を打って気絶しただけだ。軽傷だったからここにはおらん。」


「そうですか、良かった…… 」


 それだけ言うと、界人は再びベッドに倒れ込み軽い寝息を立て始めた。


「若いってのはえぇこっちゃ。生きててなんぼやからな、無事で何よりじゃわい」


 スコットは界人が寝入った事を確認し、機械との格闘を再会した。

 

「えぇ弟子を持ったの、フォックス。お前そっくりの男前じゃわ」





 ─────────────────────

「んん…… 」


 照明の眩しさに負けて目が冴えてしまった。仕方なくユリはベッドから降りる。


「あれ? ベッド? 」


 つい先刻まで輸送機の操縦席にいたはずなのにこれはどういうことだろうか? 不自然過ぎる場所の変化にユリは首を傾げた。


「でも拘束されてはいないから捕まった訳じゃない…… そうか!不時着が成功して……… 」


 頭に手をやるとゴワゴワとした布の手触りがあった。恐らくは頭を打ってしまっていたのだろう。


「でも良かったぁ、私が生きているならみんな大丈夫だよね」


 しかし、個室にいるというのが若干の恐怖を募らせた。過去の記憶がそうさせるのか、放置されている気がしてならないのだ。


「そうだ、界人はどこに……… 」


 その時、部屋のシャワールームの棚に置かれていた着替えに気が付く。とりあえず外に出ようと着替えを手に取ったその時、服の隙間から一枚のメモが落ちた。


「!!、これって…… 」


 そこには見覚えのある字で『半日以上寝てたんだからシャワーでも浴びろ。ただし頭に血が上るかもしれないから湯船に浸かるのは避けろ』と書かれていた。


「そんなわけ…… ないよね」


 もしもユリが想像する人が書いた場合、その人物は幽霊になって化けて出ているという状況が発生する。流石にユリも妖怪の類いまでは信じたくなかった。


「なんでこんなに思い出しちゃうんだろ…… 忘れるって決めたのに……… 」


 その筆跡を辿るほど思いが溢れ、気付けば流したくもない涙を流していた。


「フォックス……… 」


「おぉ、起きてたか」


「!??!?!!!! 」


 突然後ろから声をかけられユリは飛び上がった。そして、そこに立っていた男の姿を見て顎が外れそうなほど驚いた。


「なんで!? 嘘でしょ…… 」


 間違いようがなかった。雑じり気のない銀髪に悲しみを帯びたような深い目、そして何よりも室内でもコートを前開きで羽織っている独特な姿は正しくフォックスである。


「幽霊っていたんだ…… 」


「勝手に殺すなバカタレ」


 フォックスが左手を突き出す。そこにはドッグタグが握られていた。


「ちゃーんとお前たちには『二枚付いたまま』渡したろ? 」


「でも、でも!…… 」


「初めて会ったとき言ったろ? 俺は勝手にお前の前から消えはしないと」


 ユリはフォックスの優しい目を見て、今まで押し留めていたものが全てが溢れ出した。止めることが出来ない感情の渦に呑まれながら、ユリは静かに笑った。


「…… おかえり! 」


 かつてより力のこもったユリの抱擁を受け止めながら、フォックスは左手でユリの頭を撫でた。


  「ただいま、ユリ」

元々殺す気もさらさら無かったので序盤からフォックス復活です。展開が速すぎますがきっと誤差の範囲のはずです、多分

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