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53話 回収

なんでも簡潔に書いてしまう癖があるのですが、ちゃんと伝わっているのか心配です。「ここが分かりにくい」等の意見ございましたら感想等でお伝えください。

 解放戦線本部の滑走路は騒然としていた。誘爆はしなかったものの10機近いギアを積んだ輸送機が堕ちたのだ。もう片方は既に無事着陸を終え、格納庫への収容も完了している。


「はぁー、派手に墜ちたなこりゃあ」


 翼の折れた輸送機の姿を見て、スコットが他人事のように呟いた。その横で例の義手の男がハッチを開けて輸送機の内部を確認する。


煎餅(せんべい)になった奴はおらんらしい。ということは全員ギアの中か…… 」


「おい、あんまりさくさく進むと中に罠があった場合…… 」


 勝手に内部に入ろうとする男を慌てて呼び止めるが、彼はスコットの心配すら意に介さないような素振りを見せる。


「多目的大型輸送機『リバティ1』、民間用として登録してあるこいつにそうそうトラップの類いは置いておけないから安心しろって」


「あーー、そうだったね。その辺は君の方が詳しいんだったな、すまない」


 男が罠の有無を確認し、スコットを手招きする。すぐにスコットも内部に入り、ギアのコックピットハッチに端末を取り付ける。


「こんなところまで電子ロックをかけたら非常時に取り出せんだろうが、ったく」


 文句を言いながらもものの数秒でロックを解除するスコット。彼の前ではいかに最新の暗号を用いようと関係ない。


「おぉ、エアバッグもシートベルトも正常に効いとる。翼のエンジンの様子から見て、逆噴射もちゃんとかけたようだな」


 恐らく相当慌ててギアに飛び込んだのだろう、その一機以外は特にロックもかけられていなかった。


「ギアにおるのはこれで全員か、操縦席は? 」


「二人、呼吸はあるが意識は無さそうだ」


 男がその二人を担いで操縦席の方からゆっくりと姿を現す。単に頭を打っただけのようだが、いかんせん高度が高度故に安心も出来ない。


「スキャンは出来るか? 」


「任せい」


 スコットが端末のスキャン機能を使って二人の容態を確認する間、男は二人の顔を見つめたまま動かない。


「どうした? 」


「いや、一度はこいつらのために死んでやったつもりだったが俺はこうして偉そうに生きてるだろ? なんかこう…… 会わせる顔がなくてな」


「別にこいつらは気にしとらんだろ? むしろお前が生きていることを狂喜乱舞しながら歓迎すると思うぜ俺は」


「そうだといいがな…… 」


 男は『Fox=J=valentine』と刻まれたドッグタグを握りしめた。


「久しぶり、早く起きろよ…… 」






 ─────────────────────

「現地の部隊が目標への攻撃を成功、解放戦線本部方面に墜落したそうです」


 壁につけられた有線の受話器を置き、桜がアレクセイに告げた。ルイスたちの顔も明るくなる。


「これで当初の予定通り、解放戦線も制圧出来る条件も完成しましたね」


 ルイスがアレクセイに微笑んだその時、ルイスの横にいた隊員が声を上げる。


「そうそう、俺は昔スイスにいたから同僚からもよく連絡が来るんだがその中にとんでもない情報が混ざってたりしたな」


「とんでもない情報? どんなものだ? 」


 アレクセイが多少真面目な顔で前のめりになると、多少怖じ気づいた形でぼそり、ぼそりと語り始めた。


「えっと、解放戦線にはかつてのHive代表であるフィリップ=グリーンがいるとか」


「何? 」


 かなり厄介な話が出た、とアレクセイは感じた。かつてその男の外交手腕に引きずられ各国軍隊は要らぬボロをばらまき続けるはめになったのだから、警戒に越したことはない。


「それに、『とか』と言うからにはまだあるのか? 」


 アレクセイが聞き返すと、「はい」と言って話を再開した。


「あともう一つ、最近になってアジトに現れたある用心棒の話です」


「用心棒? 」


「はい、そいつが片腕のくせしてとんでもない強さなんですって。確か歩兵部隊によるアジトの突撃作戦の際にはそいつに30人近く再起不能にされたとかなんとか」


「……… いくらなんでも盛りすぎだろう。まず考えて無理だろう? 」


 ルイスの否定も理解できるが、アレクセイの心の中にはどうしても否定しきれないある可能性がよぎった。


「フォックス、か」


「まさかぁ、あの戦いで死んでいないならただの不死身じゃないですか」


 ルイスたちはそのまま談笑に戻ったが、アレクセイは最後のとある傭兵の話が頭の奥底に引っ掛かったままだった。


「大丈夫ですか? 」


「あぁ、そんなことより桜君」


 心配そうな桜の顔にアレクセイは笑顔で答える。


「今すぐ第五世代機と第六世代機の用意をするようにフェルディナンドさんに頼んでくれ。今回はもしかすると途方もない大事になりそうだ」


 桜は「分かりました」以外には何も言わず有線の受話器を取った。

特筆すべきこともないので少し連絡をさせて頂きます。7月〜8月にかけて予備校の夏期合宿や特訓授業により大幅に更新速度が低下すると思いますが、決して失踪したわけではないので「浪人って忙しそうだね(笑)」くらいの感じで待って頂けると幸いです。

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