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50話 その名は

他の作家の皆さんってどうやって戦闘アクション書くんですかね、凄すぎません?動作を再現せずに書くとか自分には難し過ぎる芸当です

 ドームの屋根を突き破って現れたそれは、だれも誰もが見覚えのある物だった。黒塗りのギア、それも旧世代とは違う生物的なその外見に人々は固唾を飲んだ。


「あれ、『Hive』のだよな? 」


「だよね! ニュースで見たことある!! 」


「今度はどんなことやるんだおい! 」


 観客席のあちらこちらでこのような言葉が飛び交い、アレクセイが入場したときよりも一層会場の空気が揺れ始めた。


「凄まじい人気だな、やはり民心は政府にないと いうわけだ」


 黒塗りのギアは恐らく第五世代の『レイヴン』だと推測できるが、アレクセイはその武器の偏りに驚いた。


「近接だけだと? 射撃武器を持たぬなど、侍の真似事か? 」


 その時、元々はアレクセイの対戦相手であったクローン搭乗機の一機が機関銃を構えるがその手元で銃が爆発する。


「まさか、あれも剣なのか? しかし良くできた代物だな」


 ついさっきまで盾だと思い込んでいた右腕の『それ』は突如右腕の前へと展開し、大剣へと変化していた。恐らくアサルトブレードか、カタールの類いであろう。


「粋な真似をしよる…… 」


 まだ顔も知らぬパイロットの姿に、アレクセイは思わず口元が緩んだ。





 ──────────────────────

「着地完了、作戦開始」


 短く輸送機にメッセージを伝えると即座に無線を受信のみに切り替え敵に向き合う。


「まずは一本!! 」


 気を付け状態から一歩を踏み出し、右腕のブレードを展開して切り上げる。逆風に切り上げた機関銃は狙いを外すことなく二つに分かれ、敵の手元で爆発した。


「セアァァ!! 」


 そして振り上げたブレードを振り下ろし、敵のギアを頭頂から真っ二つに切り伏せる。その流れるような動きに敵が躊躇っているのが確認できた。


「流石に近接『だけ』ってやつは見たことないだ うなぁ!! 」


 すぐさま銃を構える敵機の両腕を切る。薙ぎ払う様に切りつけたため刃の一部が引っ掛かり、横のもう一機を巻き添えにしながら転倒する。


「ーーー!! 」


 真横から突き出されたランスに多少驚きつつも間合いをとってブレードを構え直す。


「中世のナイトかよったく、まぁ人の事言える武装ではないけどさ」


 腰に差してきた二本の太刀と大腿部に装備したダガーを見て呆れたような笑いをする界人。その時、突如新型機のスピーカーがオンになるブツッという音が聞こえた。


「聞こえるかHiveのエースよ、私はアレクセイ、アレクセイ=フーマー大佐だ。名乗る名があるなら名乗ってみせよ! そしてこの名を冥土に持っていけ!! 」


「………自信たっぷりな物言いだな、笑いどころすら見当たらない」


 独り言を呟いた後、界人はとりあえずマイクをオンにしてスピーカーを立ち上げる。


「それはどうもアレクセイ大佐、私の名前は玄田(くろだ) 界人(かいと)だ。少しは自分の身を案じることをおすすめしますよっ!! 」


 名乗ると同時に突進し、切りかかる。しかし敵はその一太刀をランスで受けた。


「なっ! 」


「この私に小細工は通用しないと心得よ、玄田とやら。次はない」


 両者ともに相手を押し返し、再び睨み合う。


「偉く優しい軍人さんだな、もっと非情だと思ってましたよ」


「減らず口を、貴様それでもあのフォックスの教え子なのか? 何から何まで未熟過ぎる」


「そう思うなら足元見てみなよ」


「何を言って………!!! 」


 その瞬間、闘技場は目も眩むばかりの光に包まれた。閃光弾である。


「なるほど、だが第六世代にはある特性があってな」


 距離を取ろうとしたレイヴンの首をクルセイダーの右手が掴んだ。


「その手のトリックが効かぬようCGに明彩度を自動判別する機能が備わっている! このような小賢しい手に二度目ですないと言っただろうが!! 」


 そのままレイヴンを押し倒しクルセイダーがランスを振り上げる。しかし負けじとレイヴンは左手で腰の太刀を抜き取り、クルセイダーの右腕に的確に刃をあてがった。


「!? 」


「複合装甲に刃物は通じにくいからなぁ! もらったぁぁ!! 」


 クルセイダーが突き上げたランスはレイヴンの左腕を粉砕し、その勢いで相手を後ろに吹き飛ばした。


「これで終わり……! 」


 再びレイヴンの前で爆発が起きる。しかし次は光ではなく煙であった。


「待て!クソッ、こんなことなら…… 」


「申し訳ないが試合の続きは戦場でやろう、今日のところはやることはやりきったんでな」


「ふざけたことを…… 」


 その時、緊急回線がコールを告げた。送信先はフェルディナンドだ。


「どうした? 」


「格納庫が抜かれ、もう片方の新型機と第五世代6機が持ち去られた。すまんが撤退してくれ」


 煙も収まり既に敵の姿が見えなくなった闘技場で、アレクセイは一人コックピットから顔を出す。


「………玄田 界人、楽しい若鳥だ。ただ、次はない」

ギア解説:クルセイダー


旧体制下の『テクノ・フロンティア』と『トレック・インダストリアル』が合併して出来た軍産複合型大企業『スター・エレクトロニクス』が製作した第六世代ギア。


他の第六世代候補よりも若干戦闘能力やカタログスペック(出力理論値)で劣るものの、古い世代のギアのフレームを流用したことによる高い生産性と他の候補にはなかった『操縦の簡易性』が評価され最終審査まで残る結果となった。


武器は内部に25mm機関砲を内蔵した専用ランスを主体に基本全ての武器が使用可能。

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