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ライトニング・スピード  作者: アラトラト
第1章
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プロローグ

初連載です!よろしくお願いします!

 






『英雄』



 私がその言葉を知ったのは、幼い頃のことだったけど、実際にその姿を見たのは二年前のこと。



 もちろん今、戦争なんてない平和なこのヤマトの国にそんな人はいないんだけど、でも私は知ってる。



 ある競技で、ヤマト出身者として初めて世界の頂点に立った男の子。



 誰もが無理だって言っていて、私もそんなことできるはずがないって思ってたことをやり遂げてしまった人。



 私は、その男の子を本当の英雄だと思っている。



 たぶんその男の子をそう思っているのは、私だけなんだって思うの。



 でもその男の子は、幼い自分に変わるきっかけをくれた。



 決められたレールなんてないって、変えられない未来なんてないって、できないことなんてないって。



 初めてあったのは、さらに前、多分私が十二歳くらいのころ。お母さんのお仕事の付き添いで私が初めてアリーナにいった時、とっても無愛想な顔で壁にもたれかかっている私と同じ年くらいの男の子を紹介されたの。



 その男の子は、私を見て「つまんない人」といった。



 初めてあって話すらしたことすらないのになんて失礼な人なんだろうって私は思った。



 でも、同時に自分の心の中を見透かされたような気分になって、私はなにも言い返すことができなかった。



 決められたレールの上を歩いて、両親に言われたことをして、それでいいって思ってたし、そうしていたら喜んでくれた。だから、それが間違ったことだってそれまで考えたこともなかった。



 結局私が言えたのは「なんで?」っていう一言だけ。話の脈絡なんてないただの呟きに近いものだったんだと思う。



 なんでそんなことをいうの?君は私とは違うの?って言いたかったんだと今では思うけど、その時は、それしか言葉が出てこなかったけど、私の言いたかったことは伝わったんだと思う。



 少しの沈黙のあと男の子は、今までの無愛想な表情じゃなくて、ほんの少し笑っていった。



「じゃあ見てなよ。そしたら分かるかもよ」



 って。



 そして、その男の子は、逆境や周囲の評価を全て置き去りにして二年ほどで、てっぺんまで駆け上がっていってしまった。



 聞いたときはわからなかった言葉もだんだんと私は理解していって、私は変わろうって思った。



 誰かに敷かれたレールの上を歩くんじゃなくて自分で、自分のしたいことしてみようって。



 だから、その男の子は私にとって『英雄』なんだ。

 私に変わる勇気をくれたんだから・・・。






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