五月病と土曜日
どうも、綾鷹です。ノンフィクションを基にしたフィクション、第二弾です。前作はノンフィクション寄りだったのですが、今作はかなりフィクション寄りです。
あ、そしてまた勢いで書き上げてしまったので、推敲してないです、お許しください!
ではでは、最後まで読んでいただければ幸いです。
午前8時、起床。
今日は土曜日である。だというのに、気まぐれな妹に叩き起こされ、朝から気分は最悪だ。深く溜息を吐く。一日の始まりはとても冴えないものとなった。
午前10時、眠気が襲い、うとうとしていた私に、再び妹の手によって災難が起こる。油性の名前ペンで左の腕に落書き。すぐに洗面所に行き水で洗いながら擦ったが余計に黒インクが広がって目立つはめになった。冷水で出るようにしているはずが、水が心なしか温い。ああ、実に冴えない。
午前11時、友人に私の書いた小説を見せてやった。自分では自信作…のつもりだったのだが、返ってきたのはこれでもかという酷評。ここが変だとか、文体が気に入らないだとか、とにかくもう全てを否定された気分だった。全くもって冴えない。
正午、その友人と安いバイキングにて昼食。全く気分が上がらず、箸も中々進まない。今の私の胃には、口に運ぶもの全てが濃くてやかましく感じられ、食べ物がずどんと重く溜まった。案の定腹を下した。長い排泄を終え、鏡に写ったその顔は最高に冴えなかった。
午後3時、塾終わり。長文の英語が私に与えた情報の量は私の脳の領域を軽くオーバーしており、疲弊しきった私は、何か甘ったるいものを求め、這いつくばるようにコンビニを回った。が、ピンと来るものはどこに行っても見当たらず、最後の砦として行った大きなスーパーからは、九つほどのレジに大名行列のように並ぶ人の群れを見て、青ざめて出て行った。
今日の私はずっと冴えない。最近の忙しさによる睡眠不足のせいなのか、はたまた別の要因があるのかはわからないが、とにかくパッとしない。早く帰って布団に潜ってしまおう。そう思った。
だが、そんな矢先、帰路の途中の甘味屋でふと足を止めた。梶井基二郎の『檸檬』からインスピレーションを得て、レモンの形を模したスイーツをウインドウに見付けると、私は吸い寄せられるように中に入った。
スイーツはとても美味しかった。人気の少ない甘味屋の隅で、それを食べ終えたとき、私はなんとも言えない満ち足りた気持ちに包まれた。
ああ、今日は良い一日だったなぁと思った。冴えない事が沢山あったとしても、良い事一つで覆ってしまう。実に私は、単純である。
午後9時、これを書き終える。相変わらず私は満ち足りた気持ちでいっぱいである。夜の静けさと書斎の孤独とは裏腹に、上がりきった気持ちが浮いている。それがまた、不思議で面白い。
ああそうだ。この小説も、また友人に見せてやることにしよう。今度こそは絶賛に違いない。