The wrinkles of the heart ②
The wrinkles of the heartの続きになっています。
ベアは、他のお話にも出ています。
お時間がある方は是非探してみて下さい。
よろしくお願いします♪
あのアイロン掛けをした日から、少しずつ松本 苺はおかしくなっていった。
親や友達、学校、部活…全てがどうでも良くなった。
具合が悪いと親に嘘をつき、初めて学校を休んだ。
自分の部屋のベッドでうずくまっていた。
まるで、私ではないような感覚。
もう壊れてしまったら、楽かもしれない…なんて考えていると、
『苺ちゃん、ダメだよっ!!』
どこからか可愛らしい女の子の声がした。
だけど、この部屋には私1人のはず…と思いながら、部屋の中を見渡した。
『私だよっ!!苺ちゃんの友達のベアだよ。』
そう言って、ベッドの下でピョンピョンと飛んでいるオレンジのくまのぬいぐるみ。
「…えっ!?」
『ちょっと待ってて…。今、ベッドの上に行くから…。』
そう言って、一生懸命ベッドの柱につかまり上がってこようとするベア。
私は、何だか見ていられなくてひょいとベアを抱え上げた。
『ありがとう…。ハァ…疲れた…。』
「大丈夫?」
『うん、話しかけてくれてありがとう。』
「ベア、どうして話せるの?私、夢でも見ているのかな…。」
『苺ちゃん、夢じゃないよ。私、ぬいぐるみの神様にお願いしたの。苺ちゃんと話せますように…って。』
「うん。だけど、どうして…?」
私は、どうしてベアが話せるように神様にお願いしたのか分からなかった。
ベアは、こう言った。
『苺ちゃんが、壊れそうだからだよ…。私、見ていられなくて…。大切な苺ちゃんがいなくなったら、嫌だよ。』
「ベア…。もしかして、この間のアイロン掛けの事…。」
『もちろん、見てたよ。苺ちゃんが、無理している事も分かってるよ。」
「私の事を見ていてくれた人って、ベアぐらいだよ。」
そう、私の周りの人は皆“私自身”を見てくれない。
親は、結果が悪い人の事を悪く言い、学校だってそうだ…。
学力や外見、実力だったり…。
それについていけないと、仲間外れにされたりする人だってたくさんいた。
私は、皆に嫌われたくないから…一生懸命頑張っていた。
きっとそんな事に、疲れたんだと思う。
ベアと話して、心のシワの原因が分かった気がした。
『私は、苺ちゃんの味方だよ。』
「うん、ありがとう。」
私は、ベアを抱っこして泣いた。
『苺ちゃん、泣いていいんだよ。ずっと、我慢してたんだから…。』
しばらく泣いたら、すっきりした。
「ベア、ありがとう。わざわざ、神様にお願いしてくれて…。
私、これからは“自分”をちゃんと見てもらえるように頑張るよ。」
『うん。人と一緒になっていたら、自分が分からなくなっちゃうもん。』
「ベアは、どんな時でもいてくれた。中学3年生の頃から、ずっとありがとう。」
『ううん…。私は、苺ちゃんのお話を聞いたりするだけで幸せだったよ。可愛がってくれて、ありがとう。』
「これからも、ずっと一緒にいてね?」
『もちろんだよ。私が話せなくなっても、お話は聞いてるよ。あっ…、時間がそろそろ…。』
「えっ、時間決められてたんだ…。神様にもお礼言っておいて。」
『うん。苺ちゃん、ありがとう。』
そう言ってベアは、動かなくなった。
私は、ベアのお陰で心のシワがとれた気がした。
私を救ってくれたベアの為にも、無理しないで頑張ろうと決めたのだった。




