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幻影虚実の覚醒者【ニューヒーロー】  作者: abyss 零
史上最長のプロローグの序章
7/7

走馬灯……生きる力を見つけ出せ!

都合よく勝つのは次回になります。すみません。

 あ、終わった、俺の人生――脳内で独りつ。だってそうだろ? 自分でチートと認めるようなキャラクターに、勝てるわけがないじゃん。

 そうだよ、そもそも最初から勝てる相手じゃなかったんだ。俺が作った最強キャラクターなんだぜ? そりゃあいくらクリエイターの俺だって勝てないわ。

 ああ、おしまいだ、命。意外と短い人生だった。つまんなかったなあ……ああ、つまんねえ! ほんっとつまんねえ! なんかむしろ? とっとと死ねて清々したっつーか? 親の死に顔拝むくらいなら、先に自分が死んだ方が寝覚めはいいっつーか? ま、死んどいて寝覚めもクソもあるかっつー話だけどさ!

 はは! ははは! あっはっはっは! はははははははははははははは! あは……は……。あはは……。…………。

 はあ……にしても、マジでつまんねえ人生だったな、今にして思えば。 こんなつまんねえ人間だったかな、俺……。

 学校行って、大して仲良くもない奴らに愛想笑い振り撒いて、教師の機嫌窺って、微塵も興味ねえ大人のうんちくをノートに書き並べて、大して仲良くもない奴らと飯食って、無意味に駄弁って、大して仲良くもない奴らと一緒に帰って、独りぼっちの家に着いて、条件反射みてえにゲームを起動して、エイトを操作して、お袋が帰ってきて、飯作ってくれて、それが美味くも不味くもなくて、自分の使った食器だけ洗って、またエイトを操作して、風呂入って、風呂上がりに10分だけ筋トレして、そんでまたエイトを操作して、たまに親父が帰ってきて、くだらねえ自慢話を繰り広げて、寝て、起きて――。


 なんだ、この日常。つまんねえ。最低な人生だったよ、まったく。こんな人生、最低で――最高だ。つまんなくて、楽しかった。なんでこんな早く死ぬんだよ? もっとやりたいこととかあったんだぜ? 親より先に死ぬなんて有りかよ? お袋や親父はどうなるんだよ? 親の死に顔拝むより、親の泣き顔拝む方が、何億倍も心痛えよ!

 もっとあいつらと仲良くなりたかったさ! もっと素直に笑いたかったさ! 教師の中にもたまに良い奴がいたり、たまに言ってることが面白かったり、あいつらと飯食って、駄弁って、一緒に帰って、独りぼっちの家に着いてよお! 条件反射みてえにゲームを起動して、そしたらお前がいたんだ! お前と一緒に戦ってた! 楽しかった! そこへお袋が帰ってきて! ヘトヘトなのに飯作ってくれて! お袋の味がして! 自分の使った食器だけ洗って『ありがとう』って言ってくれるのが、すげえ嬉しかったんだよ!またお前と一緒に戦った後に風呂入って! 筋トレして! 飽きもせずにお前と一緒に戦って! 冒険して! 仲間を作って! たまに親父が帰ってきたら、ゲーム開発の裏話とか聞いてよお! 寝て起きたら、いつの間にか明日になっててよお!

 なんだよ――生きるって、こんなに大事なことだったのかよ。気がつかなかっただけで、俺にとって全部が『かけがえのないもの』だったのかよ……そんなの有りかよ!


 ――生まれた時のことを思い出したぜ。お袋が笑ってる。親父は……泣いてる。何でだ? お袋が痛がってたからか? 結構な医療費が掛かったから?

 ……違う。嬉しいんだ。食器洗って『ありがとう』って言われて嬉しいのと、どこも変わらない。同じ『嬉しい』なんだ。

 俺は、望まれて生まれたんだ……。


 あれ、今度は俺が歩いてる。なんだよ、その足取りはよお。だらしねえなあ。そんなんじゃ、お袋を守れねえぜ。そんなんじゃ、親父にバカにされちまう。

 幼稚園の頃は泣き虫で、小学生の頃は目立ちたがり屋で、中学生の頃は無駄にスカしてて――そして、今は……。


 あ、分かった、俺は人生を見ていたんだ。俺の人生……そうか、これが走馬灯ってやつか。すげえ、初めて見たぜ、走馬灯をよお。

 あれ、走馬灯ってことは、やっぱり俺、死ぬのか……生まれた時から、今まで。遡って、進んで。また戻って、今になって――明日は来なくて、ずっと、ぐるぐるぐるぐる。

 ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる…………。


 ……! 見つけた! 見つけたぜ、ヒントを! 俺が生きる、最後の道を! ありがとよ、人生! 俺に生きる力をくれて!

 今、俺が生きてきた全部が、俺に『生きろ!』って叫んでる! まだ終われねえ! 俺はこんなとこで死んでいい人間じゃねえんだよ!




 いくぜ……こっからが本番だ!

走馬灯を見る回でした。


都合よく勝つための布石めいたシチュエーションをシミュレーションしていたら、丸々1話使ってもいいレベルまで飛躍してしまったというのが実情です。

次回、ついに決着!


別作品『ALTERNATIVE ~オルタナティヴ~』の方も連載していますので、よろしければこちらもどうぞ。

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