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恋した人は悪魔でした。その1



 カーライル公爵の学園時代のお話が続きますが、今回からはマリアンナさん視点になります。


 学園時代から既に少々変わった女性でした。




 私、マリアンナ・ヒルグレーヴは四姉妹の三番目で、ちょっと変わった二人の姉(双子)と妹に囲まれて育ったせいか、やや冷めた物の見方をする娘に育っていた。

 長姉は『私、恋に落ちたわ!』なんて言っていたと思ったら、次の日には『私、恋に落ちたの!・・・え?昨日も同じことを言ってた?何のことかしら?』と、平然と言ってのけることがしょっちゅうあった。

 次姉はともかく殿方の容姿にうるさく、殿方が通り過ぎるたびに、点数をつけるような失礼極まりない人で、『100点満点、出て来ーい!』が口癖だった。

 そして、妹は惚れっぽく、外見重視・・・つまり、長姉と次姉を足したような子だった。

 ここまで言うと、私の姉たちが酷い人間に思われるかもしれないが、殿方の容姿等について、他人の前でけして文句を言わないだけの分別はあった。身内贔屓ではないけれど、悪い人たちではない。・・・多分。

 そんな姉二人と妹は、三人共、いつか王子様のように素敵な殿方と出会えると信じて疑わなかった。

 私はそんな姉や妹たちを窘める役目を両親から仰せつかっていて、何となく自分はしっかりしなくてはならないと、夢を見てはいけないと思うようになった。

 そして、一目惚れなんて有り得ないと思っていたし、外見よりも中身だろうと思っていた。


 ちなみに数年後、姉二人は何故かけして見た目がいいとは言えない殿方と結婚することとなる・・・。男は中身よ!と、言い張るようになる・・・。



 私が魔法学園に入学する前、姉たちからとても羨ましがられた。

『マリはデヴァレル殿下より一つ下だから、2年も同じ校舎で過ごせるのね!もしかしたら、すれ違った時に見初められるかもしれないわ!』

『五大公爵家のマシュー・グラント様と同じクラスになって、見初められるかもしれないわ!』

 見目麗しい我が国の王子様や次期五大公爵と同時期に学園で過ごせることをとても羨ましがられた。

 でも、私は声を大にして言った。

『どちらにも見初められることなんか有り得ませんから!!』


 確かにデヴァレル殿下もグラント様も美しい容姿をしている。

 もちろん、素敵だと思ったけれど、長姉や妹のように一目惚れはしなかった。

 もちろん、次姉のように点数もつけなかった。

 遠い世界の方々だと思っていたし、そんな目で見るなんて、恐れ多いと思っていた。

 そして、何より私は冷静だった。

 それもこれも冷めた考え方をしているせいだと、いや、変わった姉たちのせいだと思っていた。


 そして、2年生に上がる前には妹がこんなこと言い出した。

『お姉様!カーライル公爵家のアンドレアス・ロクサーヌ様を見掛けたら、どんな方なのか教えてちょうだいね!話では、その方はまるでとろけるように甘い笑顔を見せるんですって!その笑顔を見た女性は失神してしまうそうよ!』

 その話を聞いた時、私は内心、大笑いした。いえ。実際に笑ったと思う。

 笑顔を見て、失神?そんな馬鹿なことがあるわけがないでしょう。

 次の日にはそんな話なんか忘れていたくらいだった。


 私がアンドレアス・ロクサーヌ様を見たのは新学期が始まって、しばらく経った頃だった。

 校舎の玄関前でデヴァレル殿下の妹君であるフェリシア殿下が私の横を通り過ぎて行ったと思ったら、

「アンドレアス様!」

 一際背の高い茶色の髪の男子生徒がその声に反応して振り返った。・・・朝の光のせいで顔が良く見えない。

「これはこれはフェリシア殿下。今日もお美しいですね。その美しさが毎日見られるなんて、夢のようですよ」

 その声は深みがあって、なめらかで、耳に心地好く響いた。

 そんな素晴らしい声に手放しで褒められたと言うのに、

「まあ!そんなふざけたことを言うのは、いい加減にやめてくれないかしら!?」

 何故かフェリシア殿下は怒り出した。

「何と!褒められて怒られるなんて、初めてですよ!」

 そうして、男子生徒が弾けるように笑った時、はっきりと顔が見えた。


「あら、マリ。まだそんなところにいたの?」

 一年時のクラスメートで今では一番の親友であるエレン・スターリングが私の背後から声を掛けた。「まったく、忘れ物なんかして、私ったら、いやになっちゃうわ」

 生真面目なエレンは忘れ物をした自分に対して、腹立たしげにそう言っていたけれど、私はいつもみたいに、『エレンは気にし過ぎよ』と、優しく言ってあげられなかった。

「ねえ、マリ?どうしたの?」

 エレンはそう言って、背後から私の肩を軽く叩いて・・・「えっ!?」

 私は膝から崩れ落ちてしまった。

「マリ!?一体、どうしたの!?マリったら、しっかりして!」

 ・・・私、一瞬だったけれど、気を失っていたと思う。


 私はアンドレアス・ロクサーヌ様の笑顔を見た途端、恋に落ちてしまった。

 一目惚れなんて有り得ないと思っていたのは、冷めているからではなく、彼に出会っていなかっただけだったのだと気付いた。


 アンドレアス・ロクサーヌは罪深いまでのハンサムで、危険な男・・・。

 そう言ったのは誰だっただろう?

 彼が笑った途端、涼しげな目元は柔らかく優しいものとなり、凛々しい眉は緩やかな線を描き、澄み切った青空のような瞳は光り輝いたのだ。

 彼の笑顔は妹が言ったようにまさしくとろけるように甘かった。

 危険な男だなんて、とんでもない!

 キスをするためにあると評される唇はふくよかながらも男らしい。

 ずいぶん鍛えているのだろうと想像するに容易い、引き締まった逞しい体つき。

 そして、何より途方もなく長い足の持ち主だと言うことを忘れてはいけない。

 彼の何もかもが完璧だ。

 平凡な茶色の髪でさえ、彼の美しさを際立たせるためには欠かせない要素となっている。


 ロクサーヌ様はともかく目立つ人だった。

 希代の放蕩者だなんて、不名誉とも言える呼び名を付けられるくらい、悪い噂もある方だったけれど、私は信じなかった。

 例えば、無断外泊を繰り返し、遊び呆けていると聞くけれど、彼はとても優秀で、前期試験では魔法だけでなく、学力も2位に圧倒的な大差をつけての1位だったくらいだ。そんな彼が遊び呆けているとは思えない。もし、そんなことをしていたら、勉強する暇なんかないはずだ。

 愛人がいて、更に何人もの女性を口説いているとも聞くが、それは、フェリシア殿下との親密な関係を知られないようにするためだとも言われている。

 ロクサーヌ様とデヴァレル殿下の仲は最悪で目を合わせることすらないらしい。

 そんなデヴァレル殿下の妹君と思い合っていたら、隠さないといけないと思うのは当然のことだ。


 もちろん、ロクサーヌ様とフェリシア殿下が思い合っていると言うのもやっぱり噂でしかない。

 でも、ロクサーヌ様があのとろけるように甘い笑顔を見せるのはフェリシア殿下の前だけなのだ。

 フェリシア殿下は分からないが、ロクサーヌ様がフェリシア殿下を思っていることは間違いないはず・・・。

 そう思うと辛いけれど、遠い世界の人を好きになった私が悪いのだ。


 私は自分の思いが叶うことはないことは分かっていたから、遠くから、ロクサーヌ様の姿を見ているだけで幸せだった。


 王子様のような殿方が現れると信じて疑わない姉たちを笑ったこともあったけれど、私だって、本当はそんな人がいたらいいのに。と、思っていた。願っていた。

 そして、ロクサーヌ様は私が夢に描いた王子様そのものだった。


 だが・・・。


 アンドレアス・ロクサーヌは王子様ではなく、悪魔のような男だったと気付く日がそこまで来ていた・・・。



「じゃあ、グラント君に伝えておいてね」

「・・・はい」

 ある日のこと、担任の先生にアンバー公爵家のマシュー・グラント様へ伝言を頼まれた。

 私はグラント様と同じクラスなので、快く引き受けたものの、伝言はひとつどころか5つもあった!なら、紙に書いて下さいよ!

 私は忘れないうちにグラント様を探すことにした。

 まず教室に戻ってみたが、グラント様はいなかった。今はお茶の時間なので、それは予想出来ていた。

 グラント様は水色の珍しい髪色をしているので目立つから、たくさんの人の中にいてもすぐに見付かるだろう。

 と、思いながら階段を降りたところでこちらに背を向けて立っているグラント様を見付けた。

「あ、グラント様。お会い出来て良かったです」

 と、私は言いながら、グラント様の背後に立った。

 グラント様が振り返って、

「ああ。ヒルグレーヴさん。どうしました?」

 グラント様はいつものようににこやかな表情を浮かべている。

 ・・・それにしても、グラント様は見る度、見る度、同じ表情をしているような気がするのだけど、気のせいかしら?

 そんなことをつい考えてしまった次の瞬間、グラント様の隣に・・・

 

 えっ!?


 この時、悲鳴を上げなかった自分を褒めてあげたい!!


 グラント様の隣に立ったのはアンドレアス・ロクサーヌ様だったのだ!


 や、やだ!どうしよう!かっこいい!

 いつも紺色の制服なのに、今日は白だわ!きゃあっ!何て麗しいのかしらっ!

 ・・・じゃなくて!私ったら、お二人の邪魔をしてしまったわー!!


 私は激しく動揺しながらも、ともかく謝ることにした。

「お話し中、失礼致しました。申し訳ございません」

 やったわ!私、冷静!声、震えてない!私ったら、凄いじゃないの!


 すると、アンドレアス様は爽やかな笑みを浮かべて、

「いえ。大したことは話していませんから、気にしないで下さい」

 きゃあああーっ!至近距離でロクサーヌ様の笑顔を見てしまったわー!何て素敵な笑顔なのかしらー!

 また失神しちゃうわーっ!大変ーっ!!


 ・・・?・・・あら?失神しないわね?


 もちろん、失神しない方が良かったのだけど・・・おかしいわね。



 無事、グラント様に先生からの伝言を伝えた後、グラント様は私をロクサーヌ様に紹介してくれた。グラント様は神様だわ・・・。

 多分、顔が赤くなっていたと思うけど、それは仕方ないわよね。恋していなくったって、素晴らしくハンサムな方を前にしたら、出て来て当然の反応よ。


 遠い世界の方だと思っていたロクサーヌ様に私の名前を知ってもらえるだなんて、夢のよう。多分、すぐに忘れ去られるだろうけど、それでもいいわ!


 と、思いきや・・・。


「こんにちは」

 ロクサーヌ様は爽やかな笑みを浮かべながら挨拶してくれた。

 あれから、ロクサーヌ様は出会う度に挨拶してくれるようになった。夢みたい・・・。

 私も何とか笑みを浮かべながら、挨拶を返した。

 それにしても、いつお会いしても素敵ね・・・。

 私がロクサーヌ様の笑顔を思い出しながら教室に戻っていると、

「マリ」

 エレンが追い掛けて来た。

「あ、エレン」

「・・・」

 ・・・?エレンがいつにもまして、小難しい顔をして、私を見つめている。

「な、なあに?私の顔に何かついてる?」

「さっき、見たのだけど、アンドレアス・ロクサーヌと話していなかった?」

「えっ」

「違うのならいいのよ。遠目だったから、私の思い違いよね」

 エレンは安堵したように言った。

 私はその言い方が気に入らず、顎をツンと上げて、

「話ではないけど、挨拶はしたわよ?いけない?」

 エレンは目を丸くさせて、

「親しいの?」

 私は赤くなると、

「し、親しいだなんて、とんでもないわよ!雲の上にいる方だもの!」

 エレンは眉を寄せて、

「何を馬鹿なことを言っているの?雲の上なんかに人がいるわけがないでしょう」


 それくらい、分かってるわよ!



「アンドレアス・ロクサーヌだけはやめておきなさい」

 夕食後、私はエレンの部屋にお邪魔していた。

 私はロクサーヌ様に憧れているとエレンに打ち明けた。本当は憧れではなく、恋をしてしまっているのだけど、何となく言えなかった。

「悪い噂があるから?でも、噂でしょう?噂を鵜呑みにするなんて、エレンらしくないわ」

「確かに、私はアンドレアス・ロクサーヌの悪行をこの目で見たわけではないわ。でも、火のないところに煙は立たないと言うでしょう。彼は絶対に聖人なんかではないわ。それどころか悪魔のような男じゃないかしら?」

「そんな・・・悪魔だなんて・・・」

「最近、医務室に怪我をした男子生徒が多数押し寄せているらしいけど、それら全てがアンドレアス・ロクサーヌの仕業だと聞くし、語学のディクソン先生が退職されたでしょう?それだって、アンドレアス・ロクサーヌと関係を持ったからだと言われているわ」

 私はぽかんとして、

「関係って?どんな?」

 エレンは赤くなると、

「そんなことをいちいち聞かないでちょうだい!」

 そんなエレンを見て、だいたいの意味が分かった私も赤くなると、

「ほ、本当なの?だって、先生と生徒じゃないの」

「これは信憑性が高いわよ。校舎内で二人きりでいるところを見た人がいるらしいもの。距離もまるで恋人同士のようにとても近かったそうよ」

 私はショックを受けつつも、

「授業のことで質問していたとか・・・」

 エレンは鼻を鳴らして、

「既に10ヶ国以上の国の言葉を習得しているアンドレアス・ロクサーヌが語学を選択するわけがないでしょう?それに大して上手いわけでもないディクソン先生に何を質問すると言うの?」

「そう言えば、そうね・・・。ディクソン先生って、あれで良く採用されたわよね・・・。私、正直、ディクソン先生のこと、あまり好きではなかったわ。男子生徒にべたべたしてたじゃない?女子生徒には寄り付きもしないくらいだったのに。私、質問したのに、無視されたことがあったもの」

 エレンは頷くと、

「美人の生徒には特に冷たかったらしいわね」

「まあ。やっぱり」

 エレンは何とも言えない表情を浮かべて、

「・・・美人は否定しないのね」

 私はにっこり笑って、

「私、毎日、ちゃんと鏡を見ているし、視力も美的感覚もまともよ。なのに、美人なんかじゃないわ。なんて言ったら、返って、嫌味じゃない?」

「確かにそうね」

 エレン苦笑いしつつも、「私、貴女のそういうところが好きよ」

「まあ。ありがとう」

「どういたしまして」

 それから、私とエレンは声を上げて、笑ったのだった。

 

「・・・戻るけど、ディクソン先生もいい噂がない方だったわよね。学園長の愛人だとか、他の先生や生徒を誘惑していたとか、良からぬ関係になった途端、それをネタに生徒を脅して、お金を巻き上げていたとか、寄付金を着服していたとか・・・」

「は・・・?」

 私はまたぽかんとして、「それって、現実の話?エレンが好きな恋愛小説の話じゃなくて?」

 エレンは顔を真っ赤にして、

「違うわよ!それに私はそんなふしだらな女性が登場する小説なんか読まないわ!絶対にっ!」

 と、まくし立てるように言った。

 

 ・・・エレンは他の人に隠しているが、恋愛小説が大好きだ。何故、隠すのかは分からない。

 ただ、恋愛小説なら何でもいいわけではない。主人公、相手役共に一途でなくてはならないのだ。だから、相手役に愛人がいたと分かった時点でその小説を読むのを止めてしまうこともある。過去のことであっても許せないらしい。

 エレンは王族と魔女の両方の血を受け継ぐマーベリック侯爵家の令嬢として生まれたばかりに優れた血筋目当ての殿方にしつこく結婚を迫られたことが何度もあったようだ。だから、殿方自体、うんざりだと言っている。つまり、男嫌いだ。

 おまけにお父様は娘しか出来なかったことを理由にして、外に何人も愛人を囲い、散々、お母様を苦しめたそうだ。・・・それも男嫌いに拍車を掛けた原因だろう。

 だが、エレンは多分、純愛に憧れているのではないだろうか?血筋ではなく、自分自身をきちんと見てくれる人に愛されたいと思っているのではないだろうか?でなければ、恋愛小説なんか読むわけがないと思う。

 いつかエレンにも素敵な出会いがあればいいのだけれど・・・。


「ともかく、アンドレアス・ロクサーヌには関わらない方がいいわよ。貴女の評判まで悪くなってしまうわ」

 エレンは私をじっと見据えながら言った。

 些細なごまかしも見逃さないし、許さないわよ。・・・そんな空気を痛いくらいに感じる。

 ああ!こういう時のエレンは苦手だわ!我が家の家庭教師みたいなんだもの!

 私はびくびくしながらも、

「か、関わるも何も・・・ロクサーヌ様はフェリシア殿下と思い合っているって、噂があるでしょう?わ、私はそんなお二人に憧れているだけなのよ。関わるなんてとんでもない」

 エレンは肩をすくめて、

「私はフェリシア殿下にはもっとお似合いの方がいると思うけど?」

「え?誰?」

「誰って・・・聞かなくても、すぐに分かりそうなものじゃない?」

「???」

 私がきょとんとしていると、エレンは溜め息をついて、

「もういいわ。忘れて」

「はあ」

 エレンは腕を組むと、

「マリ。この際だから言っておきますけど、貴女はね、自分は冷静な人間だと思っているのかもしれないけれど、私からすれば全く違いますからね」

「な、何ですって?」

「貴女は思い込みが激しくて、自分に都合のいいように物事を解釈してしまうことが多々あるわ。夢見がちでもあるわね。頭はいいけれど、注意力は低いし、警戒心はまるでなし。貴女はお姉様や妹さんたちをおかしい、変わっていると言うけれど、貴女も十分変わっているわ。その自他共に認める美しさで周りの皆の目はごまかされているけど、私の目はごまかされないわよ。私が言ったこと、全て自覚しなさいね。自覚しないとそのうち、アンドレアス・ロクサーヌのようにろくでもない男に騙されて、酷い目に遭うわよ」


 な、何ですってー!?


 その後、エレンと激しい言い争いになった。


 激怒した私は『アンドレアス・ロクサーヌ様の悪い噂は全て間違いだと私が証明してみせるわ!』と、宣言していた。

 ・・・何故こんなことを言ったのか、さっぱり分からない。


 すると、エレンが鼻で笑ったから、私は言葉にならない金切り声を上げてから、

『今に見てなさいよ!後悔させてやるからね!』

 と、言い捨てると、エレンの部屋を後にした。

 ・・・後悔することになるのは自分だと言うのに。



 私は初めての恋に夢中になっていて、冷静ではなかったのだ。


 エレン。ごめんなさい。


 私が全て間違っていたわ。


 魔法で時を戻せたらいいのに。


 もし、戻せるのなら、この時の自分を殴ってやりたいわ!



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