第七話 ヤクザになんてなりませんよ?
どうも、平穏大好き初瀬 美香です。
今はヤクザさんに連行されてます。
だからといって強引には扱われてないので今のところはいいですが。
そのヤクザさんに連れられ嵩月組の本部前に立っている状況…。
予想道理というか、超巨大な和風建築の家だ。
正直、帰りたい。
俺の住んでる町からちょっと離れた所に裏社会の町は存在する。
そこでは行き過ぎた風俗や麻薬、金貸し等が平然とあると聞く。
その危険な町の頂点に立つのが嵩月組である。
統率の取れた暴力だけではなく、その社会でのシステムで平然と経営できる経済力も兼ね備えている。
「さあ、入ろうか」
拓斗に促され、入っていく。
内装は結構古く、初めて来たのに何故か懐かしさを感じさせる。
現実逃避をしているとすぐ着いてしまった。
拓斗がガラッと襖を開けると……黒服たちが正座をして並んでいるではないか。
黒服たちは一斉に俺に視線を向ける。
やめてください、そういうの怖いんです。
「お前さんは部下たちの前に座ってくれ」
「それは遠慮したいですねー」
平然と言ってるが冗談じゃない!
「これは部下たちにお前さんを覚えて貰うためでもある、我慢してくれ」
えー、覚えて欲しくないです。
これ以上嫌がっても怒鳴られでもしたら怖いので黒服達のの前に座る。
拓斗が前方の組長が座りそうな座布団に座ると、黒服たちが完全に静になる。
「おいお前ら、前に座っている嬢ちゃんがこの前のやらかした女だ。名前は初瀬 美香、しっかり覚えておけ」
「「「「「「「「ハッ……」」」」」」」
これを見ると改めてヤクザの本部に来ていることを実感するねー。(泣)
黒服達が…
あれがあの事件の…とか、一見強そうに見えない…とか言ってる。
そりゃそうだ、実戦経験なんて無いし。
その様子を後ろに感じていると
「美香さん、お前さんを俺の組に入れたい。入ってくれないか」
ええ!?
いきなり言われても困る。
「そんな…いきなり言われても困ります」
拓斗はため息をつきながら言う。
「俺はお前さんを手の内で監視したい、俺達はそれくらい今切迫している」
「監視!?何のためですか?」
「いいか、よく聞けよ?」
簡単にまとめるとこうらしい。
・嵩月組は現在、頭首の息子である拓斗ともう一人の候補とで争っているらしい。
・相手の組は最近人智を超えた存在を入れた。
・この間の私の噂は、私を勧誘したという情報と間違われたらしく相手が警戒しているという。
なんて迷惑な話だ!?
しかし、悪い話でもない。
でも、入りたくないし…うーん。
「とりあえず、俺の電話番号を受け取っておけ。この嵩月組は喧嘩に関しては正々堂々がモットーだ、闇討ちされる事はないだろうが嫌がらせくらいは受けるかもしれん」
「入らなくていいんですか?」
「お前さんの顔を見たら入りたくないのがよくわかった。まあ、入ってくれた方が好都合だが…」
「姐さん…俺達は入るのを歓迎しやすぜ?」
黒服(中ボス)の一人がそういった。
姐さん程の美人なら歓迎だ!
他の黒服達も言い出す。
姐さんって言うな!
「今は遠慮しておきます。酷かったら連絡しますので」
「そうか…、今日は付き合わせて悪かったな。部下に送らせよう」
「ありがとうございます」
一応笑顔でお礼を言ってみた。
なんで拓斗は顔が赤いんだろう?
他の黒服達は拓斗にやじを飛ばしてるし。
だんだん、普通から遠のいていくなー…
そう思いつつ俺は帰宅した。
今回は少し短めです。
バトル展開が見えてきた…気がします。