第六十三話 エリ主催、魔物化パーティ
地上に降りたエリは地面を滑るように駆けて、目の前に居た女戦士の首を撥ねた。
先程までの話し合いは何だったのかと思わせる迷いの無さに周りの女戦士達は戸惑いを隠せない。
「私騎士は嫌いなの…、だから騎士さん達は必死に戦わないとすぐに死んじゃうよ?」
にっこりと笑っているが、その目は笑っていない……。
「クククッ、戦士を全部殺しちゃったらバランスが悪くなるじゃない」
シャーリーがエリを抱擁するように抱きしめ、攻撃を止めさせる。これを機と思い突っ込んでくる戦士が居たが奇妙なオーラに阻まれてしまう。
「えー、捕まえるだけじゃ面白くないよ」
「そう? ならエリは剣で斬ってみて生きてたら堕としましょう?」
「そうね、じゃあ、思いっきり斬ってくる♪」
その言葉から惨劇が始まった。
エリは先程の話し合いの通り、剣だけを使って戦い女戦士達を次々と斬り伏せていった。途中、エリを恐れて逃げようとした女騎士が居たが、エリはそれを見つけると真っ先に首を撥ねた。
女性の数もあと30人となったところで、エリの剣を受け止めてしまった女聖騎士が現れてしまった。女聖騎士は結界のようなものでエリの剣を受けたのだ。
エリはどんな顔なのか気になりちらりと見上げると、ショートカットの幼げな女の子が居たのだ。
「へぇ…あなたは私と同じタイプなのね…」
「くっ…堕ちたヴァルキリーごときが私と同じ? 笑わせる!!」
「小さいのに喋り方、背伸びしてるのね?」
そう言って女聖騎士の結界を叩き斬る。驚きが隠せない聖騎士の眼前にエリが迫った。
振り払おうと剣を振るうも、余裕でいなされる。
焦りがどんどん表に出て、振り方も荒くなっていく中で息切れ一つせずにエリは彼女を見つめる。
一旦仕切りなおそうと大きくバックステップをした時だった。
エリの瞳が赤く輝いたかと思うと下から現れた無数の黒い手が手足を掴み、地面に貼り付けにしたのだった。
「あはは♪ おバカさんね。詠唱してたのに気づかなかったの?」
「卑怯だぞ!」
「卑怯? 闇の弱点の聖属性を使っていながらよく言えるものね?」
エリは急にそっぽを向いてほかの女戦士に走っていった。
聖騎士はただ泣くしか出来なかった。
エリが戻るとシャーリーは残りの29人を聖騎士と同じく地面に磔にしていた。
「クククッ、随分と時間が掛かったわね? 楽しめた?」
「ううん、簡単に罠にはまってくれたし面白くなかったわ」
「あら? そうなのね…。残念…」
「シャーリー、そろそろ堕とそう」
「はいはい、これを使ってきなさい」
シャーリーが懐から出したのは、スイカの種のような粒だった。
エリはそれを受け取ると、磔にされている女性の一人の口に突っ込んだ。女性は抵抗しようとしたが、力が強すぎて結局種を体に受け入れることしかできなかった。
その瞬間女性に変化が起きる。
「あっ、あ”ぐぅ…」
体がメキメキと音を立てながら何かが生えてくる。
それは8本生えて足になった。
変化が終わると、下半身が蜘蛛の魔物と化していた。
「クククッ…あはははっ、メフィストが作った魔物化薬はよく効くわねぇ。あっという間に眷属の完成よ」
かつて人間だった魔物は理性は消え、唸るばかりだったが、シャーリーを見ると恭しく頭を垂れた。
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ありえない……。
シャーリーが魔物化を見届けている瞬間も聖騎士はいまだに泣きながら傍観することしか出来なかった。
いつものように魔王を倒して、帰る……ただそれだけの予定だった。
しかし、現実は非常で30人を残して仲間の戦士たちは死亡、残る29名は異形の魔物と化してしまった。
目を背けたかったが、かつての仲間を記憶の果てに追いやる事などできなかった。
「あなたで最後ね…」
耳元で艶やかで狂気を孕んだ声が聞こえた。
「ぁぁっ、ぃゃ……」
最初の威勢など忘れてしまった。
「あはは♪ 怯えることはないのよ? あなたはね今から偉大な方にお仕え出来るのだから♪」
聖騎士はただ黙って肯定する事しか出来なかった。
そして口にあの種が入れられた。
するりと喉を通った。
「おめでとう、私達魔族はあなたを歓迎するわ」
予想と異なり、暖かな感覚に見舞われ、眠気が襲ってきた。
意識を手放した体には緑色の光と自身から生えてきた蔦が巻き付いていった。
最後まで書いて見せると宣言しましたが…現実に負けてました。
仕事とかで忙しくなると本当に時間が無くなる者ですね。
今後、無理をしない程度に自由に投稿しよう! そう思いました。




