第十三話 第2回魔物戦!
「実はここの海には人魚伝説があるらしいの…」
「どこでも聞きそうな情報じゃない?」
姉さんが少し心配そう。
まあ、人魚伝説なんてあちこちにあるからねぇ…。
「ここのはそうでもないから言ってるの。しかも、最近の情報だったの!」
天音が熱心に語る。
まあ、天音がそう語るんだし、信じてあげてもいいよね?
最近の情報っていうのも信じるには十分だし。
私としても魔物と仲良くしたい。
「人魚は人魚でもここのは人喰いらしいの」
「………」
「………」
………あれぇ、凄く危険な予感がしてきた。(汗)
流石に姉さんは……うん、さっきと違って凄く楽しそう。
ま、まだ本当の情報か分からないし…
「えっと、最近の情報って言うと、行方不明者でも出たってこと?」
「うん、そうだよ姉様。これがその行方不明者」
そこに写っていたのは3日前に行方不明になった人の情報。
20歳代の男性。行方不明当日に一緒に行動してた人は意味不明な事を言っていた。
う~ん、多分意味不明のところが人魚の話かな?
とりあえず、姉さんの反応に任せましょうか。
「今夜行くわよ!」
決断速っ!?
少しは悩んでよ!?
ヤクザの時より危険になるっていうのに…。
「だって美香がどうにかするでしょ?」
「よく信用出来るね…姉さんのその自信欲しいわ」
「私を倒した姉様なら楽勝だよ!……きっと」
”きっと”って何!?
凄く心配になるよ…。
はあっ…こうなったら行くしかないよね(泣)
姉さんに説得されたくないし。
「はぁ…深夜に海に行こうか」
「流石、美香はわかってるわ♪」
「姉様、格好いいところ見せてください♪」
そう激励しつつ、二人は腕に抱きついてきた。
ふんっ、そうやっても楽になんてならないんだから!
嬉しいけどねっ!!
その後、天音を含め沖縄を堪能しました。
一緒にお風呂に入った時は何か覚醒するかと思ったよ…。
見せないよ?
そして深夜
私達は特に準備すること無く、海岸へ。
天音の情報にあった岩場へ行ってみる。
「ホントに要るのかなぁ?」
「美香、ここまで信憑性あるのだから期待してなさい!」
………期待したくないんですけど。
いざとなったら天音にも手伝ってもらうかな?
近くの物陰に隠れること30分…。
水面から美女が登場。
人魚?は岩場に手を掛けると、月を眺めつつ歌を口ずさみ始める。
~♪
綺麗な声でした。
ずっと聴いていたいけど、目的を忘れてはいけないので天音と姉さんを置いて近づく。
人魚?さんは私の足音に気づくと妖艶なほほ笑みを浮かべて顔を見てくる。
「こんばんは、綺麗な歌声ですね」
「ふふふっ、ありがと。これでも幾人もの男性を魅了してるのよ?」
何か大人な雰囲気を感じさせる人魚?さんでした。
髪は薄紫のストレートロング。肌は人に近い健康そうな色。
スタイルもとてもよくて特に胸とか、胸とか…。
「あらあら、警戒しているのかしら?」
ニコニコとしながら獰猛な赤い瞳をこちらに向けてくる。
それはそうですよ、人喰いって聞いてるもん。
「あなたみたいな人に会うのは初めてで…」
「そうなの?」
「ええ」
「まあまあ、それは可哀想。私が緊張をほぐしてさしあげてよ?」
そう言って私に手招きをする。
いかにもな罠だよね?
でも、近寄らないといけないよね。
私は仕方なく寄って行く。
「そうそう、その調子ですわ♪」
人形?さんの口がニタリと笑って非常に怖い。
分かってても、私は近寄る。
水位が膝くらいになってきた。
…………
………
……
…
そして2mまで近寄ってきたところで。
「ここまで寄ってくるなんて、お馬鹿さんね」
ここまで予想道理で私もビックリ。
魔力を使い後ろに飛び退く。
水面から獰猛な犬が数匹飛び出してきた。
なんとか避けれたけど、当たってたら引きちぎられてたよね?
人魚?さんの腰のあたりから犬が6匹生えている。
「美香ーっ、それスキュラよ!!」
「え、なにそれ!?」
スキュラ
上半身は美しい女性だが、下半身は魚になっている。そして人間部分と魚部分の間には6匹の獰猛な犬の上半身が生えている。この犬は口が裂け、歯がサメのように三重に並んでいるという。
元々シチリア海峡の岩場に居ると聞いていたが…
以上姉さんの解説でした。
へぇ…そういうのも居るんだねー。
ちなみに天音はビックリして姉さんにしがみついている。
ああ、姉さん幸せそう…。
「私から逃げるなんて中々ですねぇ…、ホントに人間?」
「さあ、食べてから判断したらどう?」
「その物言い、まさか私に勝つ気じゃないでしょうね?」
今まで人間しか相手をしていなかったのだろうか、私を馬鹿にする。
普通はイラつくところだけど、私にさっきある願望が生まれたの。
「いいえ、勝つ気ですよ?」
「私に何かしたいの?」
「勝って従えてからにしますよ…っと!」
私は地面を蹴り、スキュラとの距離を一気に縮める……そしてギリギリでジャンプ!
襲い掛かってくる犬達をギリギリで躱し、すり抜けざまに蹴りを後頭部に当てる。
転ばせる事に成功するが、海水のせいでダメージが少ない。
「まあまあ、随分お強いこと…結構痛かったわ」
スキュラの犬達がより獰猛になった気がした。
「今度は私から行かせて貰いますわね」
私の前に高速で接近したかと思えば犬達をまるで手のように扱って襲ってくる。
必死に避けるがギリギリで辛い。
しかし、頑張り虚しく服の袖を一匹に噛まれる。
「なっ!?」
「ふふふっ、捕まえたぁ♪」
そして一気に水中に
「美香!?」
「姉様!?」
天音、姉さんの声が届く頃には私は水中に。
流石に本気出さずに戦うのには無理があったよね。
…息が出来ないのが辛い。
「水中じゃあ、何もできませんよねぇ?」
スキュラは器用に話しかける。
私は何も出来ずに近寄られ、首筋を舐められる。
息が少し漏れる。
美女に舐められるのは願ったりの事だけど、ここだとシャレにならない!!
「それじゃあ、いただきましょうか♪」
頭の中でカチリと音がする。
私の体から魔力を爆散させ、海水を巻き上げる。
突然空中に放り出されたスキュラは呆然としていた。
魔物になった私の羽をはばたかせて空中に居るスキュラに接近し、腹部を蹴りあげた。
犬共々意識を飛ばした彼女をを抱きとめ、水面に着地する。
………死ぬかと思った。




