第十一話 夏はまだ、これからだ!!
初瀬 美香です。ついこの間、嵩月組へ入りました。
まあ、入るって言っても私の存在が嵩月組によって管理されるだけ。
……え?しゃべり方?一人称?
何のことですか、私は知りませんよ?
生理も落ち着いてきたし、良かったよー。
そういえば、色々あったのに一週間と少ししか経ってないのです。
ということでまだ夏真っ盛り。
バイトまでの道のりが憂鬱で仕方ありません…。
そんなある日、私のバイト先でとある通達が
店舗改装につき一時休業
他のバイトの人はいろいろ予定を入れているようで忙しそうだ。
私は何も無いけど。
明日からかぁ、いつものように魔力の修行かなー。
そう考えるうちにバイトが終わる。
いつものように帰る準備をして外へ出ると、姉さんが仁王立ちして待ち構えていた。
「その様子だと、休みは暇みたいね!」
そう断言されるとむかつく!……暇だけど!!
「訓練でも追加するの?」
「いいえ、今の状態でもちゃんと女性出来てるから大丈夫!」
うわぁ、凄く複雑。
これからずっと女性なのだから慣れるべきとは思うけどっ…(泣)
姉さんは鞄からパンフレットを取り出す。
青い空、白い雲、どこまでも続く地平線…。
そのキャッチフレーズの写真…まあ、海ですね。
「今から海に行くわよ!」
「え、今!?ちょ…腕引っ張らないでよー」
「時間は待ってはくれないわ、美香の準備も済ませてるし駅に向かうだけよー」
いつのまに!?
ああ、せめて心の準備をさせてー。
そうして私は姉さんに連れられて電車に乗り、飛行場へ。
「姉さん、行き先は何処なの?」
嫌な予感がするので行き先を聞いてみる。
「今回は沖縄にしたわ、美香の水着姿が映えると思って」
最後は余計だよー…。
とりあえず、嵩月組に報告しておこうかな。
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ここは嵩月組頭首の部屋。ようするに拓斗の部屋。
就任してから日が短いのでこざっぱりしている。
その部屋にいるのは拓斗のみ。
部屋はしんと静まり返っている。
とある女性の写真を見て憂いの表情を浮かべている。もちろん写真の人は美香。
拓斗はあの騒動依頼、美香が好きになった。
そして現在どうやって振り向かせようか考え中…。
しかし、携帯の音が思考を遮る。
拓斗は携帯を取り応える。
「俺だ」
「あ、拓斗?美香だけど」
拓斗の顔が晴れやかになる。
「お前さんから掛けるなんて珍しいな」
「うん、実は今から5日ほど旅行に出かけるからその旨を伝えにね」
「ほぅ、何処なんだ?」
「沖縄だよ、お土産期待してねー」
「そうか、楽しめよ。くれぐれも厄介事には手を出すなとも言っておく」
「はーい」
電話が切れる。
再び部屋が静になる。
拓斗の顔は少し寂しそうだった。
「護衛でも送るか…」
護衛を送ろうと、電話に手を出した瞬間手を止める。
拓斗は気づいていた。さっき外へ飛び出していったネコ耳付きの影を。
方針決めに迷ってしましました。
沖縄編始まります。




