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No.21:執筆活動五年目に突入してシンプルな答えに辿り着く

 私が小説を書き始めたきっかけは不純なものだったのかもしれない。


 話は五年前に遡る。


 五年前の私は休職と復職を繰り返していて、会社都合による退職の瀬戸際という状況にあった。


 当時の上司は人情味のある優しい方で、半病人のような私にも優しく接してくれた。


 ある日上司は私にポツリと憂い事を話した。


「うちの会社では五十五歳になると嘱託職員になるんだ……」


 その時、私はこう思った。


「役職って何なんだろう?」


「肩書きって何なんだろう?」


 私のこれまでの休職歴を考えると主任という役職に付く事すら不可能だとわかっていた。


「課長は試験を受けて手にした役職を返上しなくちゃいけないんだ」


「会社の役職なんて会社から一歩外に出たら何の意味もないじゃないか」


「会社の外でも通用するような肩書きが欲しい」


 そんな思いが頭をよぎった。


 秋頃に私は妻と一泊二日の温泉旅行に出かけた。


 私には漫画家を志す友人がいた。


 友人は、若い頃コンテストに応募すれば準優勝や佳作に選ばれるほどの筆力、ストーリーテリング力は持ちあわせており、将来を有望視されていた。


 そんな彼も結婚し、子供を授かった。


 海岸線にある食堂に入った時、ふと彼の事が頭をよぎった。


 私の頭の中に彼が過去に描いた作品を電子書籍化してみてはどうかという提案が浮かび、早速携帯電話で彼にメールを送った。


 すると、彼の返信は以下のようなものだった。


「来人、お前はエスパーか? 最近になってまた漫画を描き始めたところだ」


 彼は妻子を養なわなければならない状況にあっても漫画家になる志を諦めていなかった。


「それじゃ過去の作品を電子書籍化してみなよ」


「いや、過去の作品は今では通用しない。新しい作品で勝負する。結果が出るまでカミさんには内緒だ」


 友人は私が思うにベビーフェイスなのだが男前な男なのだ。


 友人の返信メールを読んで私も何か形にできるものを作れないかと考えた。


 漫画家には子供の頃憧れた。しかし、画力も無いし今の私が追い求めるものではない。


 映画監督にも憧れた。しかし、映画を作るのは漫画を描くよりも大変かもしれない。


 私の頭の中のストーリーを形にできるものは無いのか?


「あ、そうだ。小説なら形にできるかもしれない!」


「小説家なら会社の外でも通用する肩書きじゃん!」


 これが私の導き出した答だった。


 私が小説を書き始めたのはこんな旅先での思いつきだ。


 私のプロフィールには以下のような文章を書いている。


「小説を書く真似事」は、いつしか「小説家になりたい! いや、なる!」へ……。


 最近になってこの思いは変わった。


 今は、


「小説を読みたい! 小説を書きたい!」


 というとてもシンプルな思いに行き着いた。


 私が小説を書いている事に対して妻も両親も認めてくれているし、親友も友人も良い意味でも悪い意味でも楽しんでくれている。


 日々の生活の細々した事、これまでの経験、観た映画、読んだ本が、小説の糧になる。


 プロの小説家になりたいという思いは今はどうだっていい。


 私は一生モノの「ヤリタイコト」を見つけてやっている。


「アマチュア小説家」でも「なんちゃって小説家」でもかまわない。


 小説を読んだり書いたりする事が今の私にとってはとても楽しい事なのだ。




 今回はこのへんで。


 それではまた。

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