相談
一日は何事もなく過ぎていく。
私に休み時間などない。予習と復習に追われる。
「優ー、これわかんなーい。」
私には希少な友人―南皐―がいつものごとく聞いてきた。
分かりやすく教えてやると彼女はいつものように笑顔になり、去っていった。
この笑顔に周りの男子がうっとりしていることを彼女は知らない…。
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放課後、私は皐に帰り誘われた。
「急にごめんね?」
「大丈夫。で、どうした?」
「…あのさ、優好きな人とかいる?」
お前もその話か。
「…急にどうしたんだ?」
「うん…。あの…ね、私昨日堤くんに告られたの。」
堤とは堤祥平というウチのクラスメイトであり、ムードメーカー的存在である人物。頭はそこそこだが、運動神経が抜群である。
「へぇ。」
それで私になにを求めている…。
「答え迷ってて…。相談と言ったら優かな…って。」
そういうの疎いのにね…。自分で決めろって。
「うーん、付き合ってみれば?」
「え?」
「迷ってるってことは付き合っても良いんでしょ?なら付き合ってあげればいいじゃん。」
「…。」
「じゃあね。」
いつもの分かれ道で分かれる。しばらく彼女の視線は私の背中に注がれていた。