変わらない生活
高校に入って早9ヶ月…。
女子高生だ、と一瞬浮かれていたが、進学校ということもあってか結局勉強に追われる日々となっていた。
地味で暗い私はクラスメイトとあまり打ち解けられず、即孤立し、『まじめちゃん』へと戻ったのだった。
新学期もいつものように早く学校へ行き、予習を進める。
この時間は誰もいなく、とても集中できるんだよね。
ガラガラ
時計を確認する。―7時だよな…。人が来るには早すぎる。
「あ、紗蔵さん、お早う。」
入ってきたのを無視し続けてた私は驚いた。
この私―紗蔵優―には一部の人間以外は話しかけてこないはずなのだ。
振り向くと桜庭祐希がいた。
彼は勉強も運動も出来るというスペシャル人間で、しかもイケメンということもあり男子から信頼され、女子からの人気も高い。
だが、ワタシニソンナコトハカンケイナイ。
「お早う。」
私は多少笑顔を作って素っ気なく言うと予習に戻った。
「いつもこんな早いの?」
「まあ。」
顔も上げず答える。
「今日部活ないの忘れてて早く来ちゃったんだよね。」
返す言葉が見つからないので少し考えたあとスルーする。
私は会話が苦手だし、面倒だから無駄にしゃべったりしない。
「ちょっと聞いても良い?」
「へ?」
彼は成績トップ、私に聞くことなんてないはず。
「あのさ、好きな人とかいるの?」
「は?」
私は16年生きてきて好きな人なんて考えたことがなかった。
もちろん友達なんて全然いないから、そんな話が出てくることはない。
「恋愛とか興味ない。」
「へぇ。かわいいのに勿体ないな。」
そう言ってようやく自分の席に座った。
少し引っ掛かるところがあったが、私は気にせず予習を続けた。