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051 公衆浴場

 ……?

 朝、ですか?

 人の気配がします。その気配を確認するため、そっと目を開きます。

「っっっ!」

 驚きです。吃驚です。

 なにがって、起きたら目の前に人の顔があったんですよ!?

 しかも、本当に目の前、息がかかるくらいの位置に!

「ま、マリーさん!?何してるんですか!!?」

 そう、わたしの顔を覗き込んでいたのはマリーさんでした。

 わたしは身体をずらして、何とか起き上がります。

「い、いや、私は何もしていないぞ!サクラを起こしに来たんだ。そしたら、その、寝顔が…」

 何を言っているのか、途中から声が小さくて聞き取れませんでしたが…。

「起こしに来たのはわかりましたけども…。ですが、どうして顔があんなに近かったんですか?」

 わたしの質問に、なぜかマリーさんは顔を真っ赤にしています。

「ど、ど、どうして?それは、そうだ!なかなか起きないからつい力が入って、そのせいでいつの間にか近くなっていたんだ!そうに違いない!決して、く、口付けをしようなどとは思ってはいないぞ!?」

 は?口付け?何を言っているんですか?確かに、一つ間違えば口付けでもしそうな距離でしたが・・・。

「はい?よくわかりませんが…。とりあえず、起こしに来てくれたんですよね?わざわざ、ありがとうございます」

「い、いや、気にするな。・・・どちらかと言えば、私のほうが礼を言いたい(ボソ)」

 うーん?何か、変ですね?何が変なのかはわかりませんが…。

「ちょっと~、起こすのにいつまでかかってんの?早くご飯食べて出発しようよ!」

 どうやらわたし達が遅いので、メリアナさんが怒っているようです。

 これ以上待たせない様に手早く準備して、みんなのところへ向かいました。




 道中特に何もなく、フルドの街が見えてきました。

 今は多分、午後3時頃。思っていたよりも早くつきました。

 フルドの街は王都よりも小さいらしいですが、ソビュールでは3番目に大きな街だそうです。

 わたし達の馬車は街の入口でチェックを受けた後、街の中へと進んでいきます。

 街の中は見た感じ、王都とあまり変わりがないように見えます。

 王都より露店などは少ない、ですかね?

 馬車はそのまま進み続け、宿屋の前で止まります。

 ここが今日と明日、泊まる宿のようです。

 ……ちょっとぼろっち、いえいえ、歴史のある建物ですね。

 宿に入ると、中は外見を裏切らないぼろ……歴史を感じます。

 うーん、自腹でいいので他の宿を探したくなってきます。

 アファガルさんは明日、何か取引があるらしいです。

 依頼内容は道中の護衛だったので、わたし達は明後日の朝まで自由行動だそうです。

 あれ?今更ですが、考えてみれば王都から2日の街へ、しかも比較的安全と思われる街道を通っての移動に、護衛5人はおかしくないですか?でも、報酬はそこまで高くはありませんし…。考えすぎ、ですかね?

 あ、部屋割はアファガルさんが個室、わたし達は男部屋と女部屋で別れるそうです。

 指定された部屋へ行って、荷物を降ろします。

 丁度いいので、二人に先程思ったことを聞いてみました。

 結果、確かに5人は過剰に見えますが、最近は街道沿いでも魔物や盗賊が出ているらしく、それほどおかしいことではないそうです。

 ああ、言われてみれば、昨夜はオークに襲われましたしね。

 ふむ、やはり心配のしすぎだったんでしょうか?

「そんなことよりもお風呂いこうよ!昨日は入ってないしさ~」

 いきなりメリアナさんがそんなことを言い出しました。

 こんな時間に入れるのでしょうか?まだ4時にもなっていないです。

「風呂か……そうだな。サクラはどうする?」

 マリーさんまで…?この時間でも入れるんでしょうか?いや、それよりもこの宿ってお風呂あるんですか?

「入れるなら入りたいですけど…。まだ8の刻ですよ?入れるんですか?」

「あー、サクラちゃんはフルドは初めて?フルドには公衆浴場があるんだよ。そこは6の刻から12の刻までならいつでも入れるんだ」

 だからこの街にはお風呂のない宿が多いんだよ、と教えてくれました。

 銭湯、のようなものですか。

 せっかくなので行ってみましょう。というより、銭湯に行かないとお風呂に入れなさそうですし…。

 わたしも行くことを伝えて、荷物から着替えや石鹸などのお風呂セットを用意します。

 準備が終わると、二人に案内されて公衆浴場へと向かいました。


 お風呂上がりにはやっぱりミルクですよね!

 いえ、少しでもカルシウムを補給しようってわけじゃないですよ?

 ほら、日本人の美学とか、あるじゃないですか。

 身長とか胸とかを気にして飲んでいるわけじゃ、ないんですよ?

 それにこれ、山羊のミルクですし。

 ちなみに牛乳を飲んでも胸が大きくなるというのは科学的根拠は一切ないらしいです。

 それを聞いた時は……愕然としました。

 え?お風呂はどうなったかって?

 できれば思い出したくないんですが…。


 公衆浴場は、建物全体はレンガ造りで結構大きいです。

 中は日本の銭湯と同じように、男湯と女湯に別れていました。

 お風呂場にはシャワーはなく、大きな浴槽と、小さめの二つの浴槽がありました。

 マリーさんやメリアナさんを見ていると、小さめの浴槽から水を汲み、それで身体を流していましたのでわたしも真似をしてみましたが、小さめの浴槽にはそれぞれお湯と水が張ってあって、それで温度を調節して身体を洗うのだとわかりました。

 あと、マリーさんは公衆浴場に来るまでは普通だったのですが、脱衣所のあたりから様子が変わりました。具体的には顔を赤くして呼吸が乱れていましたが…。どうしたんでしょうか?

 気にはなりましたが、それよりもメリアナさんの方が問題だったので、それどころではありませんでした。メリアナさんはわたしの背中を流すと言ってくれたのですが、何度も手が滑ったと言って変なところを触ってきますし…。浴槽に浸かっても騒いでいて、最後には管理人さん(?)に怒られていました。


 そ ん な こ と よ り も !


 わたしは酷い格差社会を知りました。

 右を向いても乳、左を向いても乳。

 目につく胸をサーチしてみましたが、最低でもC。最大?ふっ…。

 さらには、10歳くらいの子でもBはあるのに気がついてしまいました。

 これが絶望というやつですか…?

 ……あれ、目から汗が…。

 カナシクナンテナイデスヨ


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