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048 お買い物

 朝食をお城で頂き、その後はすぐに家に戻りました。

 なんだかんだとやることもあるんですよ。

 そろそろパンも無くなりますし、そう言えば天然酵母も減ってきてます。

 そういえば、東の国にはお米やお味噌、醤油って無いんでしょうか?

 刀があるくらいだから、もしかしたらあるかもしれません。

 どこかで仕入れることができないか、聞いてみましょう。

 ああ、暑くなってきましたし、氷が欲しいですね。

 冷凍庫のようなものは……見たことないですね。うーん、『氷結』で作れないんでしょうか?これも機会があれば探してみましょう。

 夏バテ防止に梅のジュースもいいかもしれません。

 梅酒……はわたしが飲めませんからね。

 え?食べ物のことばかりじゃないかって?

 当然ですよ。人生の楽しみの8割は食です。おいしいは正義です。

 つまり、この世界の人のほとんどは、人生を2割しか楽しめていないのですよ。

 最近の王子をみればわかると思います。

 今日だって、あんなに必死に美味しいものが食べたいって言っていたじゃないですか。

 ということで、今日の予定はパン作りと、発酵させている間に商会と魔具屋さんと八百屋さんですかね。ああ、冷凍庫があれば、氷を作るのに器がほしいですね。ちょっと違うけれど、ガラムさんのところに行ってみましょうか。

 そうと決まれば早速行動です。


 まずはパン種作り。

 こねこねこねこね。

 うーん、せっかくなので一工夫してみましょうか。

 半分は普通のパンで、残り半分の半分をバターロールに、さらに残りを蜂蜜パンにしましょう。

 こねこねこねこね。

 よし、これでまずは1次発酵にして…。

 その間に商会に行ってみましょう。

 といっても、東方の国と流通を持っているのがどこかなんて、わかりません。

 まずは八百屋さんで梅を探しつつ、聞いてみます。

 意外と簡単にわかりました。

 ルシウス商会というところが、最近取引を始めたそうです。

 商会の場所を聞いて、早速向かいます。あ、梅も購入しましたよ?


 ルシウス商会は、大通りのお城に近い場所にありました。

「こんにちは~。お聞きしたいことがあるんですが」

 中に入って声をかけます。

 ちなみに中は、時代劇でよく見る問屋を洋風にした感じ?でしょうか。

「いらっしゃい。お嬢ちゃん、お父さんのお使いかな?」

 うわ、久しぶりに完全に子供扱いされました。

「いえ、探しているものがあって来ました」

 子供扱いは面倒ですが、ここで時間を取られるのもまた、面倒です。

 必要な事を確認できればいいのです。

 うん、大人な対応です。

「探しているもの?お嬢ちゃんがかい?ここにあるのかな?」

「ここの商会が最近、東の国と商売をしていると聞きまして。それで、東の国の珍しい調味料や食べ物を扱っていないか、と思って来たんです」

「うーん、確かにうちは東方と商売をしているが…。珍しい食べ物、ねぇ。あるにはあるけど……お嬢ちゃんが買うのかい?」

 お、あるんですか?是非見てみたいです。

「はい、出来ればどんなものがあるのか、見せていただきたいのですが?」

「困ったな…。お父さんかお母さんはいないのかい?お嬢ちゃん一人だと、売れないんだよ」

 まあ、それなりに値段もするでしょうし……子供にほいほい見せるわけにもいかないでしょうが。

「ああ、すみません。わたし、サクラ・フジノといいます。冒険者をしています。年齢は15歳です」

 冒険者カードを見えるようにして提示します。

「それで、見せてもらえるんでしょうか?」

 わたしが自己紹介をすると対応していた男性は驚き、冒険者カードを見てまた驚きます。

 久しぶりですね、この遣り取りも。

 しかしさすが商売人。すぐに立ち直り、対応します。

「これは失礼しました。もちろんでございます。ささ、奥へどうぞ。すぐにサンプルを持ってまいりますので」

 おっと、対応まで変わりました。

 揉み手をしながら奥の応接間でしょうか?そんな雰囲気の部屋へ通されます。

 部屋に入ってすぐに、先程の男性は席をはずします。

 しばらくその部屋で待つと、対応した男性と、更に二人の男性が何かを手に持って入ってきました。

「お待たせしました。今うちで扱っている商品で、フジノ様のご要望に沿えるものはこれだけでございます」

 テーブルの上に置かれたのは……小さな樽が3つと木箱が3つ。

「説明させていただきます。まずこちらは、東の国で作られた酒です」

 一つ目の樽を指します。お酒、というと日本酒でしょうか?樽に入った状態だとわかりませんが…。

「すみません、どのようなお酒なんでしょうか?」

「はい、東の国の穀物で作られた酒、と聞いています。透き通った水の様ですが、下手なワインよりも強い酒です」

 清酒、ですか?もしそうなら、料理に使えるので買ってもいいかもしれません。

「少し香りを嗅いでも?」

「もちろんです」

 きゅぽん、と樽の上にあった栓を抜いてくれます。

 嗅いで見ると、きついアルコールと、ほのかな甘い香り。日本酒のようです。

 お礼を言って、次の商品の説明を求めます。

 残りの商品は、それぞれお味噌、醤油、乾燥昆布、鰹節、お茶でした。

 おお、全部欲しいです!

 しかしお値段を聞いて吃驚です。

 それぞれ、最小単位で日本酒が1樽(約4.5リットル)で銀貨30枚、お味噌は1樽で銀貨15枚、醤油は1樽で銀貨20枚、昆布は20枚入って銀貨10枚、鰹節は2本で銀貨15枚、お茶は約5kgで銀貨40枚です。

 輸送の関係なんでしょうけど……高すぎませんか…?

 うーん、欲しい……けど…。

 最小単位一揃えで金貨1枚と銀貨50枚って……ねぇ…?

 特にお茶が高いように思いますが…。嗜好品だからでしょうか?

 とりあえず、値段は高いですが、これも懐かしき和食の為です。

 全部買いましょう!ただし、最小単位で、ですが…。

 それにしても、日本酒があるのにお米は扱っていないのでしょうか?

「すみません、お米というものは扱っていないのですか?」

「米、ですか?ああ、今回は東の国の物、ということでしたので持ってきていませんが、扱っていますよ」

「え?東の国じゃないとすれば、どこで作っているんですか?」

「南の国からの物ですが、興味がおありなら用意させますが?」

「ぜひ!」

 東の国からの輸入じゃないんですね。

 お米はすぐに用意されました。が、日本で食べていたお米に比べると、でかいです。

 ここでも格差が!?

 いえ、ここは我慢しましょう。大きくてもお米に罪はありません!

 ちなみに、10kgで銀貨20枚だそうです。

 お茶の値段を聞いた後だと、随分安く感じるのが不思議です。

 あ、お米は玄米です。

 一通り購入して、もちろん持って帰るなんてできないので、家のほうへ配達してもらいます。

 最近の稼ぎが全部飛んで行きましたが、満足です。

 さて、次は魔具屋さんです。急ぎましょう。


 前世でお世話になった魔具屋さんに行ってみます。

 そこは趣味で全く売れない魔具も作っていましたので、たまに面白い魔具があったようです。

 ちなみに冷凍庫ですが…売ってました。

 ただ、冷やして保存する、という考え方はありますが、凍らせて保存する、という考えはないようです。

 つまりは、趣味の売れない魔具の一つ、らしいです。

 早速購入しました。店主らしき人には奇異の目で見られましたが。貴方が作ったんじゃないんですか…?

 ちなみに完全な趣味のものらしく、値段は銀貨5枚という、完全な捨て値です。

 サイズは小型の2ドア冷蔵庫の冷凍室くらいの大きさです。

 あと、保存の効果の魔具もあったので購入しておきます。

 これはその魔具(箱)に入れた時の状態のまま保存できるという、とても素晴らしいものです。

 お値段はちょっとかかって銀貨15枚。

 でもこれがあれば、パン種を作って中に入れておけば、いつでも新しいパンが焼けます。

 これらも配達をお願いして、ガラムさんのところへ向かいました。


 ガラムさんに製氷皿のようなものができないか、相談してみます。

 ……怒られました。

 しかし、このくらいで諦める私ではありません!

 わたしの目標(かき氷)の為に!

 わたしは嫌がるガラムさんに、かき氷の素晴らしさや暑い日に氷を入れた飲み物を飲む素晴らしさをこんこんと説明し(約1時間)、なんとか作ってもらえるようにお願いします。

 ガラムさんはわたしの熱意に負けたのか、作ってみる、と言ってくださいました!

 形状は、薄い鉄板を叩いて部分的に凹ませ、それを並べたような物と、できるだけ大きな凹みをした物をお願いしておきます。

 明日には試作が出来上がるそうです。さすがガラムさん、仕事が早いですね!

 明日の夕方に見に来る約束をして、家へと帰ります。


 家に戻ってパン種を作っていると、シリウス商会の配達が来ました。

 とりあえず、全て地下の貯蔵庫へと運んでもらいます。

 シリウス商会の人が帰ると、今度は魔具屋さんの配達が。

 荷物を受け取り、適当な場所へ設置します。

 なんだか、キッチンにどんどん魔具が増えている気がしますが…。

 パン種を作り、空いた時間で梅ジュースの仕込みをしておきます。

 そして夕食の準備。

 和食、と行きたいところですが、お米の精米もしていませんし、少し時間が足りません。

 今日のところは我慢します。

 朝、あれだけ言った王子はやはり、というか予想通りというか…。

 しっかりと夕飯を食べに来ました。

 ……まあ、わたしも来るだろう、と思って用意をしていたんですが。


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