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003 わたしという人物

 私の名前は「藤野 桜」。

 幼稚舎から大学部までの一貫教育を取り入れた女子校、いわゆるお嬢様学校の高等部1年C組所属の15歳の女性です。

 父親は大手企業で部長を務め、母親はブティックを経営しています。

 他に大学2年で20歳になったばかりの兄が一人、合計4人の家族です。

 これだけ見ると一般的な中流家庭よりちょっと裕福な家に生まれた普通の女の子に見えますが、ここだけの話、実はわたしは前世というものを覚えている、らしい。

 「らしい」というのは小説とかでみるような「記憶」を持っていないからです。

 5歳の誕生日を迎えた夜に夢を見ました。

 ローブを着た男が後ろから騎士っぽい人に剣で刺されて死ぬ夢です。

 どうやら前世はそのローブを着た男、魔法使い……前世の知識では魔導師でしょうか、魔術を使えたらしいです。死んでしまいましたが。

 その夢を見た翌日から1週間の間、高熱にうなされた、らしいです。

 家族は心配して医者を呼んで診察をしてもらったらしいのですが、「原因不明」とのこと。

 1週間後に熱も下がり、体調も治ったのですが、家族からは「原因不明」の診断から勝手に病弱指定され、しばらく家から出してもらえなかったのは今となってはいい思い出です。

 体調が回復してから「こことは違う世界」の知識を覚えていました。

 今から思えば「前世の記憶が知識となって脳に流れ込んだ」ことによる知恵熱だったのでしょうか。

 それからはとても過保護に扱われ、設備のしっかりした学校へ、という理由で今の学校に入れられました。まあいいですけど。


 ちなみに「前世・異世界の男」だった頃の「記憶」は「知識」として覚えていますが、気持ちや感情といったものは実感としてありません。なんとなく「そういうものか」といった程度です。

 現世での「わたし」に「前世・異世界の男」の物語を覚えさせたといった程度でしょうか。考え方にいくらかの影響は出ているでしょうが、その程度です。

 魔術ですか?もちろん試してみました。何も起きませんでしたが…。

 まあ異世界でのことですしね。生きる上で問題はないです。ないったらないんです。



 初等部に入学すると同時に体を鍛えるために、家から少し離れた場所にある古武術の道場に通うことになりました。

 これは自分から望んだことで、自衛手段を持たないといけないという、何かしらの強迫観念によるものからでした。

 どうも前世では「魔術」とやらには精通してたものの、身体能力としてはからっきしで、しかも死に際が背後から剣で一突きだったことが理由ではないかと思います。

 最初のうちは家族は反対したが、「自衛手段のため」とか「体を鍛えて健康になるため」といったことを理由に了承させました。頑張った、わたし。

 6歳から始めて約10年、道場では基礎体力作りから居合・素手・長刀・棒術といった基本的(?)なものから、「気功」といったよくわからないものまで指導されました。

 まあ師匠一人に弟子一人しかいない道楽道場なので強さなどはよくわかりませんが、自衛手段としては十分ではないでしょうか。

 中等部に上がってからは、師匠の「呼吸を読むことが上達につながるんじゃ」という指導により、合気道も習い始めました(別の道場で)。

 ちなみにその道場では同年代の中に敵はいません(同年代が2人しかいませんけど)。


 前世の知識の弊害としてはもう一つ、料理があります。

 これは前世となった世界では食文化が発達しておらず、薄味というか……基本塩味で一部の香草や香辛料といった程度しか味付けがなく、調理方法も「焼く」「煮る」しかなく、前世の知識が戻った(?)直後の食事で味の差に感動したことを覚えています。

 これが切欠で「この世界にはおいしいものがあふれている!」となり、「おいしいものが食べたい」から「おいしいものを食べたいなら自分で作ればいい」となり、料理が趣味になりました。おいしいは正義です。

 こだわり過ぎて調味料やパン・麺類まで手造りになったのには家族からも呆れられましたが…。

 今では我が家の食事は8割、わたしの料理になっています。ちなみに評判は上々です。


 他にも趣味といえるかどうか不明ですが、いわゆるファンタジー物が好きです。

 魔法とか魔物とかがなんとなく前世の世界を思い浮かべて懐かしいと感じるせいではないでしょうか。

 小説や映画やゲーム等、時間のあるときに少しだけ手を出している程度ですが。




 ちなみに現世の身体は病弱どころか結構なスペックを持っています。

 運動神経も高いと思いますし記憶力も良好です。学校のテストでも毎日の授業と簡単な予習復習だけで常に学年上位(一桁)です。

 成績が下の上辺りの智子にはテスト前になるとずるいといわれる。知りませんよ…。

 そんなハイスペックな身体にも惜しむべき点があります。個人的にはハイスペックな身体よりも重要です。友人には贅沢と言われますがわたしにとっては重要なポイントです。

 それは…。


 食べても「お肉」がつかないんです!


 え?羨ましい?いいことじゃないか?

 世の女性から見れば「お肉」がつかないのは羨ましいことかもしれません。

 ですがよく考えてみて下さい。

 つかないお肉は贅肉だけじゃないんですよ?

 横にはもちろんのことながら、縦にもつかないし筋肉もつかないのです。

 さらに女性として重要な部分……胸やお尻も最低限しかつかないんですよ?

 こんな寂しいことがありますか?

 ついた贅肉は食事やダイエットに気を使うことで減らせますが、つかないお肉はどうしようもないんですよ?

 身長は中等部に入る前に成長をやめ、胸はないお肉を無理やり寄せて上げてぎりぎりBカップ、お尻も最低限しか育っていない、いわゆるツルペタ体型。

 身体測定のたびにわずかな希望も打ち砕かれ、体重だけ聞けば周囲に羨ましがられますが、他の数値で憐みの目で見られて慰められる始末。

 まだ成長期が来てないんです、と自己暗示をかける毎日です。


「ちっちゃい言うな子供言うな貧乳言うなもぐぞ。おっきいは敵だ」


 おっと、失礼しました。少しダークサイドに引っ張られました。

 え?わたしの外見ですか?

 黒髪黒目の純日本人で髪の長さは腰を過ぎて太腿くらいでしょうか。父と兄が切らせてくれないんですよ…。長すぎて邪魔なんですけど。

 普段は腰のあたりでリボンでまとめるか、気が向いたときに編み込むくらいでしょうか。

 あまり髪型にはこだわっていません。

 顔は……まあ家族や友人に言わせれば「かわいい」らしいです。自分ではよくわかりませんが。

 前世の弊害でしょうか、わたしの女性としての美しさはいわゆる「胸の大きさ」が基準で、顔のつくりは基準になかったようです。おっぱい星人だったようです、前世のわたし。

 なのでお肉のつかないこの身体は女性としての魅力0なのです。変態ですね、前世。



 そんなわたしが主役らしいお話です。


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