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031 欲しいもの

短めです。

「これ、触ってみてもいいですか?」

「気をつけろよ」

 持ってみるとずっしりとした重量感。鞘のまま構えてみます。

 初めて持ったのに、なんだか馴染んだ感覚がします。

「抜いてみても?」

 ガラムさんが頷くのを確認し、息がかからないように止めて、少し、鞘から抜いてみます。

「っ」

 中から出てきたのは片刃の、美しい刃紋。師匠に一度だけ本物を見せてもらったことはありましたが、それと同じ感じがしました。

 一旦、鞘に戻して止めていた息を大きく吐き出します。

「すみません、一度振ってみてもいいですか?」

 少し興奮しながら、ガラムさんに確認をします。

「む、ここじゃ狭いだろ。振るだけなら裏に場所がある。ついてきな」

 ガラムさんに案内されて出たのは、お店の裏にある庭らしき場所。

「ここなら大丈夫だろう」

 ガラムさんに頷いて、まずは居合の構えから抜きます。続いて袈裟に振り、今度は鞘を預けて両手で何度か振ってみます。

 真剣を振るのは二度目、ですが、以前師匠に握らせてもらった時は振るだけで精一杯だったはずです。刀を扱うどころか振り回されていた記憶しかありません。

 刃の長さはこちらのほうが短いとはいえ、そこまで差が出るものでしょうか。

 狼と戦った時も思いましたが、この世界に来てから筋力が増えているのでしょうか?疲れにくく感じていることから、身体能力自体が上がっているのかもしれません。


 一通り振り終わり、刀を鞘に納めてお店に戻ります。

「これ、おいくらですか?」

 お店に戻るなり、ガラムさんに聞いてみます。

「うーん、実はこの剣は東から来た商人から、珍しい武器だってんで仕入れた物でな。ちっとばかし高ぇぞ。そうだな、カードでの割引を入れて3万5千ゴルシュだ」

 3万5千って、金貨3枚と銀貨50枚じゃないですか!

「ぁぅ、今のわたしじゃ逆立ちしても買えませんよ…」

「まあ、駆け出しの冒険者にゃちっとばかし高いな。目標があれば気合も違うだろ。まあ頑張って稼ぐこった」

「そんな暢気なこと言ってて売れちゃったらどうするんですか」

「そうは言っても払えるモンがなきゃ買えねぇだろう。安心しろ、とは言えんが使うつもりのない奴には売らねぇよ。使うつもりがあっても使えない奴にも売らねぇ。それがこの店のルールだ」

 つまり、刀を扱える人が買おうとしない限りは売れ残っているってことですね。

「わかりました!頑張って稼いできます!あ、今日のところはこれと、このナイフを買います。おいくらですか?」

 お店に来て最初に並べられたナイフの中から、戦闘用と素材剥ぎ用からそれぞれ一本ずつ選びます。

「合わせて1,500ゴルシュ、銀貨15枚だ」

「ではこれで…。それじゃ、お金がたまったらまた来ます」

 代金と引き換えにナイフを受け取り、お店を後にしました。

 あぁ、知らなきゃ欲しがらずに済んだのに…。


 ガラムさんのお店を出て、すぐに冒険者ギルドへ引き返します。

 ギルドに着くと、すぐにいつもの受付の女性のところに向かいます。

「おねーさん、短期間で効率よくお金を稼ぐにはどうしたらいいんですか?」

 受付の女性はいきなりの質問に吃驚しながらも、答えてくれました。

「え?えっと、そうですね、金額にもよりますが…。やはり討伐系の依頼を受けるのが手っ取り早い、と思います。もしくは護衛依頼が報酬は高めのものが多いですね。ですが討伐系依頼も護衛依頼もDランクから、となっていますので、フジノ様では受けることができません。ですのでまずは、冒険者ランクを上げることが必要になります」

 はぁ…、やっぱり、そう簡単に稼ぐ方法はないようです。

 まずはEランクになることが最優先、ということですね。

 お礼を言ってギルドを後にし、宿へ戻りました。


 明日から依頼を頑張ることにします…。


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