表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/149

029 冒険の準備

 カードができるまで待っている間のお茶の一杯はサービスのようで、ハーブティを飲みながらこの後のことを考えます。

 試験がどのようなものかはわかりませんが、まずはそれをクリアしないといけません。

 採取の依頼になるだろう、ということなので、王都から出ることが前提のようです。

 そうすると出発は早くて明日、今日のこの後は買い物をしましょう。

 まずは服、ですね。ここに来るまでの途中に幾つかそれらしいお店がありました。

 宿に戻りながら寄ってみましょう。

 そして冒険者としての道具や装備です。

 これはお店がわからないので、受付で聞いてみましょう。

 あとは時間があれば、雑貨屋や食料品を扱っているお店、商会なども見てみたいですね。

 時間が足りるでしょうか?


 この後の予定を考えていると、受付から名前を呼ばれました。

 上の人の男性ではなく、最初に対応していた女性です。

 受付に行くと、女性から銀色のカードを渡されました。

「サクラ・フジノさん、これが冒険者カードになります。カードのこの部分に指を当てて下さい。登録された情報が表示されます。それをこちらに見せて下さい」

 言われた通りにカードの右下の部分を摘むと、表面に「サクラ・フジノ 15歳 人族 ランク:- 備考:」と文字が浮かび上がりました。

 それを表示させたまま、受付の女性のほうに差し出します。

「確認できました。フジノさん、本当に15歳だったんですね…」

 最初からそう言っているじゃないですか…。

「これで嘘ってわかるんですか?どうやって判断してるんですか?」

 気になったので聞いてみます。

「最初に水晶に手を当てて項目を言葉にしてもらいましたが、あの水晶で言葉をカードに書き込んでいます。言葉に嘘があれば、その項目は何も表示されません。また、血を頂きましたが、血の成分で本人の認証と年齢の分析を行っています。ですので、もし偽証などがあればカードを見ればわかるようになっています。カードは半年に一回の更新が義務付けられています。更新がないままですと、最悪は登録の抹消となる場合があります」

 なるほど、便利な魔具ですね。

「登録された情報はこの大陸のギルド全体で共有されます。ですから、どの街のギルドでも更新は可能です。この魔具は10年前に導入されまして、それからは管理が随分楽になったと聞いています」

 10年前ですか。道理で知識にはないはずです。

「あ、それで試験のほうなんですけど、内容を聞いてもいいですか?」

 忘れるところでした。

「そうですね、ではこちらの依頼を受けて頂きます。期限は受付が終わってから3日、内容はセブル草の採取です。セブル草の資料はあの棚にファイルされています」

 カウンターにB5サイズの薄い木の板が置かれます。

 木の表面には依頼内容が書かれていて、「採取:セブル草10本 報酬:銀貨3枚 期限:3日 ランク:F」とあります。


 セブル草は薬草として一般的で、傷の治療によく使われ、根は煎じて飲めば解熱剤としても使われます。川の土手や日当たりのいい場所に生息しています。見た目はヨモギのような植物です。


 ハーブや香草、薬草に関しては、前世の知識に豊富にあるので資料を見る必要はありませんが、振りだけでもしておくほうがいいでしょう。セブル草は一般的なものなので知っていてもおかしくはありませんが、わたしは仮登録したばかりです。そのあたりの行動も見られているかもしれません。

「今から受けられますか?」

「3日、ですか。明日の朝受けることも可能ですか?」

 今から受けると1日損になります。

「可能です。それでは明日の朝、受付に来て下さい。それと冒険者カードは試験に合格した後にお渡しするので、それまでこちらで預からせていただきます」

 本来はカードを作るのは試験に合格してからなので、私の場合はフライングで作ったことになります。合格するまでは渡してもらえない、というのも当然といえば当然です。

 カードを受付の女性に渡して、ついでに待ち時間で考えていたことを聞いておきます。

「すみません、冒険者の道具を扱っているお店や武器屋さんでお薦めがあれば教えてもらえませんか?」

「お薦めですか?うーん、そうですね。道具はここを出てすぐ左にあるお店が冒険者には良く利用されます。武器に関してはギルドの裏の通りを王城のほうにいくと『ガラム武具店』というお店があります。そこは質がいいと聞きます」

「なるほど、ありがとうございます。行ってみますね」

「ああ、武器や防具は正式な登録まで待ったほうがいいと思いますよ。冒険者カードがあれば1割、値引きがありますので」

 武器の値段がどのくらいかはわかりませんが、いいことを聞きました。

 少しでも節約できたほうがいいのは当然です。

「おお、そうなんですか。教えていただいてありがとうございます」

 武器は見るだけにしておきましょう。

 お礼を言ってギルドを出たわたしは、まずは紹介された隣の道具屋に向かいます。


 道具屋さんに入ると、雑貨や外套、保存食などが並んでいるのが目に入りました。

 品揃えは豊富で、見ているだけでも大分時間がかかりそうです。

 今の時刻は大体4時前、くらいですか。おそらくもうすぐ8の刻の鐘がなる頃です。

 腕時計はポーチにしまっています。正確な時間が必要な時だけ見ることにしています。盗られたり壊れでもしたら困りますからね。

 この後の予定もあるので、必要な物を探します。

 外套は王様にもらったものがあるので、保存食、水袋、岩塩、毛布といったものを探します。

 保存食の中には果物を干して瓶に詰めたものや、野菜を酢漬けにしたピクルスなども置いてあります。

 とりあえずそういったものは、今度見ることにして会計を済ませます。


 しまった、リュックを持ってくるべきでした。


 そう気付いたのは荷物を受け取った後。食料などは数が少ないこともあり、それほどではありませんが、毛布がかさばります。

 まあ、元々持ち運びを考えて作られているのでそこまで大きくはありませんが、わたしが手に持つと結構な大きさです。

 困っているとお店の主人が配達もしてくれるそうです。

 時間はお店が閉まる10の刻以降になるらしいですが、今日使うものではありません。

 渡り鳥にわたし宛で配達してもらえるようにお願いしました。

 サービスにお礼を言ってお店を出て、次は武器屋さんに向かいます。

 

 教えてもらった通りに道を進むと、それらしい看板が見えました。

 看板には剣の絵と「ガラム武具店」の文字。

 早速はいってみます。


 中には剣や弓、ナイフや鎧が所狭しと並んでいます。

 興味津津で眺めていますと、奥から出てきた人に

「ここは子供が遊びに来るところじゃねぇぞ。さっさと帰んな」

 顔を上げると、髭面のおじさんがこちらを見ていました。

 身長は170cmないでしょうか。全体的にがっしりした身体に髭面で武器屋さん。ドワーフ族ですかね?

「子供じゃありません。今日、冒険者ギルドで仮登録をしてきました。試験は明日からですけど、今日は武器を見に来ただけです。しばらくしたら帰りますので」

 そういうとドワーフのおじさんは

「仮登録だと?こんな子供を登録させるなんてギルドの連中は何やってんだ?どう見ても成人じゃねぇだろう」

 この遣り取りも慣れた、と言うよりも飽きてきました。

「これでも15歳です。冒険者ギルドでもカードを作って確認済みです。試験に合格したらカードを持ってまた来ます」

 カードを持ってくれば証明できます。

 説明も面倒です。

 今日のところはさっさと退散することにしました。




 武器屋さんを出て大通りに戻り、服屋さんを探しながら宿のほうに移動します。

 それらしいお店を見つけたので入ってみました。

 中には色とりどり、とはいきませんが、服が並んでいます。それほど種類は多くはないようです。このお店は女性用のお店でしょうか?奥のほうには下着も置いているようです。

 わたしの着れそうなサイズで服を探してみますが、どれも大きくて、チュニックなどは合わせてみると膝下くらいの長さになってしまいます。一番小さなサイズでもミニスカート並みです。

 店員さんに聞いてみると、わたしの着れるサイズだと子供用しか置いていないそうです。

 なんだか気力もなくなったわたしは、その中から普段着用にワンピースとチュニック、ズボンやホットパンツなどを選びました。

 続いて肌着や下着なども物色します。

 下着はドロワーズ(かぼちゃぱんつ)が多くて、他にはサイドストリングのショーツ(紐ぱんつ)、ふんどしのような下着がありました。

 ゴムを使った日本で一般的なショーツはないようです。

 ゴム紐というのはこの世界の技術ではまだ無理なんでしょうか。

 肌着はスリップやシュミーズを何枚か購入しておきます。

 ブラは……なんというか、カップ付のブラジャー、というものは置いていませんでした。

 布を巻きつけるだけ、というかそういうもの、らしいです。

 一応、何枚か購入しておきます。

 最後に、最初のチュニックを1枚、寝巻代わりに買っておきます。

 材質は下着や肌着、寝巻用のチュニックは綿で、残りは麻にしました。

 これで着替えは大丈夫です。

 支払いを済ませ、増えた荷物を抱えて一旦、宿に戻ることにします。


 増えた荷物を宿に置いて、もう一度買い物に出かけます。

 宿の人に雑貨屋さんと靴屋さんの場所を聞いておきます。

 ここまでで大分時間とお金を使ってしまいました。

 今の時刻は大体6時前、幸いにして雑貨屋さんと靴屋さんは近いようです。

 所持金の残りは金貨1枚と銀貨が15枚と銅貨が6枚、穴銅貨が3枚です。

 まず、靴屋さんにいきます。

 オーダーメイドが基本らしいので、革靴とブーツを作ってもらいます。

 サイズを測り、足の型をとって終わりでした。

 完成には5日ほどかかるらしいです。

 注文を終わらせて次は雑貨屋さんです。


 雑貨屋さんは色々なものが置いてあります。

 日用雑貨や小物、装飾品など種類豊富です。

 軽く見て回っただけでも、興味を引くものもいくつかありました。

 じっくり見て回るだけでも面白そうですが、それはまた、時間のあるときにでもすることにします。

 今日のところはタオル代わりの布と使い捨て用の布の切れ端、髪をまとめるためのリボンをいくつかと香辛料を入れておくための木製のボトル、調理道具や食器類を購入します。

 調理道具といってもお鍋やフライパンと言った程度ですが。

 これで今日のお買いものは終了です。


 宿に戻るとすでに日は沈みかけていて、時刻は7時くらいでしょうか。

 夕食をお願いして、料理が出来上がる間に部屋に荷物を置いてきます。

 食堂に戻ると、さすがに夕食時でテーブルはほぼ満席状態です。

 わたしは一人なのでカウンターに座り、すぐに運ばれてきた料理を頂きます。

 この世界ではあまり変わり映えのしないメニュー。

 ご飯やパスタが懐かしく思います。材料は揃うはずなので、そのうち作ってみましょう。


 食事を終えて、部屋に戻ります。

 今日買ってきた荷物を整理しながら、お風呂のことを思い出しました。

 部屋にお風呂は付いていなかったので、共同のはずです。

 さっき出てきたばかりの食堂に移動して、お風呂のことを確認します。

 入りたい時間をあらかじめ予約しておくそうです。

 幸い、今の時間は空いてるそうなのですぐに入ることにします。

 部屋から今日買ってきたばかりの肌着と下着、寝巻がわりのチュニックを持ってお風呂に向かいます。身体を拭く布は宿のサービスらしいです。


 お風呂に入り、一日の汗を流して部屋に戻ろうとすると、宿の人に呼び止められました。

 わたし宛に道具屋さんから荷物が届いているそうです。

 そういえば配達をお願いしていました。

 毛布を受け取って部屋に戻ります。

 タオル代わりの布(面倒なのでタオルと呼ぶことにします)を髪に巻き付け、荷物の整理の続きをします。

 リュックサックとポーチにそれぞれ荷物を詰めて、一度持ってみます。

 おお、軽いです。

 それなりの重量のものを入れているはずですが、さすが王様が用意してくれた魔具です。

 軽量化の効果のおかげでしょう。このリュックってかなり高級品なんじゃないでしょうか…?

 明日の着替えとしてチュニックとズボンを荷物から出しておきます。

 これで明日の準備は完了です。

 部屋の明かりを消してベッドに入り、明日の試験のことを思いながら眠りにつきます。


今日の更新分はかなり迷走しています。

うまくキャラクターが動きません。


服などの設定は14世紀前後のヨーロッパを参考していますが、色々とご都合主義的な変更を加えています。

そういう設定、と思ってください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ