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002 これが日常でした

 キーンコーンカーンコーン


「きりーつ、礼」


 チャイムと同時に号令がかかり、教室中が動き出します。


「桜ー、美春ー、おべんと食べよ~」

「ん、今日はどこで食べます?」

「今日は天気いいし屋上か中庭?」

 友人の智子から昼食のお誘いがかかりました。

 上から智子、わたし、美春のセリフです。


「昨日まで雨降ってたし中庭はどうだろ?」

「じゃあ屋上でいいんじゃないですか?」

 智子の問いかけに私が答えます。

「んじゃ屋上いこっか。天気いいのも久しぶりだから早くいかないとベンチなくなるかも」

 そう言って美春がお弁当箱を持って立ち上がりました。

「了解」

 答えてわたしもお弁当箱を持って移動を始めます。


 智子と美春は初等部からの知人です。

 友人となったのは中等部の1年の時に同じクラスになってからですが、それからはよく一緒に遊びに行ったりしています。わたしの交友範囲では一番仲がいい友人です。


「相変わらず桜のおべんとは手が込んでるね。唐揚げ一個もらいっと」

「おかずが減るじゃないですか」

 勝手にお弁当箱から唐揚げを奪っていく智子に一言苦情を入れます。

「おいし~。桜の料理好きは相変わらずだね」

 謝罪ではなく料理の感想が返ってきました。

「どうせ食べるなら自分の好きなものを好きな味で食べたいじゃないですか。それには自分が作るのが一番手っ取り早いだけです。わたしは料理が好きなのではなくておいしいものを食べるのが好きなだけです」

 料理が褒められたことに少しだけ嬉しくなりつつもそう返します。

「いくら食べるのが好きでも手間がね~…。あたしは食べるの好きでも無理だわ。いつから料理してるんだっけ?」

 美春からは少し呆れ気味に言われます。

「おいしいものを食べたいって思い始めたのは5歳でしたっけ?うちの両親共働きですしどうしても出来合いが多かったですし。自分で作ればいいんじゃないかって思ったのは8歳の頃でしたっけ」

 当時を思い出しながら答えます。

「そんな小さな頃からグルメに目覚めたのか…。お菓子も大体作れるんだっけ?」

「そうですね、お店で買うより自分好みの味にできますし、何より安く作れますから。あ、今日のお菓子はクッキーを焼いてきました」

 智子の問いかけに答えつつ足元に置いていた鞄から袋を取り出します。

「「ゴチになります」」

 二人は声を合わせて言いつつ、すでに袋を覗き込んでいます。

「お菓子はお弁当を食べてからですよ?」

「わかってる」

 そう言うと二人は黙ってお弁当の処理にかかりました。




「相変わらず美味しいね、桜の作るお菓子は」

「ほんと、こんなにちっこくてかわいいのに料理上手だし強いし、いいお嫁さんになるよ」

「一杯作り過ぎたからまだありますよ。あとちっこい言うな」

 3人で騒ぎつつお菓子と魔法瓶で用意しておいたお茶をいただきます。

 お茶も趣味の一つです。

 おいしい食べ物とおいしい飲み物。おいしいは正義です。



 ああ、平和ですね。


見やすくなる方法を教えて下さい…。

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