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023 メイドさんとわたし

「すぐにお食事をお持ちします。それまでお寛ぎください」

 部屋に着くと、そう言い残してメイドさんが退室しました。

 とりあえずわたしは荷物を置き、部屋の中を見ることにします。

 部屋の中には4人掛けくらいの四角いテーブルと椅子。壁際には絵画や花瓶が飾ってあります。

 他にはクローゼットがあり、ドレッサーや大きなベッドも置いてあります。

 部屋の奥には扉が2つあり、手前の扉を開けると洗面台とトイレがあります。トイレは洋式のようです。

 奥の扉を開けるとお風呂場になっていました。

 ここは確か4階だったはずです。

 洗面台はともかくとして、こんな場所にお風呂をつけてどうするんでしょうか?水を運んでくるんでしょうか?

 部屋を確認し終えて、そんなことを疑問に思っているとご飯が到着したようです。

「お食事をお持ちしました」

 入ってきたメイドさんは、ワゴンに乗せて運んできた料理をテーブルに並べてお茶を入れてくれます。

 お腹が減っていたわたしは「いただきます」と同時に食べ始めます。

 豚肉の香草包み焼きと鶏肉と野菜のスープ、おなじみの黒パンです。

 お茶は紅茶、でしょうか。紅く澄んだ色合いです。

 聞けば南の国の名産で輸入品だとか。お高いんでしょうね。


 相変わらず薄味の夕食を食べ終え、お茶を飲みながら気になっていたことを確認してみます。

「あの、聞きたいんですけど、お風呂とかどうなっているんですか?この部屋、4階ですよね?水を運んでくるんですか?あと、トイレってどうなってるんですか?」

「はい、王都は20年前より公共事業として上下水道の整備が行われました。現在は一部を除き、上下水道の設置は完了しています。水源を王都の西に流れる大河からとり、用水路を王都全体に張り巡らせてそこから水を汲み上げる魔具を使って各家庭に供給しています。この城も配管を通しており、水場ではそれを利用することでどの階でも水を利用できます。お風呂は浴槽に水を入れ、発熱の魔具でお湯にします。トイレはそのもの自体が魔具になっており、離れると自動で浄化を行います。排泄物は魔具により、そのまま分解されて下水に流されます。下水の水は一度、王都の外にある浄化槽に集められ、魔具によって浄化されて大河に戻されます」

 なるほど、なんだかすごく近代的な気がします。

「お風呂の準備をしておきますが、他にご質問や何か必要なものはございますか?」

 必要なもの、ですか。

 そういえば着替えがありません。

 道着でもいいのですが、昨日着て洗っていませんし、できれば洗濯をしておきたいところです。

 ダメ元で聞いてみましょう。

「可能なら、着替えがあると…。あと、着ているものを洗いたいので石鹸とかもあれば」

 メイドさんは少し難しそうな顔をしました。

「着替え……は、そうですね。バスローブならご用意できますが、他の服はサイズが難しいかと…。石鹸は備え付けがあるので使用していただいてかまいません。洗濯物でしたら渡していただければこちらでさせていただきますが?」

 サイズですか…。何もないよりましです。サイズで駄目になると下着類も無理そうですね。

「ではバスローブをお願いします。洗濯は自分でしますので大丈夫です」

 洗濯までお世話になるのは心苦しいです。

「かしこまりました。ではバスローブをご用意させていただきます。お風呂の用意ができるまでお待ちください」

 そう言ってお風呂場に向かったメイドさんは、すぐにお風呂場から戻ってきました。

 そして食べ終えた食器やお茶の道具をワゴンに載せて、テーブルを綺麗に片づけると一礼をして部屋から出て行きました。


 しばらくして、戻ってきたメイドさんからバスローブとバスタオルを受け取り、お風呂の用意ができたようなので、待っている間に準備しておいた道着を持ってお風呂場に移動します。

 お風呂場に入る前に、メイドさんからの「お手伝いしますか?」というセリフを丁重に断り、お風呂に入ります。

 脱衣所で服を脱ぎ、身体を洗った後に備え付けのタライにお湯を入れて洗濯をします。

 一通り洗い終えると出来るだけ水気を絞って脱衣所に置いておきます。

 ゆっくりとお湯につかり、予定よりトラブルの多かった一日を思い出しながら、疲れを取ります。

 お風呂から上がったわたしは、身体を拭き、バスローブを身につけて洗濯物を持って部屋に戻りました。バスローブの裾を引きずりながら。

 まだ待機していたメイドさんにお礼とおやすみの挨拶をして戻ってもらい、洗濯物をできるだけ乾きやすいように工夫しながら干しておきます。

 ようやく、異世界二日目が終了です。

 時間はすでに12の刻。深夜0時です。

 部屋の明かりの魔具を消し(オン・オフの切り替えで25年前にもありました)、ベッドに入ります。


 なんだかんだと慌ただしかった1日、明日は何もないことを願いながら睡魔に身をまかせました。


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