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014 初めてのクッキング

早速読んでいただけたようです。

お気に入りや評価、ありがとうございます。

「ん…、んぅ…」

 登り始めた朝日が部屋に射し込み始めたころ、わたしはベッドの上でもぞもぞしながら目を覚ましました。

「あれ…、ここは……どこ、でしょう…?」

 いつもの見慣れた天井はなく、記憶にない天井がまだはっきりしない目に入ります。

 わたしは寝起きで回転しない頭で現状を把握しようと、ゆっくりと起き上がり、部屋を見回します。

「えっと、宿の、部屋?」

 ゆっくりと眠るまでの記憶を思い出します。

「あ、わたし、前世の世界にきて…」

 ようやく回り始めた頭が認識しました。

「準備、しなきゃ。騎士団の人の朝食…」

 昨日の王子との約束を思い出し、やらなくてはいけないことを思い出します。

 ベッドの上から降りて、乾いたであろう、昨日お風呂で洗濯をしておいた服に手をのばします。

「今、何時でしょうか…?」

 窓から外を見ると、朝日はその姿を現しているようです。

 前世の知識からすると、今の季節は初夏、朝日が昇り始めるのが5時頃だったはずです。

 腕時計を見ると5時を回ったばかりでした。


 この世界は時計というものが無かったはずです。

 時間は1日12刻、1刻が2時間で時間の感覚は大体30分区切り、4半刻が最小単位だったはずです。

 普通の人が時間を知るのは太陽の位置が基本で、王宮には水時計や日時計があったはずですが、それも正確な時間は分かりません。

 王都は水時計を基準に半刻ごとに鐘が鳴っていたはずですが、大分離れたこの村ではわかりません。

 大体の場所では日の出を基準に活動を開始し、日が沈むのに合わせて家に帰ります。

 昔の農家みたいな生活ですね。


 まずは着替えて身だしなみを整えましょう。

 わたしも年頃の女です。見た目にはこだわってはいませんが、少なくともだらしない恰好をするつもりはありません。

 寝巻がわりに着ていた道着を脱ぎ、洗濯しておいた下着を身につけます。

 昨日着ていたものですが、他に着替えもありませんし、ノーパンノーブラよりましです。

 さすがにスカートや薄いブラウスで下着をつけないのは抵抗があります。

 着なれた制服を身につけ、髪をまとめれば終了です。

 鞄からいつも持ち歩いていたハンドタオルを取り出し、顔を洗うために1階に降ります。




 食堂に入るとおかみさんはすでに起きていて、朝食の準備をしているようです。

「おはようございます」

 挨拶はコミュニケーションの基本です。

「おはよう。よく眠れたかい?」

 笑顔で挨拶を返してもらいました。

「はい、ぐっすりと。顔を洗いたいのですが、どちらにいけばいいでしょう?」

「そこの扉から井戸に出れるよ」

 おかみさんが示す扉を開けて外に出ると、井戸と洗い場がありました。

 ポンプ式の井戸から水を出し、顔を洗ってすっきりします。

 ついでに水を飲んでから、食堂に戻りました。

「朝食の準備をしたいのですが」

 声をかけながら、調理場のほうへ足を向けます。

「材料はここにあるものを好きに使っておくれ。道具の使い方はわかるかい?」

 調理場に入って見渡せば、野菜や卵、ベーコンが用意されていました。

 調理道具は竈が3つ。お鍋などが並んでいます。中には見たことがない道具もありましたが、元の世界の知識と照らし合わせば大体の用途は想像がつきました。

「大丈夫、だと思います。わからなければ聞きます」

 答えて、並んでいる材料を見ながら何を作ろうか、と考えます。

 とりあえずは数を作らないといけませんし、手の込んだものは作らないほうがいいでしょう。

 そう考えてベーコンエッグ、サラダ、野菜とベーコンのスープ、パンを朝食にすることに決めました。

「よろしければ宿の人の朝食も私が作りましょうか?たくさん作りますから数人分増えてもあまり変わりませんし」

 スープなどは大量に作らないといけませんしね。

「そうかい?なら頼めるかい」

「わかりました。一度部屋に戻るので、竈に火を入れておいてもらえますか?あと、このお鍋一杯にお湯を沸かしてください」

 おかみさんにそうお願いして、わたしは昨日仕入れたスパイスを取りに部屋に戻ります。


 部屋に戻り、ハンドタオルを椅子にかけてから袋に小分けされたスパイスを確認し、その中から必要な袋を持って食堂に降ります。

 調理場に戻ると、竈全てに火が入っており、1つは大きな寸胴鍋がかかっています。

 それを確認し、昨日の夕食で出た鳥の骨を持って井戸に向かいます。

 なるべく綺麗な骨を選び、その表面を水で洗い流して調理場に戻ります。

 洗った骨を沸騰し始めた寸胴鍋に入れて、吹きこぼれないように注意しながら出汁を取ることにします。

 調理場にある材料の中から卵を取り出し、いくつかを黄身と白身に分けておきます。

 油と果実酢を確認し、自家製マヨネーズを作ります。

 マヨネーズは万能です。これがあれば大体の料理はおいしくなります。

 おかみさんが興味深そうにわたしの手元を見ているので、簡単に説明しながら調理していきます。

 マヨネーズを作り終えれば時刻は大体3の刻、6時頃でしょうか。

 腕時計は部屋に置いてきましたので、はっきりした時間はわかりません。

 7時頃に朝食のはずなのであと1時間ほどです。

 おかみさんにいくつかの野菜を洗ってもらうようにお願いし、わたしはベーコンを切り分けておきます。

 ベーコンエッグに使うものは薄めに、サラダに混ぜるものは細かく切っておきます。

 スープに入れる分は適度な大きさに切って、それぞれ分けて準備しておきます。

 フライパンを竈にかけ、少し油をひいてサラダ用のベーコンを炒めます。

 次にスープ用のベーコンを軽く火を通しておきます。

 それが終われば人数分のお皿を用意し、ベーコンエッグに取り掛かります。

 ここからは2つの竈を使います。

 準備している間に野菜を洗い終えたおかみさんが戻ってきたので、ベーコンエッグを1つ、作って見せて後はお願いしてサラダとスープに取り掛かります。

 野菜をそれぞれサラダ用とスープ用にわけ、適切なサイズにカットしていきます。

 寸胴鍋から鳥ガラを取り出し、火の通りにくい野菜から放り込んでいきます。

 野菜を煮込んでいる間にサラダの準備をし、スープが完成に近付いたところで用意しておいたスパイスや香草を入れます。

 最後に味見をして、塩で味を調えて完成です。

 サラダもボウルに盛り付け、自家製マヨネーズをかけて完成。うん、よくできました。

 おかみさんのほうも人数分のベーコンエッグが完成したようで、野菜スープを味見してもらいます。

「へぇ!こりゃ驚いた!使っている材料は変わらないのにこんなに美味しくなるもんなのかい?」

 評価は上々のようです。


料理については色々と間違ったことを書いているかもしれません…。

指摘はお手柔らかにお願いします…。

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