表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に出戻りしました?  作者: のしぶくろ
番外編とか後日談
135/149

番30:逃亡失敗

短いので連続投稿で。

 部屋で昼食を摂った後、アリア様のもとを訪れます。

 本来なら特に用が無い限りは皆で一緒に食事を摂るべきなのですが、わたしにはやるべきことがあったので部屋で昼食を摂りました。

 べ、別に追及されるのが怖くて逃げたわけじゃありませんよ?急ぎでやることがあっただけです。ついでに昼食の間に王子に追及が行って、わたしへの関心が薄れたらいいなぁ、なんてことは考えてなんていませんからね?

 ……すみません、ほんの少し、いえ、そうなったらいいなと思ったことは認めます。だって怖いのですから、仕方がないじゃないですか。

 まあ、それはさておき。

 出来れば避けておきたいと思うアリア様を訪ねるのは用事があるからです。

 用件は2つ。

 1つはアリア様のこれからの行動を確認するため。

 護衛対象の行動を把握しておくのは必須ですからね。

 2つ目は魔具を渡しておくためです。

 お昼を自室で摂ったのはこれを製作していたからです。ただ魔具とは言っても、ここにはきちんとした道具なんてありませんからね。その辺にあるものでちょちょいと作った手抜き魔具です。ですが、いざという時には役に立ってくれるでしょう。

 まあ、手抜きなので効果はそこまでありませんし、数日で効果は切れてしまうものですが。

 おっと、考え事をしている間に目的地に着いたようです。

 ノックをすると中から「どうぞ」と返事があったので、扉を開けて中に入ります。

「失礼します。アリア様…」

 中に入りかけたところでそのまま下がって扉を閉めました。

 いえ、閉めようとしました。

「サクラちゃん?来たばかりでどうして部屋を出ようとしたのかしら?」

 ……おかしいです。

 先程部屋の中が見えた時には部屋の中ほどにあるテーブルについていたはずのアリア様が、どうして今目の前で扉を掴んでいるのでしょうか?

 そのあまりの早業と、今からこの部屋で起こるであろう事が思い浮かび、夏だと言うのに背筋には冷や汗が止まりません。

「丁度よかったですわ。今お母様とシフォンと、サクラちゃんのことを話していましたのよ?せっかくですから、色々と聞きたいと思いますの」

 そうです。部屋の中にはアリア様だけでは無く、王妃様やシフォンさんの姿まであったのです。

 いえ、その可能性を全く考えていなかったわけではありませんが、昼食の直後ということもあってそれぞれのお部屋で休んでいると思っていたのですが…。

「さあ、中に入ってちょうだい?まさか、逃げようなどとは思っていませんわよね?」

 すみません、出来れば逃亡したいと思っています。などとは口が裂けても言える雰囲気ではありません。ああ、汗が止まりません。

 そっと肩に置かれた手を見ることもできず、わたしはただコクコクと首を振ることしか出来ませんでした。

 そして促されるままに、食後のお茶会という名の尋問席に座らされたのです。




 やっと、やっと終わりました…。

 羞恥で心を削り取られるような時間が…。

 まるでどこかのアニメの最終回のように、椅子の上で真っ白になって項垂れるわたし。そしてそれを横目に、きゃいきゃいとはしゃぐアリア様とシフォンさん、王妃様の3人。

 洗いざらい喋らされました。ええ、あの口付けのことも全部です…。

 わたしだってそんなことまで喋るつもりはありませんでしたよ?ですがこの人達の鋭いことときたら…。少しでも動揺しようものなら何かあると踏んで追及してくるのです。ただでさえ1人でもわたしの手にはあまると言うのに、それが3人で攻めてくるんですよ?そんな人達の前で、恋愛なんて初めてのわたしが隠し通せるわけがないじゃないですか…。

 気がつけばいつの間にか問い詰められて、何もかも話していたと言うわけです。

 どうしてここまで問い詰められていたかというと、昼食の席で色々聞きだそうとしていたのにわたしも王子も姿を現さなかったからだそうです。意気込んでいたところで肩透かしを食らわされ、不完全燃焼のまま昼食を終えた後でどうやって聞きだそうかと集まって相談していたところにわたしが訪ねてきた、ということらしいのです。まさに飛んで火に入るなんとやら、ですね。ちくしょう、王子め。逃げましたね…!


 もしも羞恥で人が死ねると言うのなら、わたしはすでに3回は死んでいることでしょう。

 そもそも、わたしは恋愛という物に対して経験値がありません。今世はもちろん初めての事ですし、前世でもそれほど経験があるわけではありません。前世での経験と言っても、どちらかというと一方的に言い寄られるパターンがほとんどでしたし、自分が好きになったのなんて片手で余る程度でしかありません。それも自覚したころには失恋していると言うパターンが9割、残りの1割はなんとか告白までしたものの、種族の違いからあっさりと振られると言うものでした。

 あれ?もしかして、前世も含めて実質経験値0なんじゃ?

「ですから、式は大々的に行うべきですわ!仮にも第二王子の結婚式ですのよ?近隣諸国からも賓客を招いて盛大に行うべきですわ!」

「ですがそれではサクラ様が委縮してしまわれます。ここはやはり身内だけで行うほうがよろしいかと」

「何を言っていますの!?それではサクラちゃんの可愛らしい晴れ姿が披露できないじゃありませんの!……ああ、わたくしのデザインしたドレスを纏うサクラちゃんの晴れ姿。きっと誰もが見惚れますわ」

 ぼんやりと考え事をしていると、目の前の話はいつのまにか結婚式の事にまで及んでいます。って、どうしてそんな話に?


不定期になりますが、ちまちまと更新していけたらいいなと思っています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ