バトル・NO 14.5 妃河Side
今回は彼の方の気持ちになってます!!長々ですが…よろしくです。
俺は彼女を知ってた。
彼女は4Leaf(四つ葉のクローバー)喫茶店のウエイトレスでいつも笑顔だったが、時折見せる悲しげな顔が印象に残ってた。
ベットに横たわる彼女の頭を撫でる…。
あっ!!彼女は倒れたから今日は看病してるだけ!手を出したい気持ちはあるけど…我慢。
送ってきて無理矢理?一ヶ月の彼氏を理由に彼女の部屋に上がり込んだ。
『もう!大丈夫よ。私』
彼女は起き上がろうとする。『駄目!眠ってなきゃ!!』
俺はまた眠らせる。このイタチごっこをさっきから続けてる。
『あの喫茶店で出会ってたとは思わなかったなぁ〜。でも?妃河君の家の近所じゃないよね?』
確かに家の近所では無い。って言うか!痛い所を付いてくる。
だって最初は当時の彼女と行ったんだから。
『クスッ…彼女と喫茶店に来たんでしょ?』
彼女は笑いながら俺の顔を見た。
『ハハハッ…。』
俺も笑うしかない。自分で言うのも何だが、俺はモテてた。(今は自分では分からないけど…)
あの当時の俺は特に最低野郎で付き合っても長続きせず、言われるがままに付き合って、別れて…を繰り返してた。
あの喫茶店で俺の人生観が一変する言葉を聞いていなければきっと今の俺はここには居ないだろう。
『どうしたの?ぼーっとして?』
彼女は俺を除き込む。俺が遠い目でもしてたんだろう。不思議そうな彼女の顔。
『いや…ちょっと思い出した言葉があってさぁ…』
『何なの?その言葉って?』
俺は頭を掻きながら
『貴方は本当に人を好きになった事無いでしょ?人に幸せを与えてもらうんじゃなくて、まずは自分が与えないと!って…』
彼女は黙って聞いている。
『俺が言われた訳じゃなかったんだけど…ガツンと此処に来た!』
そう言って自分の胸を叩いた。
『それを言ったのは椎原さんだよ…』
『えっ?私…そんな偉そうな事言ったんだ。』
『うん!常連さんにだけどね。』
『うわぁ〜私、恥ずかしい。』
彼女は頬を赤らめる。
『そんな事無いよ!!だってその話を聞いて無かったら…俺は最低野郎のままだったからさ。』
『そう?って言うか!最低だったんだ?!』
げっ!!彼女が引いてるかも…話すんじゃなかった。
『だから!!!昔だよ!!』
『ハハハッ!!そう?だったら良いけど…じゃあ、私飲み物でも容れるね!少し体調良くなったから。』
そう言って彼女はキッチンに向かった。
彼女の後ろ姿を見送り、自分の今の幸せを噛みしめる。会社で偶然再会し、その時『今度は絶対に後悔しない!』と心に決め何とか首の皮をかろうじて繋げた。
本当に彼女には色々と振り回されっぱなし…惚れた方が本当に弱いと今回しみじみ経験させられた。
後は…これから《期間限定恋愛》を本物にする為に対策を練らないと!!
『ちょっと?さっきから何を考えてるの?』
彼女は濃い目の珈琲をテーブルに置いた。
『あぁ!!ゴメン。コーヒー頂くよ。あっ熱い!!』
『慌てないで!!ゆっくり飲んでよ!』
確かに…かなり熱い。
『妃河君って!結構おっちょこちょいなのね。ハハハッ』
俺って相当格好悪い…?。
『でも…そう言う所がギャップがあって良いね。』
彼女は微笑みコーヒーを含んだ。
『そうかな??』
少し安心。そこで俺は一つ提案する。
『妃河君って言うのを止めにしない?俺も楓って呼びたいし…。』
彼女も俺に提案。
『じゃあ…私は優介でOK?』
『うん!そうして!』
もう感無量!!俺…かなり幸せかも。
『聞いてる?!会社では内緒よ!』
彼女は付け加えてたらしい。会社では秘密か…。
実は陰で彼女を狙ってる男がかなり居るんだ…。俺は安心したかったんだけど。彼女は全く気付いて無いみたい…。前から思ってたけど…鈍い所がある!!
彼女の男友達(あの美容師の!)あの人も冗談ぽく言ってたが彼女を好きだと思うんだよな!!
彼女は人の事はよく観察してるけど…自分の事になるとしょうがないほど鈍い。彼女の言い分を一応聞き入れて陰で何とかするしかない!!建前上、彼女の提案に乗る事にした。
『と言う事で!それを飲んだら帰ってね?』
『はぁ?!』
『私は明日休みをもらったけど…優介は明日も早いでしょ。?』
彼女の笑顔には勝てず、渋々頷き、心の中で《俺は絶対に彼女には頭が上がらないだろうな…。》と呟いた。