バトル・NO13 本当の気持ち。
私は今…妃河君の車に乗っている。と言うより乗せられた。自転車を持って帰ろうとした私に…
『いい加減にして下さい!』
と言われ…この状態。
『気分が悪かったら言って…。』
私は大人しく頷いた。もう怒られたくないし…。
彼の車はJeep系?で綺麗に片付けてある。(兄貴の車と大違い!!)車内は、ほど好い音量の洋楽が流れて居て心地良いし。車体が高めだから見晴らしも良い。気分も大分良くなってきた。外を見ると、もう夕暮れになっていて、夕日が端正な彼を照らしていて、とても綺麗だ。目が余りよく無いのか?運転の時は眼鏡をするらしい。
『そんなに俺を見てても車からは降ろしませんよ…。』
彼は運転に集中しながら冷静に言葉をかけた。
私が『降ろせ!』と言うとでも思ったらしい…
『そんな事思ってないです!』
大人げ無いけど…ちょっと冷静な彼にムカついて言葉を返す。
『フッ…。子供みたい。』
信号で止まり、私を見て笑う。年上の私に子供扱い?!
『私は年上です!』
『ハハハッ剥きになるのは子供だよ!』
信号が青に変わり、車を走らせ今度は声に出して笑われた。私もバカバカしくなって笑う。
彼はそんな私の笑い声を聞いて
『やっと…笑ったね!』
今度は安心したように微笑んだ。
今までこんなに心配してくれた男性は居ただろうか?
でも…何故?彼が私をここまで心配するのかも分からない…。
初めて逢った時から、彼は私を見てくれて居た…。彼とは特別、何かを話たり私に興味をもたれたりする様な事もしてない。そう言う記憶も無い。
でも…気がつけば近くに居る。彼の気持ちは、はっきりと分からないが…私に興味を持ってくれてるのは分かる。あの瞳で…
私の気持ちもそう…。考え無いようにしてたけど…彼に興味があったから本当には突き放せなかったんだ。そして…彼の優しさに甘えて居た。
このままで良いの?昔の様に傷つきたいの?自問自答する。もう傷付きたくない無い。あんな思いはしたくない。彼にハマってしまう前に話そう私の過去の事を。そして…何も考えなくて良かった時に戻りたい。
私は深く深呼吸して彼を見た。
『妃河君…。私は…』
『ん…?何??気分悪いの?』
彼は急に車を道路脇に止め、夕焼けに照らされてる顔を私に向けた。
そして話始めた。
『気分が悪いわけでは無いの。私が人を遠ざける理由を話します…。』
『…。』
彼は私を見つめ無言で頷く。
私も彼の瞳を見つめ、続けた…
『私…二年前に婚約者が居たの。』
彼の瞳が静かに閉じられた。
教訓その12…逃げてばかりでは駄目!向き合う事も大切。大切に思うなら!