バトルNO.2 忘れたいのに…!!
女性社員の視線が痛い…。理由は私の前でパソコンを触ってるこの男のせい。
『僕を見てて楽しいですか…?』
彼の綺麗な唇から発声られ私は呆れ顔になった。
基本的に私は彼みたいな男に興味が無い。
まぁ…みんな(女性社員)は私が気に入るとでも思ってるのだろう…。
『楽しくは無いですよ…。興味も無いので気になさらないで下さい。』
ちょっと大きめの声で言ってみた。他の女性社員に聞こえるように…。『そうですか。あぁ…。皆さんの名前を覚えたいんだけど、何か名簿みたいな物あります?』
彼は淡々と聞いてきた。眉一つ動かさず。
『それなら…』
私は引き出しを開け中にあったファイルから1枚の紙を彼に渡した。
『それで良ければ…この部署に配置された時に私が作った物です。人事異動も無かったから変わって無いと思いますよ。』
一応…事務的な笑顔で付け加えた。彼は黙って目を通し満面の笑顔で
『ありがとう。椎原さん。席も分かるし…特徴も書いてあるから分かり易い!』彼はまた紙に目を落とした。
女性社員の溜息が聞こえた。彼の笑顔に落とされたんだろう…。
『それで…??』
美菜が楽しそうに聞いてくる。
『何が…??』
仕事も終わり賑わうアジアンカフェで美菜に聞き返した。この店はアジア系の創作料理専門店で美菜と私はよく顔を出す。店内も間接照明で良い雰囲気だ。
美菜は生春巻にソースを付けながらニコニコしてる…。
『またまた!かぁ〜え〜でちゃん!恋に落ちたわけ??王子様に!』
ソースを付けた生春巻を口いっぱいに頬ばった。
私は手に持っていたタンドリーチキンを落としてしまった…。
『ちょっと楓汚いよ!』
美菜がティッシュを渡してくれた。
『だってさぁ!美菜が変な事を言うから…!って言うか!何で恋に落ちるの?』んもぅ〜っ!怒りながら貰ったティッシュでテーブルを拭いた。
『いやぁ!いい男なんでしょ?楓の冷えきった心を溶かしたかなぁ〜ってさ…』心配そうな顔をした。
『心配は無用です!!』
私は力いっぱい言って、チキンを頬ばった。
『心配かぁ…』
帰りの自転車に乗りながら美菜の言葉を思い出した。お酒は飲んで無いのに、自転車がフラフラしてしまう…。昔の事なのに忘れて居ない自分に腹がたつ。
もう1年以上経つのに…。
『はぁ〜!考えるのヤメた!!』
大きな声で叫んで漕ぐスピードを上げて自宅へ急いだ。
本日の教訓その1…『恋愛は石橋を叩いて叩いて叩きまくって進むべし!その橋が壊れるのも良しとする!!』